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親父狩り④

目覚めるとまだみんな眠っていた。兄貴のほっぺにチュッとキスをする。兄貴は目を覚ました。
「兄貴おはよう」
「あぁおはよう」
スマホを開ける。梅雨明けを知らせていた。窓からは眩いばかりの夏の陽光が射し込んでいる。
空 (4)
程なくして4人が目覚めた。もう昼近い。街は既に活動を開始している。俺達も動き出した。
「これからおまえらの引っ越しをするからな」
力也さんが言う。
「今からっすか」
和輝が言った。
「バカたれこういうのは早いほうがいいんだ。善は急げって言うからな。達朗、柊真済まんが手伝ってくれよ」
「おぉいいぜ」
「いっすよ」
俺と兄貴は当然の如く引き受けた。和輝も悠太も荷物はさほどない。2台のワゴン車で楽に運べた。和輝と悠太の新たな暮らしがこれから始まる。希望と不安がごちゃ混ぜになった表情を俺達に向けていた。
俺達は歓迎会の準備に取り掛かる。家にワゴン車を置く序にスーパーでお惣菜と酒を調達した。寿司を注文する。忙しく時間が回った。空が茜色から星空に代わる。幕が上がった。
「新入社員入場」
啓吾が声を張り上げる。俺達は立ち上がり拍手で迎えた。力也さんと啓吾、和輝と悠太と向かい合ってる。
「ただ今より古角設備特別入社式を行います」
力也さんの重たい声が部屋に響いた。
「改めて自己紹介する。俺が社長の古角力也、こいつが専務で弟の古角啓吾だ」
力也さんと啓吾が2人を見ている。その目は卑猥でも有り優しくもあった。
「あっ俺菅沼和輝っす。宜しくお願いします」
「俺…あっ高原悠太っす。宜しくお願いします」
挨拶する和輝と悠太。たどたどしいけどしっかりとした声で挨拶を返している。力也さんと啓吾が軽く礼をすると和輝と悠太は深々と礼をした。
「仕事の以外の時は返事はオッスだ。いいな」
啓吾さんが声を上げる。
「おっ、オッス」
和輝と悠太がぎこちない声で言葉を返した。
「仕事に調教に頑張ってくれ」
啓吾が言葉を続けた。
「和輝、悠太服を脱げ」
力也さんが勇健な声で言う。何の躊躇いもなく、2人は全裸を俺達に晒した。
「まずこれを付ける貞操帯だ。これは付けたままでもションベンは出来る。おまえらの射精管理するものだ。判ったな」
「お、オッス」
和輝と悠太の声。表情が翳った。啓吾さんが2人に貞操帯を装着。鍵をガシャリと掛けられる。ちんぽと金玉。男の証が拘束された。2人の表情が明らかに変わっている。翳りが消えた。ほっこりとした笑顔を浮かべている。不安が無くなり安堵しているように俺の目には映った。
「作業着とハイネックシャツ、それにだ。これからは下着はだ。今日は締めてやるけど早々に締め方覚えろ。いいな」
啓吾が言い放った。
「お、オッス」
2人は元気に応える。六尺を締め込まれた。逞しいカラダにが良く似合っている。一端の日本男児が生まれた。
「貞操帯は風呂入る時は外してやる。出たらまた着けてやる。いいな」
啓吾が言葉を続けた。
「オッス」
和輝と悠太の声が重なった。
「これから同じ屋根の下に住むことになる。俺達はお前らを家族だと思っているからな」
力也さんが優しく言った。力也さんは和輝を抱きしめキスをする。次に悠太を抱きしめキスをした。今度は啓吾。悠太を抱きしめキスをする。そして和輝を抱きしめキスをした。
「仕事早く覚えて一人前の職人になれ。そして一人前のMになれ。楽しみにしてるぞ」
「オッス」力強く明るい声が鳴り響いた。にっこりほほ笑む力也さんと啓吾。その目にSの光はなく優しい父親のようだった。
「これがお前らから没収した携帯と財布それに免許証だ。悪いが登録してあったアドレス、電話番号はコピーさせて貰った。悪さするなよ。内容によってはこのコピーしたアドレスとか電話番号使うことになるからな。これはお前らの物だから返しておく」
力也さんが言葉にする。最後に力也さんから封筒が渡された。
「俺達4人からのご祝儀だ。大切に使えよ」
「あ、ありがとうございます」
2人は顔を綻ばせている。悠太の目からは涙が一滴垂れていた。パチパチパチ俺が手を叩く。兄貴がが手を叩いた。力也さんと啓吾も……”頑張れよ”と言葉を投げ掛けながら手を叩いた。
「入社式は終わりだ。歓迎会始めるぞ。お前らも料理運ぶの手伝ってくれよ」
啓吾が声を上げる。ダイニングテーブルに並ぶ寿司、そして盛り沢山の料理。和輝も悠太も顔が綻ばせながら料理を運んでいる。歓迎会が始まった。ビールがグラスに注がれる。
「和輝、悠太入社おめでとう」兄貴の声。カチンと触れ合った。美味い物をたらふく食う。酒を酌み交わした。2人ははしゃぐように色んな事を語る。楽しかった事、辛かった事、これからの事。俺達はウンウンと頷きながら話を聞いた。
「締めるぞ」
力也さんが声を上げる。俺達は立ち上がった。
「よぉ~ぉ、パン」
ゆっくりと流れてた俺達6人の時間がもう直ぐ終わった。そして新たな幕が開く。悠太と和輝の調教が始まる。
「じゃぁ俺達はそろそろ帰るな」
兄貴が声にする。みんなが玄関まで見送ってくれた。4人の目が隠微に光っている。ガシャリとドアが閉まった。
「兄貴、ありがとう」
「当たり前だろ。大切な奴なんだからな」
「うん」
さり気なく手を握る。そっと握り帰してきた。
「でも良かったな」兄貴がぽつりと声にする。
「うん良かった」
「力也が人を見る目は確かだからな。あの2人の素質一瞬にして見抜いたと思うぜ。多分立派な職人になる。そしてMにもな」
「そうっすね」
力也さんの人を見る目は鋭い。そう言えば俺と兄貴が初めて会った六尺バーで言っていた。お前達にとって大切は相手になるような気がするって……
「柊真 ……」
「えっ……」
「お前、立派な態度だったぞ。甘えん坊のお前がよぉ」
「俺だってやる時はやるんだからな」
「うん、判ったよ。惚れ直しちまった」
「あ、兄貴ぃ」
視線が交差する。兄貴の優しい目の光が心地よく俺を包んだ。
「来週の土日温泉でも行くか」
「えっ、いっすね」
「俺達の時間少し奪われちまったからな……」
「うん」
俺は親父狩りに合った。その結果和輝と悠太の人生にも大きな影響を与えてしまったかも知れない。そして俺は兄貴との絆がまた深くなったような気がした。
[ 2015/06/14 14:02 ] 親父狩り | TB(-) | CM(0)

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