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心①

 俺は赤ん坊の時親に捨てられ、施設で育てられた。高校を卒業すると施設を出ないといけない規則になったいる。どうにか独身寮がある建築会社に入社する事が出来そこで鳶職をやっている。ある程度金が自由に使えるようになると俺は女を買い童貞を捨てた。ナンパに逆ナン。口下手な俺だけど何故かナンパは抵抗なく出来た。次から次へとやり捲る。女に不自由することは無かった。身長は165㌢位で大したことないが現場仕事で鍛えられたカラダ。俺のガタイを好いと言ってくれる女もいた。付き合った女は何人もいる。だけど好きという感覚は全く無くあくまで性処理相手だった。5年の月日が流れる。会社が不景気で倒産してしまった。幸い違う建築会社に入社する事が決まった。但しそこには独身寮は無い。住む所を探さなければならなかった。施設長に相談する。保証人にはなってくれる事になった。不動産屋を回る。物件を探したが施設長が保証人の俺に快く貸してくれる所は中々見つからなかった。そんなある日不動産屋から連絡が入る。チョッと遠いけど貸してくれそうな物件があるとの事だった。安堵と不安に覆われる。複雑な思いでその物件を見に行った。築10年、1Kのアパート。大して荷物の無い俺には充分だった。早速申し込みをする。大家さんから承諾を貰う事ができた。契約を済ませる。引越し当日施設長も手伝いに来てくれた。引っ越しを済ませる。俺達は隣の小さな一軒家に住む大家さんに挨拶に行った。大家さんは神原岳志さん。人懐っこい感じがする50歳位のおっさんだった。上背は俺と同じ位だけどかなりガッチリしている。頭髪は坊主。顎と口に髭を生やしていた。
髭 (7)
俺の新たな生活が始まる。仕事はきちんとしていたが女遊びは相変わらずだった。ある天気の良い日曜日。近くのスーパーで日用品を買って帰ってくる。大家さんが畑仕事をしていた。視線が交差する。
「あっ…おはようございます」
「おぅ…おはよう…確か201号室の小田切君だったよな。生活慣れたか?」
「あっハイ…お陰様でどうにか慣れました」
「色々辛いこととかあるかも知れんけど頑張ってな」
「あ、ありがとうございます」
何か暖かいものを感じた。
「あっそうだ。野菜持ってけよ」
大家さんは籠一杯の野菜を持ってきてくれた。
「あのう…お気持ちありがたいんすけど俺料理出来ねぇし…」
「そうかぁ…飯とかどうしてんだ」
「コンビニ弁当とかスーパーのお惣菜とカップ麺とかっすね」
「作ってくれる彼女とか居ねえのか」
「あ、ハイ…」
「良かったら後で来いよ。昼飯作ってやるからよ」
「えっ…いいんすか」
「ああいいよ。じゃぁ待ってるからな」
優しい微笑みを送ってくる。心が和んだ。時刻は12時を回っている。俺は大家さんちのインターホンを鳴らした。
「あ、小田切です」
玄関ドアが開いた。
「おっ待ってたぞ。まあ上がれよ」
始めて入った大家さんの家。廊下を通り過ぎるとリビングダイニングがある。隣接したオープンキッチン。ダイニングテーブルと壁際にはローテーブルとソファーが置かれてあっる。テーブル席に着くとお茶を淹れてくれた。
「今用意するからな。チョッと待っててくれよ」
テーブルに昼飯が並べられた。とんかつにサラダ、大根の煮物、茶わん蒸し、キュウリの漬物、白飯、そして豆腐の味噌汁。大家さんがテーブルの向かい側に座った。
「凄ぇ、美味そうっす」
「いっぱい食えよ」
「ハイ、頂きます」
初めての家庭の味。食いながら涙が一滴頬を伝った。
「どうした?」
「何か嬉しくって」
大家さんはニコッと笑みを浮かべた。
「そうかぁ…遠慮せずにおかわりしろよ」
「ハイ…」
俺は飯3杯と味噌汁2杯ご馳走になって大家さんちを後にした。お土産にと渡された3つの保存容器。おかずが詰まっている。俺の身上を知ってなのか色々親切にしてくれた。心がほっこりする。時々俺は食事をご馳走になるようになっていた。ご馳走になってばかりだと申し訳ない。俺はたまに家庭菜園の手伝いをするようになった。給料日には美味そうな物を買い大家さんちへ行った。今まで人と話するのも苦手だった俺。大家さんとだと自然に話す事が出来た。何でこんなに親切にしてくれるんだろうという思いが過る。一度その事を聞いてみた。
「小田切君の笑顔見ると元気貰えるからな」
大家さんがポツリと声にした。そして正月。俺を家に招待してくれた。御屠蘇を頂きおせち料理、雑煮をご馳走になる。お年玉まで頂いた。俺とは大家と住人の関係。赤の他人そんな俺にこんなに親切にしてくれる。温かみを感じた。荒んだ性格の俺。心を開き始めていた。酒を呑ましてくれたり飯食わしてくれる。仕事の事とか施設での事とか女のことなんかも話した。大家さんは真っ直ぐに俺を見てくる。俺の話はいつも真剣に受け止めてくれた。大家さんの事も色々と判ってきた。年齢は50歳、仕事は食品会社のリーマン。学生時代柔道をしてたらしく躰はがっしりしている。一度ご家族の事を聞いたことがあった。
「俺は天涯孤独だよ」
大家さんは愁いを帯びた表情を浮かべた。天涯孤独。俺の心に響いた。優しさと逞しさを兼ね備える大家さん。こんな人が親父だったらと思えた。
「好き好きだが男は短髪の方がカッコいいぞ」大家さんの言葉。俺は坊主にした。髭が良く似合っている大家さん。真似して髭も生やしてみた。そこには大家さんに気に入られたいという潜在意識があったのかもしれない。俺がナンパした女とやって帰宅した時のことだった。時刻は夜9時。大家さんちのリビングでカーテン越しだが黒い2つの影が見えた。覗く積りは無い。だがカーテンの隙間から見えてしまった。姿の男同士でキスしている。見てはいけないものを見てしまった。大家さんってゲイ。とてつもない切なさが俺を襲ってきた。胸が張り裂けそうになる。これって”恋”男に……それも親子位歳の離れた人に……それって俺もゲイ。葛藤した。パソコンで動画共有サイトにアクセス。ゲイで検索してみる。ひとつの動画を再生した。ガッチリした男達の裸が目に飛び込んでくる。俺は無茶苦茶俺は興奮した。次の動画を再生する。ガッチリしたガテン系親父同士が絡んでいた。俺と大家さんに置き換えてしまう。濡れてくる。自然と股間に手がいった。ちんぽは勃ってくる。一気に角度を上げた。チャックに手が掛かる。ちんぽを引っ張り出した。先端からは我慢汁が溢れている。ゴシゴシゴシと扱いた。
「んくっんくっんくっ…んんん…んぉぉぉぉぉぉ射くぅっっっ」
ドビュッドビュッドビュッ…ドビュッドビュッドビュッっと俺は白濁汁を放った。切なさが残る。俺は自分を否定した。今迄以上に女とやり捲る。俺が射く時大家さんの事が目に浮かんだ。虚しさに包まれる。俺は女遊びを止めた。俺は大家さんに恋してる。俺は自認した。パソコンのお気に入りにはゲイ動画のURLがたくさん登録されている。逞しい親父達が絡んでいるやつばかりだ。俺はそれを自分と大家さんに置き換える。毎晩のように自分を慰めた。
[ 2015/05/16 21:00 ] | TB(-) | CM(0)

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