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インストラクター①

 仕事が終わり駅を降りる。季節は早春。風はまだ冷たい。
時刻は午後7時を回ったところだ。人々は足早に家路を急いでる。駅前にオープンしたスポーツジムのチラシを配っていた。配っているのはジムのロゴ入りのジャージを着ている兄ちゃん。浅黒く日焼けした肌、スポーツ刈りで顎髭、身長は170㌢は無いと思う。歳は30歳代半ばって所か。オスのフェロモンをプンプン発散させている。ドキッとした。強い力で引き寄せられる。チラシを受け取った。
「今入会キャンペーンしてまして入会金無料1か月間会費無料でご利用できます」
にっこり笑う笑顔が心を揺さぶる。仕事が忙しく久しく運動から遠ざかっていた。体型が崩れてきた俺。以前は足繁くにジムに通っていた時期もあった。あの兄ちゃんと仲良くなれるかもしれない。俺は入会することにした。早速入会手続きをするためにジムにきている。書類に必要事項を記入した。
「初回のカウンセリングはサービスですが、どうなさいますか」
「じゃぁお願いします」
「インストラクターのご指名はございますか」
一覧を見せてくれた。その中にはあの兄ちゃんもいる。俺は迷うことなくあいつを指名した。嶋田大輔33歳、身長168㌢体重65㌔。学生時代は水泳をしていたみたいだ。週末の土曜日。俺はスポーツジムに行った。老若男女多くの人で賑わっている。スタジオではボクシング系のエクササイズをやっていた。トレーニングジム内の椅子に座って待っている。あの兄ちゃんが現れた。
「小柴さんですか?担当させて頂く嶋田です」
「俺の方こそよろしくお願いします」嶋田君の凛々しい声が心地よく耳に響いた。
「あっ……」嶋田君が驚愕の表情を浮かべる。
「えっ……」
「俺がチラシ渡した人っすよね」
「えっ…そうです。覚えててくれたんですか」
「ハイ、覚えてました」
覚えてくれたのを凄く嬉しく思った。それに間近で見る嶋田君は可愛さと逞しさを兼ね備えている。仲良くなりたい。色々な邪念が脳裏を過った。
「これから計測しますね」
「あっお願いします」
体組織分析カルテを作ってくれた。性別:男性、年齢:46歳、身長:167,5㌢、体重:66.2㌔体脂肪率18.8%。
「特に問題は無いですね。スポーツマン体型寄りの適正です。何か気になることありますか」
「俺、腹周りがチョットヤバいっす。それに筋肉デカくしたいっすね」
「チョッといいですか?」
俺の腹とか腕に触ってくる。ドキッとした。
「一緒に頑張っていきましょう」
視線が交差する。澄んだ目。吸い込まれそうになった。ベンチに並んで座ってる。嶋田君は俺のトレーニングメニューを作成中だ。横を見る。刈り上げられたうなじ、太い首。理性がぶっ飛びそうになった。
「さぁ始めましょうか」
「ハイ……」
この日は作って貰ったトレーニングメニューに添って指導を受けた。久しぶりの運動。俺の躰は少し悲鳴を上げている。だけど心地よい疲労感だ。スタートした俺のジムライフ。音楽に合わせてバーベルを使って筋トレするエクササイズ、格闘技系のエアロビクス。ジムに行くのが楽しくなった。
ボディパンプ

「小柴さん調子どうっすか」
「あっボチボチです」
「頑張ってくださいね」
時折見せてくれる爽やかな笑顔。それだけ元気を貰えた。俺はしっかりとジムライフに嵌っている。時間を作りスポーツジムに通った。プロテインも飲み始めてる。気になることがあったのでフロントで聞いてみた。
「あっ済みません。水泳のプライベートレッスンに付いて知りたいんですけど……」
「時間は30分で料金は500円になります。スケジュールはこちらになってます」
1枚の案内を見せられた。各日のレッスン可能な日と担当インストラクターが載っている。水曜と土曜は嶋田君もシフトされていた。嶋田君のレッスン可能な時間は水曜は8時~9時、土曜日は11時~13時となっている。俺は水曜の8時半に予約を入れた。そして水曜日。そよ風が心地良い。心もうらいだ。6時過ぎにスポーツジムに入る。格闘技系エアロを2本熟し筋トレに汗を流した。プールに着いたのは2時25分。ストレッチをしてると嶋田君が見えた。競パン姿が少し眩い。黒地にオレンジの切り替えしが入ったやつだ。程よく鍛えられた大胸筋、割れた腹筋、競パンからは剛毛がはみ出ている。真ん中はこんもりと盛り上がっていた。
「嶋田君、俺さ平泳ぎはまともに泳げるんだけどクロールが下手くそなんだ」
「判りました。俺に任せてください」
レッスンが始まる。ストレッチから始まりビート版を使ったレッスンが終わった。
「小柴さんちょっと浮かんでみましょうか」
「ハイ」
俺は顔を水につけてプールに浮かんだ。
「バタ足してみてください」
俺はバタ足をする。カラダが沈んでいく。俺はプールの中で立ち上がった。
「躰が緊張していて硬くなってるみたいですね」
「俺がお腹を支えてますから泳いでみてください」
水の上に浮かぶと嶋田君が俺の腹に手を当てる。手の温もりが感じられる。股間が熱くなってくる。水中で間近に見る嶋田君の股間。手を伸ばして触りたくなった。
「お疲れ様でした。良かったらまたご利用くださいね」
「ありがとうございます」
30分間のプライベートレッスンは終わった。ちょっとドキドキする嶋田君とのレッスン。楽しかった。クロールを泳げるような感触を得たのも事実。続けてみようと思った。
スポーツジムに通い始めて3箇月。水泳のプライベートレッスンを受け始めて2箇月が経った。まともにクロールを泳げるようになっている。筋肉も付いてきた。
今日土曜日。嶋田君の格闘技系のエアロビクスに参加する。一番前の位置をキープした。ポップな曲が流れてくる。プログラムがスタートした。局に合わせてパンチ、キックを繰り広げる。”エイッ…ヤァー”みんなの掛け声がスタジオに響いた。
[ 2015/04/18 15:23 ] インストラクター | TB(-) | CM(0)

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