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冤罪①

 俺は甲斐 優太7箇月前まで高校の体育教師。陸上部の顧問もしていた。俺の家族は両親と兄夫婦の5人家族。兄夫婦は隣の離れに住んでいる。家業は木工屋。インテリアと玩具を家族だけで作っている。それともう1人俺の高校の時からの大親友、氷川 拓海。俺の家族同様に付き合っている。高校の時部活は俺は陸上で種目は長距離。拓海は柔道をしていた。施設で育った拓海。バイトで始めた武道具店に高校を卒業するとそのまま就職した。拓海は171㌢の髭坊主。
髭 (6)
背丈は俺と変わらない。俺の両親兄夫婦をホントの家族のように慕っている。俺の両親と兄夫婦。拓海を俺の兄弟のように可愛がってくれてる。誕生日会、縁日そして家族旅行。勿論拓海も一緒に行った。この前付き合っていた真由子と婚約する。拓海も自分の事のように喜んで呉れた。だが俺は今迷惑防止条例違反の被疑者である。事件が起ったのは8箇月前。厳寒の冬だった。大きなスポーツバックを肩に抱える。地下鉄に乗り込むとバッグを前方に抱え直した。ギュウギュウ詰めではないが結構混んでいる。俺の前には20歳代半ば位の女が居た。つり革を左手で掴み、右手でお袋にメールする。今夜は拓海を自宅に招きパーティをする予定だ。メールが返信される。真由子に拓海。次々に返ってくるメールに対応する。俺は忙しかった。地下鉄がカーブが続く。俺のカラダが揺れる。女が振り向いた。俺のバックを見ている。カラダに触れたようだ。
「ゴメンバッグ当ったみたいだね」
女が俺を睨み付ける。電車がホームに入った。客達が降り始める。俺もホームに降りた。
「駅員さん済みません。私この人にお尻触られました」
女が声を上げる。同時に俺の腕を掴んだ。
「私人逮捕は現行犯か純現行犯に限る。この逮捕は違法だ。お前見たのか」
「見てないけどアンタが犯人」
俺の声に女が言い切った。
「お前が俺を迷惑条例違反で訴えるなら、俺はお前を名誉毀損で訴えるからな」
俺が声を張り上げる。3人の駅員が駆け寄ってきた。俺はスマホを取り出すと拓海とお袋にメールする。迷惑条例違反で捕まるかも知れないと……
「どうしたんですか」
「この人にお尻触られました」
駅員の声に女が言葉を返した。スマホが電話着信を報せる。拓海からだった。
「判った。待ってる」
俺は声を上げた。大きな不安を覚える。俺はこっそりスマホのボイスメモのボタンを推した。
「まあ話聞きますから駅務室に行きましょう」
「俺はやってない。駅務室には入らないよ。これが俺の身分証と名刺だ」
俺は駅員に渡した。
「俺はやってないし、身分がはっきりしている俺を現行犯逮捕するのは違法です」
俺はきっぱりと言い切った。だが強引に駅務室に連れてかれる。程なくして警察に連行された。腰縄を掛けられる。手錠を嵌められた。俺の尋問が始まる。明らかに犯人扱いだった。
取調室のドアが開けられる。警察官と共に温厚そうな男性が立っていた。
「弁護士の守田です。これはどういうことですか。被疑者は自分の身分を証明した。刑事訴訟法217条の規定によおり現行犯逮捕は出来ません。男性を釈放しなさい」
守田先生が声を上げる。途轍もなく力強く聞えた。
「微物検査は終わりましたか。それに指紋も取ってください」
守田先生が声を上げた。処置が終わる。どうにか俺は釈放された。警察署を出る。2台のワゴン車が停まっていた。家族達と真由子そして拓海。みんなが飛び出してきた。
「申し送れましたが主任弁護士の守田です。甲斐君どうしますか。犯ってもいない罪を認めて示談するかそれとも戦いますか」
守田先生が声を上げた。視線が交差する。瞳の奥から眩い光が見えた。
「勿論戦います」
「そうですか。判りました。全力を尽くします」
俺の声に先生が言葉を返してきた。人は守田先生を冤罪弁護士と言う。拓海が頼んでくれた。この事件が幾つかのSNSで囁かれてる。残念ながら一部のSNSでは俺の顔は出されていた。女の顔にはモザイク処理されている。ここでも俺は犯人扱いだった。
 翌日俺は先生に伴われ出頭する。俺の取調べが本格的に始まった。俺は否認する。あの電車には車載カメラが設置されてると言う。警察官が自白を強要してきた。
「自白しろ。防犯カメラに全部映ってるんだぞ」
警察官が揺さぶりを掛けてくる。俺は否認を続けた。
「自白しねぇと此処から出さねぇぞ」
検察官が声を上げる。俺は首を横に振るだけだった。心が折れそうになる。いいタイミングで面会に来てくれた。両親に兄夫婦そして拓海。だが真由子が来ることは無かった。拘留23日。自白無しで俺の起訴が決まった。250万の保釈金で開放される。だが更なる悲劇が起った。懲戒免職に婚約は破断する。俺の心は荒んだ。今俺達はリビングでテーブルを囲んでいる。拓海が視線を飛ばしてきた。
「優太、お前がそんなでどうする。ここに居るみんなはお前を信じているんだぞ」
「うん」
拓海の声に俺は応える。僅かだが勇気が湧いてきた。収入の途絶えた俺。交通誘導、工事現場の雑務、色んなバイトを熟した。拓海が”冤罪と言うブログを立ち上げる。事件の全容と冤罪を熱く綴った。もう既に晒された俺の顔画像。ここでも俺は顔写真を出した。アクセスが集中する。だが批判メッセージが多かった。だが徐々に変わってくる。父兄に教え子そして卒業生達。応援のメールが届き始める。元同僚の教師達からも頂いた。一審が始まる。卒業生達、父兄と教え子、そして元同僚の教師達が来ている。両親に兄夫婦そして拓海。大勢の人達が俺を見守っている。俺は胸が詰まってきた。
「沢山の人達が応援に来ているみたいですね。頑張れますよね」
「ハイ」
守田先生の声に俺は応える。俺は咽ぶ声を抑えながら守田先生の尋問に答えた。反対尋問が始まる。俺は黙秘した。防犯カメラの映像では俺が吊革を持ち、スマホを操作していた。守田先生が時系列に沿い、丁寧に説明する。それは通信会社の記録からも証明された。
「映像から見ると貴女はバッグが触れているのを知っていた。違いますか」
守田先生が女に尋問した。
「黙秘します」
女が声を上げる。其の音色は淀んで聞えた。何度も検証された地下鉄の車内。あのカーブが多い場所では吊革を持たずしてスマホを弄るのは無理だと判明する。俺の手からはスカートの繊維は発見されてない。女のスカートからは俺の指紋も出なかった。俺のスマホのボイスメモ。当初から俺を犯人扱いしてるのが判った。一審は蛭田裁判官。結局どの証拠も採用しなかった。女の言い分だけ鵜呑みにしている。一審の判決は50万の罰金刑だった。映像で僅か8秒間俺が映っていない所がある。其の時行為をしたと蛭田裁判官は言った。
「資質を疑うな。バカだぜ」
守田弁護士がぽつりと声にした。蛭田裁判官を睨みつけている。弁護団は即刻控訴した。グルになった警察と司法。俺は憤りを覚えた。だがこの判決に暴動が起きる。この判決にネットを中心として抗議が湧き起こった。何時の間にか俺の支援団体が出来ている。団体の長は拓海。日増しにその輪が広がってる。この前の土曜と日曜に事件の真相を報せるためのビラ配りを支援者達と行なった。俺は声を張り上げる。俺は絶対やっていないと……同時に公正な裁判を要求する署名活動した。集まった508筆の署名と6,600円のカンパ。ネット上では蛭田裁判官を弾劾しろと色んなサイトで書かれていた。多くの専門家も避難している。証拠無視の裁判だと……

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[ 2017/07/02 18:55 ] 冤罪 | TB(-) | CM(0)

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