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ヤリ部屋のあいつ④

 俺達は寝室の扉を開けた。翌朝目覚めると俺達はがっしりと抱き合っている。手にはお互いのちんぽを握っていた。
「颯一、起きろ……」
少し揺すると颯一が目を覚ました。
「あっ兄貴おはよう」
「あぁおはよう」
俺達はシャワーを浴びる。褌を締め込み着衣を整えた。リビングに行くと虎鉄がじゃれてきた。俺の足元に座る。クーンクーンと鳴き声を上げてきた。
「おはよう」
抱き上げる。俺の顔をペロペロ舐めてきた。
「虎鉄、お前のお父さんだぞ。遊んで貰いな」
颯一に虎鉄を手渡すと虎鉄の顔をペロペロ舐めていた。俺は朝飯の仕度をしている。遊んでいる颯一と虎鉄。昨日よりも微笑ましく見えた。朝食を済ませる。ソファー並んで座った。真ん中には虎鉄がチョコンと座っている。初めて迎えた一緒の朝。ほろ苦い珈琲の薫りが心地よく鼻腔を擽った。
「なぁどっか出掛けようぜ」
「うん」
今迄颯一とはヤリ部屋で逢って盛る。ただそれだけの関係だった。それが今同じ時空間を共有出来ている。それだけでも心が綻んだ。俺達が向かったのはドッグランを備えている大きな公園。運転するのは俺。助手席には颯一が座っている。颯一に抱かれた虎鉄がクーンクーンと鳴き声を上げながら甘えていた。真っ青な空、浮かぶ雲。空気が美味く感じた
。ドッグランでみんなで遊ぶ。昼飯を頂く。午後からはちょっと散策もしてみた。陽が傾き始める。俺達は岐路についた。
「なぁ今夜は俺んち来いよ」
「でもこいつもいるしな」
「俺のところもペット可だから大丈夫だぜ」
「判った。お邪魔するな」
途中ショッピングセンターで酒と食材を調達する。中に有ったペットショップで虎鉄のご飯も買った。
「兄貴ぃこれ可愛くないか」
颯一が指差したのは小型犬用のベッドだった。
「俺んちの虎鉄用のベッドだよ」
俺達の付き合いが始まった。俺と颯一の住まいは歩いて10分程の距離。殆ど毎日のようにどちらかの家に居る。休みの日には一緒に出掛けた。映画にショッピング、スポーツ観戦。虎鉄を連れて温泉にも出かけた。今は良く物件廻りに出掛ける。颯一は越してきた許りだけど今度一緒に住むことを決めた。マンションを内見する。家具屋に行ってダブルベッド、ダイニングテーブルを見たりした。デパートの食器売り場でお揃いの食器を見る。俺達の目が輝いた。今前に一度見たマンションに来ている。間取りは2LDK10畳の主寝室に6畳の洋室。それに12畳程あるダイニングキッチン。俺と颯一と虎鉄。虎鉄が走り回る。颯一が笑顔を浮かべながら飯を食う。他愛ない会話、夜の営み。色んな事が頭の中を駆け巡る。ベランダに出た。眺望も中々いい。
「ここに決めるか」
「うん、いっすね」
俺に抱かれてる虎鉄がキュンキュンキュンと鳴いた。颯一と視線が交差する。瞳の奥から穏やかで力強い光が見えた。俺達は来月ここに越してくる。俺と颯一と虎鉄の色んな四季が巡るだろう。雲の間から陽が射し込んでくる。その光はキラキラと輝いていた。俺達の今後を祝うかのように……
曇天 (3)
[ 2015/05/09 14:17 ] ヤリ部屋のあいつ | TB(-) | CM(0)

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