時はは師走を迎える。朗報と言えるかどうか判らないがひとつの話が飛び込んできた。1軒の住居兼店舗が貸しに出ている。場所は隣町だ。和斗と小母ちゃんと3人で内見している。14坪の店舗、2階と3階は住まいになっていた。2階には広めのリビングに隣接したオープン型のキッチンが設置されている。3階には8畳の主寝室。廊下を挟み4畳半の和室が2つあった。ベランダからの眺望も中々良く遠くに山々が望める。だが場所は良いとは言えない。家賃は安いが駅からは遠かった。住居部分は既にリフォームされている。だが1階は現状復帰されていた。ガランとした店舗。工事費が掛かる。銀行にまだ残債がある和斗。返済はきちんとされている。だが追加融資が出来るかは判らない。俺は和斗に目を遣った。
「ここ工事入れたらどれ位掛かるんだ」
「えっ多分350万位だと思うけど……」
俺の言葉に和斗が応える。俺は真っ直ぐに和斗を見た。
「判った。それは俺が出す。お前もう1回再起しろ」
小母ちゃんが俺を見る。今度は和斗に目を遣るとバッグから通帳を出した。
「此処に280万の貯金があるの。これは和斗が送ってくれたお金よ。これ使って欲しいわ。元々あんたのお金だからね」
「か、母さん……」
小母ちゃんの言葉に和斗が応えた。
「もうひとつ有るの。これは私からのお願いかも知れない。多分間違ってないと思うけどあんた達飯仲よね。先輩、後輩じゃなくって特別な関係でしょ」
俺と和斗の視線が交差する。俺達は狼狽えた。
「悪気は無かったけど聞いちゃった。あんた達の声。野太い和斗の声が妙に甘く聞えた」
小母ちゃんが声を上げた。顔が熱くなってくる。和斗も顔を紅潮させていた。
「私色々思い返してみたの。和斗、あんた女の子と付き合っても長続きしなかった。でも何時だったか半年位誰かと付き合っていたよね。あんたその頃異常なほど仕事に燃えていた。新しい料理のアイディアが出てくるってね。浩太ちゃんが店に来ると凄く嬉しそうだった」
小母ちゃんが真っ直ぐに俺を見てくる。瞳の奥から熱くて柔和な光が見えた。
「浩太ちゃん、”和家”で飲みに誘ってくれたこと有ったよね。ちょっと小洒落たBARに連れてってくれたの覚えてる」
「うん、覚えてるよ」
小母ちゃんの言葉に俺は応えた。
「言葉あやふやだったけどあの時親御さんに自分の事話したんでしょ。そして大反対された」
俺と和斗の視線が交差した。俺達は小母ちゃんに目を遣る。否定することが出来なかった。
「私なりに色んな事を思い返してみた。多分間違ってないと思ってる。どうなの」
俺と和斗は頷いていた。
「じゃぁ此処で一緒に住みなさい。好きな者同士が一緒に住むのは普通のことなんだからね。ダブルベッドは私が買ってあげるから……」
小母ちゃんが意味深な笑みを俺達に送ってくる。何故か清々しく俺の目に映った。
「お袋、有りがたく使わせて貰うよ」
「もし工事代金で不足する時は俺が出すな。入居資金は全部俺が出すぜ」
俺が声を上げる。その音色は自分でも力強く感じた。
「2人とも幸せになるのよ」
俺と和斗が頷いた。俺達は契約を済ませる。忙しい日々が始まった。和斗が前々から付き合いのある業者と打合せをする。素人ながら俺も意見を述べた。食器店、厨房器具屋を俺の公休日に回る。経営方針、販促方法の知恵を出し合った。大筋が決まり、店舗工事が始まる。多忙だったけど心が躍った。年が明ける。穏やかな新年の光が射してきた。小磯家の近くの神社に来ている。本殿の前で鈴を鳴らし合掌した。三人三様の其々の思いを込めて……
今小磯家のリビングに居る。俺達はテーブルを囲んだ。俺の隣に和斗、向い側には小母ちゃんが座る。グラスにビールを注ぎ合った。
「新年おめでとう」
小母ちゃんの声にグラスが触れ合った。カチンカチンと優しい音が鳴る。和斗が作ったおせちの重を開けた。色とりどりの料理が詰まっている。料理を食いながら俺達はこれからの事を語り合った。
「ハイ、これお年玉」
「えっ……」
小母ちゃんの言葉に俺と和斗の声が重なった。
「今年は特別よ。あんた達にとって大切な年だからね。でも中身は5円だから……あんた達も縁があったしこれから多くのお客様と縁があるようにってね」
渡されたポチ袋を開ける。綺麗な金色の五円玉が入っていた。穏やかな正月の時がゆっくりと流れる。夜殿初めが終わった。今俺達は抱き合っている。仄かな和斗の薫りに包まれた。
店舗完成前に引っ越しを済ませる。主寝室には小母ちゃんが買ってくれたベッドが設置された。クローゼットの下段には俺と和斗の
褌が収納される。新しいカーテンが掛けられた。パソコンの設定を終わらせる。玄関には鷹見 浩太、小磯 和斗、2つの表札が並べて掛けられた。
もう直ぐ如月を迎える。店舗が完成した。厨房器具が設置される。棚には新たな食器達が収納された。復活した”焼き鳥和家”。和斗の目が輝いている。強い闘志を感じた。今日店舗完成祝いをする。見えるのは小母ちゃんそれに後2人位お客様を連れてくると聞いた。冬の昼下がりの光が窓から射している。和斗が厨房に立った。俺は傍らで雑用をしている。トントントン小気味良くまな板を叩く包丁の音が耳に響いた。
「後何かすることあるのか」
「粗方終わりだぜ」
「風呂はいっちまうか」
「そうだな」
2階に上がる。和斗が白
褌と黒色の甚平の上下が渡された。
「これ着て出迎えようぜ。”和家”の板前服だよ」
「俺もか……」
「うん、今日も手伝ってくれたし、開店から3日間は会社休んで手伝ってくれるんだろ。俺にとっては最強のスタッフなんだからな」
「判った」
俺達は着ている物をバサバサ脱いだ。掛け湯をすると浴槽に向かい合って浸かる。和斗が目を呉れた。
「ありがとう先輩、俺を覚醒させてくれてさ」
「そんなことねぇよ。好きな奴の為なんだからな。それにこれからたっぷりと責任取って貰うからな」
「えっ責任って……」
「俺をこっちの道に引き擦り込んだのはお前なんだからな」
俺は和斗ににじり寄る。唇を寄せていった。静かに触れ合うと舌が入ってくる。俺達は舌を絡め合った。ヌチャヌチャといやらしい音が奏でられる。グイッグイッグイッとちんぽが勃ち上がってきた。キスしながら和斗のちんぽを握る。其処は既に硬くなっていた。和斗も俺のちんぽを握ってくる。唇が離れた。
「出そうか」
俺達は同時に声にする。俺達は立ち上がった。2本のちんぽは腹にくっついている。俺達はちんぽを扱き始めた。クチュックチュックチュッ卑猥な音が浴室に鳴り渡る。手を伸ばすと和斗の乳首を指で摩った。和斗も俺の乳首に指を這わせてくる。和斗ににじり寄ると2本のちんぽを重ねた。
兜合わせで扱き立てる。和斗が4つの金玉を捏ね繰り合わせた。
「あぁぁちんぽいい。金玉いい」
「俺もいいぜ。和斗のちんぽ堪んねぇ」
俺達のカラダが離れる。其々がちんぽを扱き捲くった。
「あぁぁやべぇ射きそうだ」
「まだ出すんじゃねぇぞ」
和斗の声に俺は応える。湯船に沈んだ。俺は自分のちんぽを扱きながら和斗のちんぽを咥える。顔を前後に動かした。和斗のちんぽが喉奥に突き刺さってくる。奥壁で亀頭を感じた。
「あぁぁんぁ射ぐ。あぁぁんぁ射く。うぉぉぉあぁ射ぐっ」
俺の喉奥に生暖かい男の汁がぶち当たってくる。静かにちんぽが引き抜かれた。和斗を見上げる。俺の喉がゴクンと鳴った。濃厚な汁が喉を通る。胃の中へと流れていった。
「俺も呑みてぇ」
俺は立ち上がる。交代に和斗が浴槽に沈んだ。ちんぽが握られ、咥えられる。和斗の頭を抑えるとグイッグイッと引き寄せた。舌が絡んでくる。喉壁にちんぽが擦られた。
「あぁぁんぁ射っちまう」
和斗がコクコク頷いた。顔を前後に動かしてくる。金玉の奥が熱くなってきた。
「うぁぁんぉ射ぐ。あぁぁあぁ射く。んぁぁんぉぉ射くっ」
俺は和斗の喉奥目掛けてオス汁を撃ち付けた。金玉が摩られ、ちんぽに舌が絡んでくる。俺はちんぽを引き抜いた。視線が交差する。和斗の喉がゴクンと鳴った。浴槽に沈むと和斗を抱き寄せる。毛深い脚同士が交差した。
「美味かったぜ。お前の汁」
「俺もっす」
俺の囁きに和斗が応える。軽く唇を合わせた。
「上がるか」
「そっすね」
俺の声に和斗が応える。其々カラダを洗い、風呂を出た。
褌を締め込み、甚平を羽織る。甚平の裏面には焼き鳥和斗と文字が入っていた。同じ素材の前掛けをかける。俺達は”和家”に戻った。西の空に陽が傾き始める。
和斗が料理の仕上げに掛かった。引き戸が開けられる。小母ちゃんが入ってきた。
「あっいらっしゃい」
「浩太ちゃん、その格好まるで板前さんね」
「小母ちゃんこそ留袖着てなんの積りなんだ」
「まぁね。あっちょっと待ってお客様連れてきたから……」
小母ちゃんが外に出る。直ぐに戻ってきた。現れたのは俺の父さんと母さん。父さんは礼服、母さんは留袖を着ている。俺は驚愕した。
「久しぶりだな。浩太、ホント板前みてぇだな。元気そうで何よりだ」
父さんが声にする。横に立つ母さんの目にうっすらと涙が滲んでいた。
「浩太、ゴメンね。貴方の事考えて上げられなくて世間体ばかり気にしてた」
母さんがポツリと言葉にした。
「去年の暮れに小磯さん親子が見えたんだ。色々聞かせて貰ったよ。俺達もお前の事色々考えてた。お前が和斗君と一緒になって幸せになるなら応援したいって思ったんだよな。なぁ母さん」
「そうね。それにこんなに素敵な人がお相手なら何の文句はないわ。あっ花瓶ある?お花買ってきたから……」
俺は花瓶を母さんに渡した。母さんがピンク色の花を生けている。俺に視線を向けてきた。
「これねストックって言って、愛の絆と言う意味があるのよ。あんたには母の日、父の日にずっとお花贈って貰ってたからね」
「あっそれ私も……母でもないのに」
母さんの声に小母ちゃんが応えた。
「小磯さんはお母さんに見えたのよ。きっと、ねっ浩太」
俺は頷いた。
「でも何で結婚式みてぇな格好してるんだ」
「あら浩太ちゃんと和斗の結婚式みたいなもんでしょ」
俺の言葉に小母ちゃんが応えた。
「それよりお部屋見てもらえば……」
俺は父さんと母さんに目を遣る。2人の首が縦に振られた。俺達3人は住居に上がる。リビング、居室を見て回った。
「良い家だな」
「ありがとう」
父さんの声に俺が応える。”和家”に戻った。テーブルには盛り沢山の料理が並んでいる。俺達はテーブルを囲んだ。
「ビール注いで」
小母ちゃんの声に其々がビールを注ぎ合った。小母ちゃんが父さんに目を遣る。父さんが頷いた。
「浩太、和斗君”和家”開店おめでとう」
グラスがカチンカチンと触れ合った。俺のこと、和斗の事そして”和家”の事で話が盛り上がる。穏やかに時が過ぎていった。
「あのね、あのダブルベッド私だけじゃなく浩太ちゃんのお父さんとお母さんからの贈り物でもあるのよ。それにこれも私達3人からのプレゼント」
小母ちゃんがバッグから紙包みを出すと俺に渡した。
「開けていっすか」
「どうぞ」
俺の声に小母ちゃんが応える。包装を解くとケースが出てきた。ケースを開ける。2本のプレート型オニキスのペンダントが入っていた。表面には”和家”裏面にはK&Kと刻印されていた。
「オニキスは魔除けの石。2人を色んな困難から守ってくれると思うわ」
「お前ら掛け合えよ」
小母ちゃんの声に父さんが応える。俺達はペンダントを掛け合った。
「親の前で愛し合ってる姿見せられる」
「えっ……」
小母ちゃんの言葉に俺と和斗の声が重なった。
「結婚式ではキスするでしょ」
「父さん、母さんこんなむさ苦しい男同士のキスみてぇのか。気持ち悪くねぇのか」
小母ちゃんの声に俺は応えた。
「気持ち悪くなんかねぇ。最初戸惑ったけどな好きな者どうし愛し合うのは当然のことだ。俺も母さんもお前らの事を認めてる。だからダブルベッドも買ったんだ」
父さんが言い切った。俺は和斗の手を恋人繋ぎで握る。一緒に立ち上がった。
「和斗、好きだぜ」
「俺もっす。先輩」
和斗を抱き寄せる。そっとキスをした。拍手が湧き起こる。小母ちゃんと母さんの目からは涙が滲んでいた。和やかな中”和家”の完成祝いが終わる。親達は帰っていった。2人きりになった”和家”。俺は和斗を真っ直ぐに見た。
「お前も俺の両親のところに行ってくれたんだな」
「うん、母さんが言い出したんだけどね」
「ありがとな」
和斗と抱き寄せる。穏やかな鼓動が伝ってきた。
[ 2016/07/18 18:33 ]
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