2ntブログ















続・ガテン監督①

 俺は諏訪大地、工業高校を卒業して土木工事会社に勤務する23歳。頭髪は坊主で髭を生やしている。この前遅れていた群雄町の林道工事を出向応援に行ってきた。其処で知り合ったのが監督で32歳の篤知さん。実は現場から車で40分位の所にハッテン場の川原がある。其処で誘われた。篤知の背丈は俺と変わらない。だかガタイは現場で鍛えた分厚い筋肉で覆われている。男臭い顔に不釣り合いな柔和な笑顔。坊主頭に髭が良く似合っている。
髭 (7)
出向最後の晩。俺は同じように出向で来ている亮平と順吾に犯らた。助けにきてくれた篤知さん。”俺の男に何をするって叫んでた。その時迄篤知さんに抱かれたのは僅かに2回。だけどその言葉に俺はキュンとした。その篤知さんが父さんの墓参りに一緒に行きたいと言う。言われた時ちょびっと嬉しかった。
朝目覚める。盆の入りの今日窓からは夏の青空が広がっていた。朝飯を簡単に済ませる。早速墓参り準備に取り掛かった。父さんの好物を作る。お重に詰め込んだ。
 スマホがメール着信を報せる。篤知さんからだ。
”今インター降りた。後15分位で着くと思う”
”了解っす”
もう直ぐ篤知さんが来る。心が浮いた。時が経過する。インターホンが鳴った。
”あっ俺篤知だ”
”今開けます”
ドアを開ける。ざっくりしたチェック柄のシャツを着た篤知さんが立っていた。
「ご無沙汰してます」
「ご無沙汰って1週間前だぞ。お前こっちに戻ってきたの」
「俺は篤知さんの男だろ。だったらご無沙汰だろ」
俺は訳の判らない事を口走っていた。
「どうぞ上がってください」
「おお、お邪魔するな」
俺の声に篤知さんが応える。テーブル席に座って貰った。
「アイス珈琲でいっすか」
「ああ良いよ」
トレーに2つのアイス珈琲とワッフルを乗せる。俺も席に着いた。
「どうぞ」
「済まんな」
俺の声に篤知さんが応える。ワッフルをひと口食べていた。
「美味ぇな。手作りか」
「そっす。俺さ父子家庭だったから料理覚えようって思ったんだよ。少しでも父さん楽になると思ってね。その内にお菓子も作れるようになったんだ」
「そうなんだ」
大好きな篤知さん。その人が俺の作ったワッフルを美味しいって呉れた。やはり素直に嬉しい。また何か作ってあげたいと思った。
「篤知さん、この写真見てくれよ」
アルバムの或るページを開く。其処には俺と若い頃の父さんが写っている。篤知さんが目を凝らしていた。
「なっ何となく似てるだろ」
「う、うん確かに似てる」
篤知さんと父さんは頼もしい顔付をしている。瞳の奥から放たれる光。勇と柔が混在している。やはり何処と無く似ていると感じた。
「そろそろ行くっすよ」
「おお行くか」
俺の言葉に篤知さんが応えるた。俺達を乗せた車が動き始める。夏の陽光が射してきた。助手席の篤知さんの顔を照らしている。日に焼けた肌が輝いて見えた。
「お父さん何時亡くなられたんだ」
「去年の暮れっす。飯食ってたら突然倒れて……救急車の中で俺の手握ってきて、大地って……其れが最後の言葉でした。過労からくる脳血管疾患だったよ。ずっと無理してたからね」
俺がボソッと声にする。少し声が震えてた。
「済まんな。嫌なこと思い出させちゃったな」
「そんな事ないっす」
俺は助手席を垣間見る。視線が交差した。
「凱応堂って知ってるよね」
「ああ繊維の大手商社だろ」
「うん、父さんそこに勤めてたんだ」
篤知さんに目をやる。遣る瀬無い思いが込み上げてきた。
「だけど母さんが男が出来て家を出ていったみたいなんだ」
「そうなのか」
篤知さんと視線が交差する。瞳の奥から愁いに満ちた光が見えた。
「うん、遺品整理してたら父さんの日記出てきて其処に書いてあった。結局父さんは仕事をしながら家事と育児を熟さなければならなくなったんだよね」
そっと篤知さんに目を遣った。瞳の奥から無茶苦茶優しい光が見える。その途端堰を切ったように俺の口から言葉が溢れてきた。父さんが奔走して保育園が見つかる。一縷の光が見えてきた。だが其処は会社からは遠過ぎる。その上父さんの仕事はかなり多忙だった。毎日のように繰り返される残業。そして出張もかなりあったみたいだ。保育園の送り迎えもある。父さんの決断。それは退職だった。保育園の近所に転居する。そして父さんは工場勤務を始める。暫らくして俺が1人で夜留守番出来ると判った。今度は夜のアルバイトを始める。たまに土日も入れていたみたいだ。父さんと一緒に居られる限られた時間。勉強を見てくれ、遊んでくれた。公園、遊園地そして温泉。思い出が頭の中を駆け巡る。俺の頬を涙が伝った。
「家帰ると誰もいねぇしもう俺独りぼっち。凄ぇ寂しかった」
「これからは俺が付いてるんだからな」
俺の声に篤知さんが応える。そんな中車は霊園の駐車場に滑り込んだ。ちらほらとお墓参りに人達が来ている。管理事務所でひしゃくや手桶そして焼香用の炭を借りると父さんのお墓に向った。
「あっここっすよ」
「結構立派なお墓なんだな。入り口迄付いてるんだな」
「質素な葬儀しか出来なかった。だけど父さん生命保険とか俺名義の預金もしててくれたんだよ。だかから思い切ってみたんだ」
お墓を篤知さんと一緒に丹念に掃除をを済ませた。花と弁当そして父さん愛用のグラス入れたバーボンを備える。バーボンが好きだった父さん。だが生活が厳しかったから止めていた。俺が就職するとたまに飲んでいたけど……思いを込めてお焼香し俺は合掌した。次に篤知さんが合掌する。小さなマットを2つ敷いた。
「父さんと3人でご飯にしよ」
「そうするか」
再度合掌すると備えた弁当を俺達の前に並べる。ノンアルコールビールを篤知さんに渡した。プルトップをプシュッと空ける。冷たいビールが喉越し良かった。
「篤知さんこれ父さんの好物の牛筋に煮込み、食べてみて」
篤知さんが箸で掴むと口に運んだ。満面に笑みが零れている。俺に目を呉れた。
「このゆかりとシャケのおにぎりも食べてみて……」
「うん」
俺の声に篤知さんが応える。おにぎりをひと口食べていた。
「お前料理旨いんだな」
「アリガト。今度色々作って上げるからさ」
父さんと篤知さんそれに俺。その食事会を終わろうとしている。お墓に備えたバーボンを手に取ると篤知さんに渡した。
「捨てるの勿体無いから飲んじゃって……」
「いやお前を連れて行きたいところあるからさ」
俺はバーボンを飲み干した。また墓前に向って合掌する。お墓をじっと見つめた。
「父さん、今度の月忌命日も来れたら来るね。一緒にまた御飯食べよ」
「お前月忌命日も着てたのか」
篤知さんが俺の言葉に応える。顔付きがやけに柔和に見えた。後片付けを済ませる。俺達は霊園を後にした。

MOZ

MOZ


アメイジングサック (アイビス)

アメイジングサック (アイビス)


体育会エロ残業営業部

体育会エロ残業営業部


Gweblog - ゲイウェブログ -
エログ-(エログランキング)SGLRにほんブログ村 大人の生活ブログ 恋愛小説(愛欲)へ
にほんブログ村
[ 2016/08/07 15:15 ] 続・ガテン監督 | TB(-) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する