俺隼汰。32歳の髭坊主。趣味は筋肉を苛めることだ。身長はちょっと低めで165㌢。朝起きると股間のものはいきり勃っている。先端からは汁が洩れ前袋を濡らしていた。やりたいモード100%。今日は土曜日。こいつをどうやって宥めるか……ブランチを摂りながらスマホに目を遣った。龍生(たつなり)さんからのメールが着信している。龍生さんはガチムチの髭兄貴。 歳は俺より2つ上の34歳。身長は俺と同じ位だ。カラダはかなりガッチリしている。1か月位前 六尺バーで知り合いアドレス交換をした。前袋の触り合い、そしてキッス。その時はそれ以上には発展しなかった。それよりもただ一緒に居るだけでホッとできる。そんな人だった。メールを開く。 ”隼汰元気か?今日良かったら逢わねぇか?盛ろうぜ…” すぐさま返信した。 ”いいっすよ。俺、ムラムラ状態っす。やりてぇ…” 龍生さんからの返信 ”じゃぁ可愛がってやるから俺んち迄来いよ” ”了解っす” 龍生さんのマンションで遣る事になった。待ち合わせは午後2時。ケツを洗い教えられた駅迄行く。電車を1回乗り換えて40分位で着いた。改札口を出る。龍生さんが待っていた。視線が交わる。心が騒ついた。 「よぉ、隼汰」 「あ、ハイお久し振りっす」 精悍で男らしい顔、短く刈り上げた髪。項から男の香りが漂ってきそうだ。ざっくりしたインディゴブルーのシャツに綿パン。シンプルなものをさり気なく着こなし渋い男を演出している。龍生さんに目を遣った。 「何見てんだよ」 「カッコいいなって思ってさ」 思わず龍生さんの腕に俺の腕を絡めてた。 「何すんだよ」 腕を解かれた。 「済んません。嫌っすか」 「そんな事ねぇけど人目あるだろ」 回りをキョロキョロしている。耳元で囁かれた。 「隼汰。可愛いよ」 耳裏にチュッとされる。龍生さんは顔を赤く染めていた。 「ここだよ」 5分程歩くと龍生さんのマンションが有った。エレベーターに乗り込む。狭い空間に龍生さんと2人だ。心臓がバクバク鳴ってくる。そっと手を握られた。今度はほっぺにチュッ。密かな歓びに包まれる。玄関ドアが開いた。廊下を進みリビングに通される。ソファーに座った。 「少し飲もうぜ」 「あっハイ」 「ビールでいいか」 「いいっす」 龍生さんが横に座る。仄かな雄の薫りが漂ってきた。 「結構広いっすね」 「ああ、親父と2人だったからな」 「えっ。2人だったって……」 「ああ、1年前亡くなったんだ」 龍生さんの顔が少し翳りを見せた。 「す、済んません。立ち入ったこと聞いちまって」 「構わねぇよ」 顔から翳りが消えていた。 「お前も独り暮らしなのか?」 「うん、実は俺も3年前にお袋無くしちまってボロ家に一人暮らしっすよ」 「あっ俺の方こそ立ち入った事聞いちまって済まんな」 「いいっすよ」 龍生さんが席を立ちおかわりをもってきた。1本俺に渡しゴクゴク音を立てて豪快に飲んでいる。龍生さんの喉仏が動く。男らしさを感じた。俺の肩に手を回してくる。首筋に舌が這ってきた。俺のカラダがビクンと震える。今度は乳首をコリコリ擦られた。龍生さんの太っとい腕が肩口から首に回されてくる。左頬がゴツイ手で覆われた。龍生さんの優しい目。自然に唇が重なった。柔らかい唇で覆われる。口の中が龍生さんの 舌が優しく撫でてくる。擦れる髭の感覚が堪らない。俺の性感を昂ぶらせてた。 「あっち行くか?」 耳元で囁かれる。生暖かい息が降り掛かってきた。ゾクゾク感がカラダを走り抜ける。俺は首を縦に振った。寝室に入ると俺達はバサバサ着ている物を脱いだ。はぁはぁはぁ荒い息を吐いてる。 六尺一丁の飢えた2匹の雄。抱き合いキスをした。龍生さんの前袋に手を這わせる。龍生さんも俺の前袋を握ってきた。 「デッケぇ」 俺が声を上げる。 「お前こそデッケぇぜ」 視線が纏わり付いてくる。瞳の奥から火照った光が放たれていた。 「比べっこしようぜ」 龍生さんの言葉を合図に俺達は 褌を解いた。2本の 褌が床で絡まっている。そそり勃つ2本のちんぽ。先っぽからは汁が洩れ亀頭を濡らしていた。ベッドに押し倒される。唇が龍生さんの口で塞がれた。薄く開いた唇を割り入り舌が這入りこんでくる。舌が俺の口の中を這い回ってきた。俺のちんぽと龍生さんのちんぽが微妙に触れ合う。龍生さんが上になりちんぽを擦りつけてきた。 「同じくれぇだな」 龍生さんはニヤッと笑みを浮かべる。2本のちんぽを併せ持った。 「凄ぇ…龍生さんのちんぽ暖っけぇ…ドックンドックンしてるぜ」 「お前のも凄ぇぜ。ガチガチにしてよぉ」 クチュックチュッと隠微な音が響いてくる。トクトクと溢れた汁が2本のちんぽに絡まってきた。龍生さんの手で4個の金玉が握られる。グリグリと捏ね繰り回された。 「んくぅ…堪んねぇ。金玉気持ちいい。ちんぽいい」 「俺もいいぜ。激しく扱くからな」 亀頭と亀頭が擦れ合う。竿同士がぶつかり合った。クチュックチュックチュッ…クチュックチュックチュッちんぽの粘膜同士が絡み合う。また金玉が捏ねられた。 「あっ、あ、あぁ、そんなに扱かれると…俺、あっ、やべぇ」 「射けよ。隼汰…」 「一緒に…んぁ…龍生さんと一緒に射きてぇ」 「いいぜ…俺も堪んなくなってきたぜ。一緒に射かすぞ」 龍生さんのちんぽからドックンドックンと熱い血潮が伝ってきた。 「んぁぁぁ…んぁ…龍生さん…俺…んぁぁ」 「んぉぉ…あぁぁ…んぉぉ…隼汰ぁ…」 「あぁぁぁぁぁぁぁ…駄目だ…んぁぁ…はぁ…んぁぁ射ぐ…射ぐ…」 「んぉぉ、んぉぉ、んぁんぁんぁ…射くぅ…射くっ」俺と龍生さんが一緒に射った。 ドビュッドビュッドビュッ…ビュビュッビュビュッビュビュッ…ビュッビュッビュッ ドビュッドビュッドビュッ…ビュッビュッビュッ…ビュビュッビュビュッドビュッ 2人のちんぽから白濁汁が宙を舞った。ゆっくりと下りてくる。俺の腹、胸を汚した。龍生さんがドサッと倒れ込んでくる。軽くチュッとした。 「隼汰…いっぱい出したな」 「うん凄ぇ気持ち良かった」 「俺も気持ち良かったぜ」 又キスをした。龍生さんが俺の乳首をコリコリと撫でている。 「なぁ隼汰、ひとつになりてぇ」 龍生さんが俺を見る。優しい目をしていた。 「優しくしてやるから…なっ」 俺は首を縦に振った。瞼にチュッとキスされる。唇にもチュッとされた。今度は俺の方から唇を合わせる。2人の舌が荒々しく絡まり合った。舌を絡ませながら乳首に指が這ってくる。カラダがビクビク震えだした。唇が離される。首筋を舐め上げられた。 「あっ…あ、んん…ん」 龍生さんの舌が首筋を這い下りる。鎖骨を通り乳首に舌が這ってきた。 「はぁ…んぁ…ん…ん…あ、あ、あ」 「ここ感じるみてぇだな。これならどうだ」 尖らせた舌が乳輪を円を描くように這ってきた。もう片方の乳首に指が這ってくる。指の甲で掻き上げられた。 「んぁぁ…んぁ…いい…んぉ…んはっ」 「へへ…良い声だして哭くな。もっと可愛がってやるからな」 また乳首が舐め上げられた。同時にちんぽを軽く握られる。龍生さんのカラダが下にずれた。右の金玉が口に含まれる。今度は左の金玉が含まれた。 「あぁぁ…んはぁ…はぁ…んく」 カラダが仰け反った。堪らない快感が襲ってくる。ちんぽをジュルッジュルッと何度も舐め上げられた。 「あぁ…あぁ…堪んねぇ…んぁぁ…あっ」 「隼汰ぁ…堪らねぇか。もっと感じさせてやるからな」 亀頭が暖かい感触に包み込まれる。激しく吸引されながら舌が竿に絡んできた。 「んぁぁんぁぁ…堪んねぇ…ちんぽきもぢいい…んぁ…龍生さん…俺も欲しい」 龍生さんのカラダが反転される。俺はかぷっとちんぽを咥え込んだ。我慢汁が口に広がってくる。濃い陰毛に顔を撫でられた。 ジュルッジュルッジュルッ…ジュポッジュポッジュポッ… 「ん、んん、んん」「ん、んんん、んん」 尺八音とくぐもった喘ぎ声がこだまする。ケツ穴に指が這ってきた。カラダがビクンと反応する。 「隼汰…綺麗なまんこ穴だぜ」 「ま、まんこ……」 「そうだぜ。まんこだ。ケツまんこだぜ」 「まんこなんて言うなよ」 「へへ今の内に喚いとけ」 穴に舌が這ってきた。ジュルジュルと舐め上げられる。尖らせた舌で小突かれた。指が挿いってくる。抜き差しされ掻きまわされた。 「んぁ…んぁ…はぁ…んぉぉ」 「へへいい所擦られたみてぇだな。前立腺だぜ」 「前立腺…」 「お前が女になるポイントだぜ」 「お、女になんかならねぇ」 指が2本に増やされる。 「あぁぁ…んぁぁ…はぁ」 「3本目いくぜ」 内壁を掻き上げられる。奥の方が切なくなってきた。 「はぁ…はぅ…んはっ」 「堪んねぇかよ…隼汰よぉ」 俺はカラダを左右に捩り快感に耐えていた。 「切ねぇ…奥が疼く…んぁぁ…龍生さん…挿れてくれよ」 「何を何処にだ」 「ケツに…龍生さんのちんぽ挿れてくれよ」 「ケツじゃぁねぇだろ…まんこだろ。はっきり言ってみろよ」 「あぁぁ…んぁぁ…切ねぇよぉ…頼むよ。お願いだよぉ」 「ちゃんと言わなきゃ判らねぇだろ」 「ま、まんこにちんぽ挿れてくれよぉ」 「良く言ったな。挿れてやるぜ」 俺のまんこ穴と龍生さんのちんぽににたっぷりとローションが塗られた。まんこ穴にちんぽが宛がわれる。ゆっくりと挿いってきた。 「亀頭挿いったぜ。痛てぇか」 俺は頭を横に振った。また少し埋め込まれる。少し引いてまた挿いってきた。グイッと根元まで押し込まれた。 「んがっ…んがっ…い、痛てぇ」 「大丈夫か?」 「大丈夫だ。痛くなんかねぇ」 頭を撫でられる。そして頬を両手で包まれた。 「やせ我慢するな」 優しくギュっと抱きしめると舌を絡めてきた。舌と舌を絡め合い唾液を交差する。いつしか俺のまんこ奥がジーンとしてきた。沸き立つ何かを感じ始めている。龍生さんの背中に手を回した。ガッチリと抱きしめられる。首筋に指が這ってくきた。視線が交差する。龍生さんの腰がクイッと動いた。 「んぁぁ…んぁぁ…ぐふっ…は、んん」 「まんこの強張りが取れてきたみてぇだな」 龍生さんの腰が動き始める。ガシガシと腰を突き込み始めた。 「た、龍生さん…お、俺、た…堪…」 唇が龍生さんの口で塞がれた。 「隼汰のまんこいいぜ。す、凄ぇ名器だ。俺のちんぽ包み込んでくる」 「そ、そうっすか?俺も凄ぇいい」 「んくぅ、堪らんぜ。こんなにいいまんこを持っているのがわかってたらよぉ。んぁぁ…くっそう、もっと早く抱いとけばよかったぜ」 「うぅ…んぁ…俺もっすよっ」 抱き起され向かい合うような体位をとる。下から突き上げられた。唇を交わしながら頭を優しく撫でられる。 「龍生さん…」 背中に回した腕に力が入る。龍生さんもきつく抱きしめてくれた。 「隼汰、いっぱい甘えろよ。可愛いぜ」 「うん、うん…龍生さん……」 正常位に戻される。龍生さんの腰が激しく動いた。 「あぁぁ、あぁぁ…堪んねぇ…そこ…やべぇ…んぁぁ…駄目…そこ…当たる」 「ここだな。ここ突かれると感じるんだな。ちんぽから汁洩らしてよぉ。堪んねぇ。そそられるぜ」 グシュッグシュッグシュッ… 「あぁぁ…あぁぁ」 ジュグッジュグッジュグッ… 「んぁんぁんぁ」 ちんことまんこの粘膜同士が絡み合った。激しく突き込みながら乳首がグリっと抓られる。突き込みながら龍生さんが俺のちんぽを扱き始めた。 「んくぅ …し、締まるぅ」 「た、龍生さん俺…俺、んぁぁ…んぁ…んくぅ」 「隼汰射け、俺もやべぇ…種付けるからな。俺のガキ孕めよ」 俺はコクコク頷いた。 「あぁぁぁぁぁぁ…あぁぁぁぁぁ…射ぐ…射ぐ… 」 ドビュッドビュッドビュッ…ビュビュッビュビュッビュビュッ…ビュッビュッビュッ俺は白濁汁を噴き上げた。 「んぉぉぉぉぉぉ…んぁぁ…んぁぁ…で、出る…射く…射くっ」 まんこ奥に生暖かい龍生さんの汁がぶち当たった。 「龍生さん、気持ち良かった」 「俺もだぜ。隼汰」 唇が交差した。優しく舌が絡まり合う。うっとりするようなキスだった。 激しく交わった後の物憂い時間。男の香りに2人は包まれている。 「なぁ隼汰」 「ん何?」 「ちゃんと付き合ってくんねぇか?」 「えっ?」 「俺じゃ駄目か?」 「そんなことねぇよ。ただ…」 「ただ…何だよ」 「俺女にはなりたくねぇ」 「判ってるよ。お前は正真正銘男の中の男だぜ。男臭せぇから好きなんだ。女みたくなるってのは前立腺刺激されて気持ち良くなるって事だ」 龍生さんがジッと俺を見る。説得力の無い言葉だったけど何か納得してしまった。 「いいのか?」 「うん」 龍生さんの唇が寄ってきた。柔らかい唇が触れてくる。髭が俺の鼻腔を擽った。舌が絡まり合う。ぎゅうっと抱きしめ合った。一端唇が離れまた合せる。永くて甘いキス。ちょびっと切ない。男同士の激しい交尾。その残響音が耳に響いた。
俺達は一緒の時を刻み始める。温泉、映画、遊園地。いっぱい思い出も出来た。部屋で映画DVDを見る。流れる涙をそっと拭ってくれた。この前行ったバス旅行。風が心地よい緑の季節。 。 青い空。見上げるとぽっかり雲が浮かんでいる。ビワ狩りとデカのせ放題丼って言うバスツァー。俺達を乗せたバスが動き始める。俺は車中はしゃいだ。最初に行ったのはデカ乗せ放題丼の店。俺もたっちゃんも海の幸ドッサリのせた。新鮮な魚介類が盛り沢山な丼。凄ぇ美味かった。次に行ったのがビワ園。いっぱい食った。口に頬張るとジュワーッと甘さが広がってくる。たっちゃんと目が合った。顔が綻んでいる。 「美味ぇな」 「俺、たっちゃんの汁の方がいいや」 「バカたれ」 ゲンコツでコツンと小突かれる。今度は2個実が付いてる所採って舐めてみた。 「何してんだ?」 「たっちゃんの金玉しゃぶりてぇ」 またコツンとされる。口尖らせて拗ねてしまった。後で人気のない所でチュッとして呉れる。直ぐに機嫌が直った。バスの中でさり気なく手を触れさせる。回りを気にしながらも握って呉れた。時折交わる視線。何か眩く感じた。 「たっちゃん俺さ……」 「バッカだなぁ」 会話は尽きなかった。たっちゃんと居るととにかく嬉しい。言葉も自然に多くなる。それに心が落ち着いた。 「今晩どうすんだ」 「勿論泊まりにいくよ。駄目かよ」 「駄目な訳ねぇだろ」 いい年して甘えん坊。直ぐ拗ねたり泣いたりする。こんなガキみてぇな俺と真っ正面から向き合って付き合って呉れる。そんなたっちゃんが大好きなんだ。逢うのは最初週に1回位だったけど今は週に3~4回位はたっちゃんのマンションに泊まりに行ってる。料理、洗濯、掃除。たっちゃんの身の回りの世話してると最高に幸せを感じる。何時だったか俺の住んでる所の話した事が有った。 「えっそこって俺子供の頃住んでたぜ。河原でよく弟と遊んでたんだ」 「弟さんいたんだ」 「うん、居た。実はさ親父とお袋俺が5歳の時離婚したんだ。俺は親父に引き取られ弟はお袋に引き取られたはずなんだ。俺も良く覚えてないけど、確か2つ下だから生きていたらお前と同い年だな」 たっちゃんのご両親が離婚。俺と同じだ。俺が3歳の時に俺の親は離婚している。もしかしてたっちゃんが実の兄貴…… 「ワンコいてさ。可愛かったなぁ」 「犬飼ってたんだ。俺もだよ」 これも一緒だ。俺は葛藤する。悶々としてきた。 いつものように時が流れる。会社に行く。たまにジムで鍛える。そしてたっちゃんと一緒の時間を過ごした。生活は充実している。ひとつの事を除いては…… あれは俺が20歳の時だった。 「隼汰、話があるからちょって来て……」 「えっ何だよ」 座卓を挟み向かい合って座った。お袋の目が真剣になっている。 「隼汰、実はね……」 お袋が語り始めた。声が微かに震えてる。親父は交通事故で亡くなった訳ではなかった。俺が3歳の時に離婚したと言う。親父は2つ上の兄を連れて家を出て行った。 「御免ね。あんたが成人したら話そうと思ってたから……」 「話してくれてありがとう。俺はお袋が居ればそれで良いからさ。あっ肩揉んでやるからな」 ほんの少しビックリはしたのは事実だ。生きていれば何処かで会えるかも知れない。だが捜そうとかは思わなかった。渡された1枚の写真。ずっと机の引き出しの奥で眠っていた。幼少期の環境があまりにも似ている。悩んでいても埒があかない。俺は動いた。伯父ちゃんに兄の名前を聞いてみる。名前が違えば兄弟では無いと思った。無情な答えが返ってくる。兄の名前は鹿島龍生。たっちゃんと名前も一緒だ。100%ではないかも知れない。兄弟の可能性は極めて高いと思った。愕然とする俺。狼狽えた。このまま付き合おうと思えば付き合える。でもこのもやもや感を残して付き合うのはちょっと辛い。もし兄弟だと判ったら恋人では居られないかも知れない。無茶苦茶悩んだ。頭の中がこんがらがる。でも俺は確認してみようと決断した。今たっちゃんのマンションでテーブルを挟み向かい合い座っている。 「たっちゃん、大事な話があるんだ」 「えっ…大事な話」 「うん」 今俺はあの写真をたっちゃんに見せようとしている。心臓音が早鐘のように高鳴った。喉がからからに乾いてくる。俺は重い口を開いた。 「たっちゃんこの写真見覚えねぇか」 たっちゃんの表情が一変する。俺とお袋そして知らない男の人とやんちゃそうな坊やが映っていた。 「えっこれってえっどういう事だよ。若い頃の親父と俺だよな。な、なんでお前持ってるんだよ?」 「お袋から渡された。ずっと机の中にしまってたけどな」 たっちゃんの顔がどんよりと曇った。 「俺の兄貴と親父だって言ってた」 「俺、実の弟を抱いていたんだな」 「多分…そうなる」 たっちゃんは狼狽している。長い沈黙が続いた。 「なぁ隼汰、その写真借りてもいいか」たっちゃんが重たい口を開いた。 「うん。いいよ」 俺はぼそっと声にする。心が掻きむしられるように焦った。どうしていいのか判らない。視線が交差する。瞳の奥から愁いを帯びた光を放っていた。俺たっちゃんを困らせてる。大好きなたっちゃんを……僅かな後悔が襲ってきた。 「じゃぁ俺帰るな」 「うん判った」 俺は席を立った。いつもなら見送ってくれるたっちゃん。今日は無かった。勿論お別れのキッスも無い。ドアを開ける。ガシャッと締まった。涙がボロボロ流れてくる。俺は運命を恨んだ。
毎日のようにきていたメールがここ2週間着ていない。俺も出していなかった。葛藤する日々。毎日自分の問うた。頭の中を色んな事が掛け巡る。俺は自分の問いに答を出した。スマホがメール着信を知らせる。たっちゃんからだ。恐るおそるスマホを開ける。メールを開いた。 ”あの写真親父の妹に見て貰った。やはりあの写真、俺のお袋とお前みたいだな。隼汰、お前も大分悩んだと思う。俺もかなり悩んだ。でも判った。たまたま好きになった奴が実の弟だったんだってさ…今日でも明日でも明後日でもいい。もし良かったら今まで通り俺んちに来てくれ”たっちゃんの気持ち俺と同じだった。喜びと切なさと色んな感情に取り囲まれる。たっちゃんに逢いたい。俺は家を飛び出した。今俺はたっちゃんちの玄関の前に居る。インターホンを鳴らした。はぁはぁはぁ吐息が洩れている。ドアが開いた。 「た、た、たっ」 たっちゃんの唇で俺の口が塞がれた。ゆっくりとドアが閉まる。バタンと音がした。 「泣くな。隼汰」 「たっちゃんも泣いてんじゃねぇか」 またキスをした。 「隼汰、いいんだな」 「うん、いい」 たっちゃんのおなかがぐぅと鳴った。 「何かつくるな」 「あぁ頼む」 キッチンに入る。冷蔵庫を開けた。豆腐と鶏肉、冷凍のエビ。何とかなるな。限られた食材で料理を作った。 「たっちゃん出来たぜ。運ぶの手伝ってくれよ」 「おお」 テーブルに料理が並んだ。豆腐の生姜焼き、野菜サラダ、ジャガイモと鶏肉のマヨネーズ焼き、エビと野菜の掻き上げ、キャベツの即席漬。テーブルを挟み向かい合って座る。グラスにビールを注ぎ合った。 「隼汰…ありがとう」 「うん」 深いありがとう。料理を作ってくれて…再会できて…そして… 「たっちゃんありがとう」 視線が交差する。グラスがカチンと触れ合った。 「美味ぇ…隼汰は料理の天才だな」 「そんな事ねぇよ。愛情こもってるけどな」 たっちゃんを見ると零れるような笑顔をしていた。 食事を終えた。ソファーに並んで座りテレビを観ながらウイスキーの水割りを飲んでいる。 「なぁたっちゃん」 「ん、何だ?」 「に、兄ちゃんって呼んでいいか?」 「う、うん」 たっちゃんがちょびっとはにかんでいた。 「に、兄ちゃん」 俺は兄ちゃんの胸に顔を埋める。兄ちゃんは俺の頭を優しく撫でてくれた。 「隼汰は甘えん坊だな」 「嫌か」 「ううん可愛いぜ」 「兄ちゃん」 抱きしめられる。また頭を撫でられた。唇が寄せられる。軽く触れ合う柔らかい兄ちゃんの唇。そっと舐める。ゆっくりと兄ちゃんの口の中に舌を挿れた。絡み合う舌と舌の感覚が否応なく性腺を昂ぶらせる。兄ちゃんの股間に手を這わすとそこはガチガチになっていた。兄ちゃんも俺の股間に手を這わせてくる。 「あ、兄ちゃん」 コクンと頷いた。 手を繋ぎながら寝室に向かった。手を通し兄ちゃんの激しい鼓動が伝ってくる。扉を開け灯りを燈すと妖しくベッドを照らしていた。向かい合い顔が近づいてくる。唇を寄せてきた。柔らかい唇が俺の唇に重なる。堪らない気持ちが芽生えてきた。兄ちゃんの腕が背中に回ってくる。俺はギュッと抱き付いた。激しく舌を吸いあい絡み合わせる。シャツの上から乳首が弄られた。俺のカラダが微動する。 シャツのボタンに手が掛かる。着ている物を1枚1枚脱がせてくれた。兄ちゃんも瞬く間に裸になる。 2週間振りで見る兄ちゃんのカラダ。前にも増して逞しくなったような気がした。大胸筋は大きく2つに割れ肩の筋肉は盛り 上がっている。太っとい脚の筋肉。その中心部には鬱蒼とした剛毛の中から男の証がそびえている。俺は吸い寄せられるように跪くとちんぽを頬張った。兄ちゃんの香りが鼻腔を擽る。ジワーっと我慢汁が溢れてきた。舌を絡めその汁を吸い取る。金玉を軽く握ると真ん中の縫い目を指で掻き上げた。 「堪んねぇ…隼汰…気持ちいいぜ」 俺は口を窄めてちんぽに舌を絡ませる。ジュルッジュルッと 尺八音が奏でられた。一端引き抜き兄ちゃんを見上げる。途轍もなく優しい目をしていた。 「はぁ…」 一気に根元まで咥え込んだ。喉を大きく開き喉奥でぎゅうぎゅう締め付ける。また兄ちゃんの我慢汁が溢れてきた。兄ちゃんは俺の頭を抑え付ける。腰を前後に動かし始めた。喉壁がちんぽで擦られる。濃い陰毛が肌を擽った。兄ちゃんの香りが充満してくる。堪らなく切ない感覚が沸き起こってきた。 「んぁぁ…堪んねぇ…喉の粘膜が絡まってくるぜ」 ジュボッジュボッジュボッと尚も舌を絡めていった。 「んぁぁ…んぉぉ…射かすぜ。隼汰…呑めよ」 兄ちゃんのちんぽがプクンと膨らんだ。兄ちゃんの雄汁が俺の喉奥にぶつかってくる。舌を兄ちゃんのちんぽに絡めた。静かにちんぽを解き放つ。視線が絡まる。俺の喉がゴクンと動いた。兄ちゃんの雄汁が喉を通る。胃の中へと流れていった。立ち上がりキスをする。口の中で兄ちゃんの残り香が広がった。 「隼汰、気持ち良かったぜ」 何度も飲んでる兄ちゃんの雄汁今日は格別な味がした。 「兄ちゃんの汁はやっぱ美味ぇや」 眩しく視線が交差した。 「何だ。隼汰、俺のちんぽしゃぶりながらちんぽおっ勃ててるぜ」 「当たり前だろ。兄ちゃんのちんぽなんだからな」 口を尖らせた。 「怒るなよ。可愛い顔が台無しだぜ」 軽くチュッとキスされた。一緒にベッドに横たわる。優しく抱き寄せられるとまたキスをした。 「今度はお前を気持ち良くしてやらねぇとな」 兄ちゃんが腕枕してくれた。デカい力こぶが頬に触れる。ちょびっと幸せな気分になった。 「ギンギンだな」 俺のちんぽが兄ちゃんのゴツい手に包まれる。欲情している俺のちんぽからピュッと我慢汁が飛び跳ねた。射ったばかりの兄ちゃんのちんぽ。グイッグイッグイッと頭をもたげてきた。 「兄ちゃんのちんぽも元気になってきたぜ」 「当たり前だ。好きな奴のちんぽ握ってんだからな」 兄ちゃんのちんぽを軽く握る。熱を帯びたように熱くなっていた。兄ちゃんの唇が微動する。 「……」 「えっ…聞こえねぇよ。何て言ったんすか」 はにかみながら小声で言った。 「掘ってくれよ」 目の周りをほんのり薄紅色に染めている。年上だけど無茶苦茶可愛い。 「バリタチだろ?経験あるのか?」 「ねぇ……」 兄ちゃんが真っ直ぐに見てくる。瞳の奥から眩い許りの光が放たれていた。 「考えてたんだ。お前が弟であり最愛の恋人だよな」 「うん」 「躰を委ねてみようってな。絆がもっと深くなるような気がするからさ」 兄ちゃんの顔が紅潮している。俺は兄ちゃんの両脚を抱え上げた。雄穴にふぅっと息を吹きかける。ビクンとカラダが震えた。俺のちんぽからは我慢汁が溢れ続けている。ちんぽを雄穴に宛てその汁を擦り付けた。指でケツ毛を掻き分ける。雄穴を両親指でグイッと拡げた。現れた薄桃色の蕾。優しく唇を触れさせた。 「兄ちゃん脚抱えてくれよ」 「お、おぉ」 兄ちゃんは自分で脚を抱えた。雄穴の入口辺りを舌を這わせて舐めてみる。唾液を舌に乗せ雄穴に塗り込んだ。ジュルジュルと舐め上げていく。少し緩んだ兄ちゃんの雄穴。俺を誘うようにピクンと動いた。尖らせた舌で雄穴を小突いていく。何度も繰り返していく内に穴が開いてきたのが判った。 ローションを掬い取る。内壁に万遍なく塗り込んだ。ゆっくり指を挿れていく。 すんなりと根元迄呑み込まれた。内壁が指に纏わり付いてくる。乳首に指を這わせた。穴がキュッと締まる。兄ちゃんの顔色を伺うと安堵の表情を浮かべてた。指を2本に増やす。中を掻き回してみた。兄ちゃんのカラダがピクッと微動する。今度は指を少し折り曲げ壁を擦ってみた。 「あ、あぁぁ…ん、んぁ」 「ここ、いいのか」 兄ちゃんの頭が縦に動いた。指を3本に増やす。薬指と人差し指で左右に開き中指で内壁を擦り上げた。 「くふっ…んぁ…ん、んん」 兄ちゃんの口から甘く切なげな声がまた洩れた。空いてる手でちんぽ握ってやる。ガチガチになってる兄ちゃんのちんぽ。俺の手の中で更に硬度を増してきた。 「堪んねぇ。兄ちゃんの淫乱な格好そそられるぜ」 俺のちんぽは血管浮き出先端は汁で濡れそぼっている。指を引き抜きローションを兄ちゃんの穴口から内壁にと塗りこめる。俺のちんぽにもまんべんなくまぶした。 「挿れるぜ。力抜けよ」 兄ちゃんの首が縦に振られる。雄穴にちんぽを宛てがった。腰に力を込めて腰をクイッと埋め込む。抗いながらも亀頭が呑み込まれた。馴染ませる為に入り口付近の壁をちんぽで擦ってやる。 カラダを前に倒し唇を寄せていった。軽く唇が触れ合うと舌を挿れてくる。舌を絡ませ合いながら腰を静めていった。唇が離れる。 「はぁ…隼汰、挿ってくる。硬てぇ、デケぇ」 「痛てぇか?」 「だ、大丈夫だ。来いよ」 兄ちゃんの顔が少し歪んでいる。一端ちんぽを引き抜いた。ローションを奥の方まで塗り込める。雄穴に亀頭を宛てがうとゆっくりと腰を沈めた。根元迄呑み込まれる。内壁がネットリと絡んできた。 「すんげぇ、まんこ絡まって気持ちいい」 俺の腰が自然に突動する。グイッグイッと打ち込んだ。 「兄ちゃん、ごめんな。馴染む迄待てなかった。腰が勝手に動いちまう」 「大丈夫だぜ。チョッと痛てぇけどそれよりお前のちんぽで擦られると凄ぇ気持ちいいんだ」 ガシガシ突き込むと兄ちゃんのおまんこのヒダみてぇのが蠢動してきた。 「隼汰ぁ、俺の処女まんこどうだ。感じるかよぉ」 「堪んねぇ…すんげぇ締め付けだ」 腰をガシッガシッと縦横無尽に動かした。突き込みながら兄ちゃんの乳首に舌を這わせる。内壁が収縮してきた。 「あ、あ、あぁぁ…堪んねぇ…いい…隼汰ぁ…気持ちいい」 「お、俺も…あぁ…いい…まんこ、堪んねぇ」 俺は奥深い所まで突き込んでいった。強張りが取れたおまんこが亀頭を締め付けてくる。突き込みが自然に速くなった。 「あぁぁぁ、しゅ、隼汰…堪んねぇ…そこもっと擦ってくれ。んぁぁ…んぁ…いい」 「兄ちゃん、ここいいのか。ここだな。突くぜ。俺のちんぽ感じろよぉ」 ヌチャッヌチャッヌチャッ…グショッグショッグショッ…ジュグッジュグッジュグッ 火照りと湿り気を帯びた音が鳴り響いた。 「兄ちゃん、俺、もう……」 「うん、一緒に射きてぇ。ちんぽ扱いてくれよ」 突き込みながら俺は兄ちゃんのちんぽを扱いた。兄ちゃんが俺のちんぽ目掛けて腰を打ち付ける。その動きに合せて俺は突き込んだ。2人のカラダが一つになる。昇りつめていった。 「あぁぁぁぁんぁ」 兄ちゃんが哭き叫ぶ。 「んぁぁんぁぁ…んはっ」 俺が吠えた。 「んぁ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…んくっ…射く、射ぐ」 「んぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…んぁんぁんぁ…射ぐ、射く、射くぅ」 俺は兄ちゃんのまんこの奥に雄汁を打ち付けた。 ドビュッドビュッドビュッ…ビュビュッビュビュッビュビュッ…ビュッビュッビュッ兄ちゃんが大量の白濁汁を射ち放った。 俺はドサッと兄ちゃんの上に倒れ込み唇を交わした。 「まんこ最高だったよ」 「うん、俺も気持ち良かった」 「隼汰、これで良かったんだよな」 俺はコクンと頷きちんぽをクイッと突いた。 「兄ちゃんは…?」 頭を縦に振り俺のちんぽをぎゅうっと締め付けた。軽く唇を合わせる。一端唇を離しまたキスをした。唇を重ね合う。舌を交えた。兄ちゃんの髭が俺を刺激する。舌を絡ませ合いながら兄ちゃんの腕が俺の背中に回った。濃厚なキス。カラダの芯から蕩けそうになるキスだった。甘えるように兄ちゃんの胸に顔を埋める。何時しか微睡の世界に堕ちていった。
呼び名も龍生さんからたっちゃんになり今は兄ちゃんになった。血の繋がった俺達。前よりも一層親密になっている。ある日の日曜日昨晩激しく交わり朝遅めに起床した。朝食を済ませまったりと珈琲を飲んでいる。 「兄ちゃんこの際一緒に住まないか?」 「うん、いいよ。何時でも引っ越して来いよ」 「ここでもいいんだけど俺んちって言うか、兄ちゃんちでも有るんだけど今住んでる家リフォームして住めればなって思ってるんだ」 「えっ」 突然の話に兄ちゃんはキョトンとしている。俺は兄ちゃんを連れだした。前々から老朽化した家をどうするか悩んでいた。建て替え、リフォーム、売却、選択肢は3つ。唯前の道路が狭く建て替えは難しいらしい。売却しても資産価値が低いので高くは売れないと聞いた。そうなるとリフォーム。実の兄ちゃんが居ることが判った今、リフォームして一緒に住むことが出来ればそれが一番良い事だと思っていた。 「ここだぜ」 「俺もここに住んでたんだ」 「うん」 兄ちゃんは感慨深げに家を見ていた。 「入ろう。びっくりする位ボロ家だけどな」 玄関を開けた。 「お邪魔しま~す」 「何他人行儀な事言ってんだよ。兄ちゃんの家なんだからな」 「おぉ、そうだよな」 はにかみながら頭をぼりぼり掻いている。 「俺達が育った育った所だからさ。ここリフォームして一緒に住もう」 「うん、そうだな」 視線が交差する。その眼の輝きは希望に満ち溢れていた。俺と兄ちゃんの育った家。親父とお袋が残してくれた大切なものだ。俺と兄ちゃんとで守っていく。2人で実家をリフォームする事にした。リフォームプランを考える。忙しかったけど心踊るような日々が続いた。 リフォームプランその外枠が完成した。1階に駐車場、リビングダイニング、広めの浴室、2階にゲストルームと俺達の寝室。寝室は寛ぎと淫猥な空間にしたい。トイレは各階に設置する。浴室の隣にはケツ洗浄シャワールームを設置する。ウッドデッキも設置したかった。普通の家のリフォームとはチョッと趣が違う俺達の家。兄ちゃんの友達で工務店をやっ ている祐一さんに頼むことにした。祐一さんもこっちの人でハッテン場、 ゲイバー等の工事も数多く手掛けている。 祐一さん祐一さんの部下で恋人の凱斗が現場監督だ。兄ちゃんは俺に似ていると言う。甘えん坊なところが……職人さん達も偏見ないいい人ばかりだった。何度か陣中見舞に行った時も気軽に話しかけてくる。 「俺達頑張っていいもの作るっすからね。幸せになってくださいよ」なんて大工さんが言って呉れた。 祐一さんがあの写真をチョッと貸してほしいと言う。何に使うのかなとは思ったけど貸し出した。何に使うんすかって聞いてみる。”秘密だぜ”って言うとにんまり笑みを浮かべていた。引き離された兄弟がまた一緒になる。それも兄弟であるのと同時に連れ合いとして一緒に新居に住む。今後の事も有るので包み隠さず話すことにした。親父の妹夫妻である橋詰さんに話しする。俺はお袋が離婚してからは会う事は無かったけど兄ちゃんは結構可愛がられてたようだ。驚愕する叔父ちゃんと叔母ちゃん。最後には微笑みを浮かべていた。 「ねぇ、リフォーム終わったら改築祝いを兼ねて貴男たちの事もお祝いしないとね」 叔母ちゃんの明るい声。横に居る叔父ちゃんはにっこりしていた。お袋の兄夫婦の五月女さんも一緒だった。驚きのあまり2人とも目を丸くしている。だが心から喜んでくれてたように俺の目には映った。 「いずれにしてもめでてぇ事だからな。お祝いしねぇとな」 「そうよね。お父さん」 伯母ちゃんもニコニコしながら声にした。悩んだあげく職場の人達にもカミングアウトする。やはり戸惑いは隠せなかったみたいだ。温もりのあるみんなの目。おめでとうの言葉を貰った。兄ちゃんも同じような反応だったと言う。俺達の回りの素敵な人達。ありがたくそして幸せ者だと俺は思った。いよいよ明日リフォームが完成する。夜6時から改築祝い兼龍生&隼汰の人前式が行われる予定だ。出席してくれるのは橋詰夫妻、五月女夫妻。俺と兄ちゃんの共通の友達である俊雄と三郎。兄ちゃんが働いている会社の坂上社長、俺が働いている会社の上司である上村部長。仕切ってくれるのは今回リフォームでお世話になった祐一さん。勿論凱斗も来てくれる。大工の仲間さんと高部さんも是非参加したいと言ってくれた。場所は新居のリビング、料理は俺が作る。会費は無料でも良かったけど500円、ワンコインだけ頂くことにした。今日親父とお袋のお墓参りも済ませた。俺達は墓前で合掌する。 ”お袋、俺兄ちゃんと巡り合う事が出来たよ。お袋が合わせてくれたんだよな。孫を見せてあげる事は出来ないけど俺達は幸せになるからな” ”親父、俺隼汰を一生かけて守るつもりだぜ。天国から見守ってくれよな”そしてもう一か所行きたい所があった。あの写真に背景になっている海。色々探したけど何処だか判らなかった。この前偶然雑誌を見ていたら或る写真を見付ける。似ているなと思って照らし合わせてみるとバッチリ一緒だった。 「兄ちゃんここだぜ」 「ホントだな」 潮風が頬を掠める。チョッと切ない気分になってきた。 「海岸に降りてみようか」 「うん」 俺と兄ちゃんの影が大きくなってきた。影と影が絡まり合っている。 砂浜にすわりただぼーっとしていた。ゆっくりと時間だけが過ぎていく。 「隼汰、幸せか?」 「うん、幸せだよ」 「俺も…」 陽が落ちさっきまで遊んでいた子供たちもいなくなった。暗闇の中月と星の光だけが俺達を照らしている。ザブーンザブーンと波の音が響いてきた。いつしか肩を寄せ合っている。握り合っている兄ちゃんの手が熱い。横を向くと兄ちゃんと目が合った。唇を寄せていく。兄ちゃんの方からキスをしてきた。 「行くか」 「うん」 帰り道海岸通りを車を走らせる。飲み物を買いにコンビニに寄った。隣に並んでる店に引きよされるように入った。そこはペットショップ。無邪気な仕草に心癒された。兄ちゃんが一匹の犬のまえで立ち止まった。白にうっすらと頭の辺りが薄茶のポメラニアンの仔犬で性別はオス。 「可愛いな」 「うん」 「なぁ…」俺と兄ちゃんは一緒に口を開いた。視線が絡まり合う。俺達の長男が誕生した。名前は”龍汰”。龍生の龍と隼汰の汰をとってそう命名した。翌日は朝から忙しかった。兄ちゃんのマンションから最後の荷物が運び出される。近所の神社にお参りし永久の愛を誓った。新居に車を走らせる。もう既に祐一さんと凱斗は待っていてくれた。俺と兄ちゃんと龍汰が祐一さん達に歩み寄る。 「おっ犬飼ったのか?」 俺に抱かれてる龍汰を見ると目を細めていた。 「うちの長男の龍汰っすよ。龍汰御挨拶は?」 俺が言う。クーンクーンクーンと龍汰が甘えるように哭いた。 「抱かせろよ」 龍汰は祐一さんに抱かれるとペロペロと頬っぺたを舐めている。祐一さんは龍汰を俺に戻すと家を案内してくれた。あのボロ家が見事に甦っている。玄関には橋詰隼汰、鹿島龍生の表札が掛けれれてあった。1階に作られた4畳半の和室、此処には仏壇が置かれた。今別々のお墓に眠っている親父とお袋。家では一緒に祀りたかった。親父とお袋には迷惑な話 かも知れない。だけど仏壇に写真を並べて飾った。寝室の大きな鏡は剥き出しだと生々しいので引き戸の中に収納されるように作られた。チョッと広めの浴室。ヒーリングライトも付けて貰った。浴室から続く洗浄室。入口が判りにくいようにひっそりと造られた。2階に設置されたウッドデッキ。充分の広さがあった。天気の好い日には食事をしたり日焼けも出来る。ウッドデッキに兄ちゃんと一緒にたった。初夏の青空が広がっている。陽射しが柔らかく俺達を包んでくれた。 「祐一、凱斗本当に世話になったな」兄ちゃんが言う。 「こんな素晴らしい家にしてもらってありがとうございました」 俺が言った。 「俺の方こそありがとう。いい仕事させて貰ったよ。ねっ兄貴」 「そうだな」 凱斗の声が心地よく響いた。俺と兄ちゃんの思いが込められた家。今兄ちゃんの手に新しい鍵が渡された。新しい家具、家電、食器類、引っ越し荷物と次々に運ばれてくる。チョッと大きめのダブルベッドも設置された。荷物の整理を兄ちゃんに任せると俺は料理の支度に取りかかる。3時過ぎ伯母さん達が手伝いに来てくれた。場所が狭い為今日は立食タイ プのバイキング。料理が完成しキッチンカウンターに並べられた。”鯛のお造り、牛肉の赤味噌煮、エビのお祝いサラダ、鴨のテリーヌ、生ハムのカルパッチョ、海鮮チラシ、桃のジュレ風ゼリー”素人の細やかな手料理だけど俺は最高の気持ちを込めて作った。
夕刻次から次とお客様が訪れた。俺は龍汰を連れてくる。初めてみる大勢の大人達。少し震えている。頭を撫でてやるとキュンキュンキュンと甘えてきた。 「うちの長男龍汰です。龍生の龍と俺の汰をとりました」俺が言った。 「可愛いな。抱かせろよ」大工の仲間さんが言う。 龍太は大人しく仲間さんに抱かれていた。 「俺にも抱かせろよ」三郎が言う。 仲間さんから三郎に渡される。こうして龍汰はおもちゃのようにみんなに抱かれていた。クーンクーンと甘えている。そして予定通り人前式は始まった。俺達は衣装に着替える。用意したのは青いTシャツと白のチノパン。Tシャツには小さな男の子2人がキスしている柄がプリントされている。 「ただいまより橋詰 隼、鹿島龍生の人前式を始めます。皆様拍手でお迎えください」 祐一さんが口火を切った。拍手に迎えられる。俺達は堅く手を握り合いながらリビングに入った。ドックンドックンと兄ちゃんの鼓動が伝ってくる。祐一さんがゆっくりと語り始めた。 「龍生と隼汰は幼少の頃親御さんの都合で離ればなれになりました。親父さんは龍生を育てるながらお袋さんに譲った家の残債も払い続けたと聞きました。専業主婦だったお袋さんは直ぐに職を探したようですがシングルマザーに世間は冷たかった様です。パートを掛け持つしかなかったと聞きました」 シーンと場は静まり返った。 「結果貧しい生活を強いられたようです。唯一救われたのは2人とも親御さんの愛情を全身で浴びながら育ったことでしょう。そして最愛の人と巡り会えました。でもその相手が男性でしかも実の兄弟だったのです。かなり悩み苦しんだと思います。2人が出した答えは愛を貫くこと。正々堂々と生きたいと考えた2人はカミングアウトも辞さなかったのです」 祐一さんは兄ちゃんを見る。そして俺を見た。 「そうだよな」 俺と兄ちゃんはコクンと頷いた。 「様々な荒波をを乗り越えた2人が本日皆様の前で永遠の愛を誓います」 祐一さんが声を張り上げた。祐一さんは丸い平板を掌に置いた。その板には”絆”と筆で書いてある。俺はその平板の上に手を置いた。その上に兄ちゃんの手が重ねられる。鼓動が高鳴ってきた。祐一さんと兄ちゃんの視線が交差する。兄ちゃんがゆっくり口を開いた。 「誓いの言葉。俺達2人はこれからどれだけの嵐が吹こうとも2人で力合わせそれを乗り越え明るい家庭を築いていく事をここに誓います。まだまだ若輩ではございますが今後ともご指導の程宜しくお願い申し上げます。鹿島龍生」 「はっ、橋詰隼汰」 俺が名乗った。拍手が沸き起こる。大人しく五月女叔母ちゃんに抱かれていた龍汰もキュンキュンキュンと吠えていた。兄ちゃんと視線が交差する。その眼差しは幸せ色に輝いていた。多分俺の目にも同じような輝きをしてるだろうと思った。 「指輪の交換です」祐一さんが声にする。 兄ちゃんが俺の左手をとった。俺の手は緊張で小刻みに震えている。どうにか左手の薬指に嵌めて貰う。兄ちゃんを見ると優しい眼差しで俺を見ている。俺は左手で兄ちゃんの手を取った。焦るな落ち着け自分に言い聞かせる。指輪を手に取り兄ちゃんの左指に嵌めこんだ。刻印はMeilleur ami (最高の相棒)……世界一の相棒がここに誕生した。結婚証明 書に署名する。兄ちゃん、俺そして2人のおじちゃんが名前を記した。 「では誓いのキッスをお願いします」 祐一さんの声が優しく切なく心に響いた。 「隼汰……」 兄ちゃんの両手が俺の頬を覆った。顔が近づいてくる。兄ちゃんの香りに誘引されるように俺は唇を寄せていった。唇が静かに触れ合う。 そして離れた。拍手が沸き起こる。その拍手が大きくなった。 「アンコール、アンコール、アンコール」 俊雄が声を上げる。 「アンコール、アンコール」三郎が声を上げた。凱斗が、上村部長が、坂上社長が…そして叔父さんたちまで手を叩く。キュンキュンキュンと龍汰が吼えた。 「キッスキッス」「キッスキッス」「キッスキッス」「キッスキッス」「キッスキッス」優しい眼差しでみんなが見ている。俺達はまたキスをした。俺の頬に涙が一滴伝う。また盛大な拍手が沸き起こった。 「では乾杯に移りたいと思います。音頭は龍生が勤務する会社の坂上社長お願いします」 「ご指名に預かりました坂上です。最初聞いた時は驚きました。もしかしたら世間では嫌悪感を示す人がいるかも知れません。でも私は大いに応援していきたいと思います。鹿島、隼汰君おめでとう。乾杯」 カチンカチンカチンとグラスが触れ合った。 「おめでとう」 「幸せになれよ」 「頑張れよ」 暖かい声が飛び交った。 「皆様暫しの間ご歓談をお楽しみください」 祐一さんが声にする。カウンターの前に集まり出した。 「凄ぇこれ隼汰が作ったのか?」 橋詰伯父ちゃんが言う。 「龍生は幸せ者だな」 五月女叔父ちゃんが声にした。 「叔母ちゃん達にかなり手伝ってもらいましたから…」俺が言った。あちこちで料理を絶賛してくれる。それだけでも俺は幸せを感じた。インターホンが鳴る。おばちゃん2人が席を立った。 「お待たせしました。ウエディングケーキが届きました」 五月女叔母ちゃんが嬉しそうに言った。 「あっ凄ぇ…嬉しいっす」 兄ちゃんが目を輝かせながら声にした。 「ありがとうございます」 俺の声が弾んでいた。ケーキのてっぺんに2人の男性がキスしている砂糖菓子がが乗せられる。 「この飾りは私達の手作りよ。ねっ」 五月女叔母ちゃんが声にする。橋詰伯母ちゃんが横でニコニコしていた。蝋燭が灯される。リボンのついたナイフを手渡された。 「2人初めての共同作業です」 祐一さんが声を張り上げる。照明が落とされた。蝋燭の光が優しく室内を照らしている。 こうして俺達の人前式は進んでいった。従兄弟達からのDVDレターが紹介される。会社の同僚からの寄せ書きとサイン帳が手渡された。 「皆様実はこの家のリフォームは完成しておりません」 祐一さんの声。視線が祐一さんに集まった。 「龍生と隼汰が結ばれるにはある写真がありました。その写真がこちらです」 あの古ぼけた写真が少し大きくなり見事に複製している。フォトフレームに収められていた。 「この写真を飾り棚の真ん中に収めて貰ってこそ、この家のリフォームは終了します」 俺と兄ちゃんにフォトフレームが手渡される。俺達は飾り棚に置いた。また拍手が沸き起こる。手を叩く音がやけに優しく聞こえた。あちこちで楽しそうに歓談している。ビールを注ぎ合い料理を食べていた。色んなサプライズをして貰った俺達。人前式は幕を下した。
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