燦々と夏の陽差しが大地を照らしている。額から汗が迸ってきた。今
幼馴染の勇真のアパートに向かっている。そんな俺勝文36歳。勇真は33歳になった。俺達は2人とも坊主頭。勇真は
髭を生やしている。
其々の家を行き来するのは日常茶飯事。夏は海、冬はスキー。色んな所へ2つの家族で出掛けた。勇真はいつも俺の後に付いてきた気がする。中学に上がると俺と同じように柔道を始めた。体格も良く似ている。身長は俺が171㌢、勇真は170㌢。2人ともゴツい。大人になっても俺達は良く遊んでいる。海にスキー。飲みにもたまに出る。風俗にも行った。
今勇真んちのリビングのソファーで並んで座っている。アイスを食べながら映画のDVDを見ていた。クライマックスシーンが画面に流れる。感動が込み上げてきた。涙が零れてくる。映画が終わった。
「良かったなぁ」
「うん…あれっ勝っちゃん泣いてんのか?」
「泣いてなんかないぜ。目にゴミが入っただけだよ。勇こそ目真っ赤だぞ」
勇真がティッシュを渡してくれた。
「勝っちゃんって昔からそうだよな。喧嘩とか強いのにテレビとか映画観て良く泣いてたもんな」
「あっそうだったな」
感動物に弱い俺。確かに勇真の言うとおりだ。幼い頃俺は勇真を良く泣かせた事を覚えている。だが瞬時に笑顔が戻るとまた遊び始めた。喧嘩に強かったのも事実。勇真が苛められてると直ぐに駆けつけた。勝っちゃん、勝っちゃんと勇真は慕ってくる。陰毛が生え始めた時真っ先に俺に見せてくれた。頭の中を駆け巡る。一度こんな事があった。帰宅すると勇真が玄関前にいる。表情に翳りが見えた。
「おっ…勇どうした?」
「うん…勝っちゃん俺…」
「まぁ入れよ」
勇真を俺の部屋に通した。
「ん、ちょっと待ってろ。ジュース取ってくるな」
「ありがとう…勇、まぁジュースでも飲めよ」
「うんありがとう」
深刻そうな表情を浮かべ俺を見てくる。
「何かあったのか?」
「勝っちゃん…俺病気かも知れないんだ」
「えっ具合悪いのか」
勇真は首を横に振った。
「良く覚えてないけどHな夢見たんだ。そしたらパンツ濡れてた。そんでちんちんから白い物出てたんだよ。勝っちゃん俺病気かも知れない。死ぬのかなぁ。俺死にたくない。もっと勝っちゃんと遊びたいんだ」
勇真の目には涙が溜まっている。俺は笑うのを必死で堪えた。
「勇…それはな大人の男になった事なんだよ」
白い物が精液で大人になると出来るものだという事を丁寧に教えてやった。
「勝っちゃんも出るの」
「うん、出るよ」
「み、見たい…駄目???」
勇真は神妙な面持ちで俺を見ていた。
俺はカーゴパンツとボクサーを脱ぐとちんちんを手で握って見せた。
「勝っちゃん…凄ぇ…デケェ…毛も一杯生えている」
「勇も脱げよ」
勇真はデニムパンツとボクサーを脱いだ。
「いいか勇…こうやって手で握って扱くと出るんだぜ。勇もやってみろよ」
「う、うん」
俺達は一緒にちんちんを扱き始めていった。
ゴシゴシゴシ…ゴシゴシゴシ
「ん、ん…勇出すぜ。良く見ておけ…んぁぁ…んぁぁ…射くっっっ」
ドビュッ…ビュッビュッ…ビュッビュッビュッ…ドビュッ…ビュビュッ
「す、すげぇ…」
「勇ももっと激しく扱けよ」
「う、うん…あ、あ、あ、勝っちゃん…ションベン出そうだ」
「そのまま扱けよ」
「あぁぁぁぁ…あぁぁ」
ビュッ…ビュビュッ…ビュッ…ドビュッ
勇真は男の汁を噴出した。
「な、勇…俺も出たろ」
「うん…俺男になったんだな」
「気持ち良かったろ」
「う、うん」
「これがオナニーって言うんだぞ」
こうして勇真は大人の階段を上り始めた。勇真が窓から外を見ている。拳を握り締めカラダが微かに震えていた。
「また来てる。あいつ」
「えっ」
「あそこにクリーム色の軽、止まってるだろ。あいつがストーカーなんだよ」
勇真が勤めてる会社に派遣されてる35歳位の女からストーカーされてるとは聞いていた。何でも勇真に好意を抱いているらしい。付き合って欲しいと告られたと聞いた。他に好きな人がいるから出来ない。勇真はきっぱり断った。そしたらストーカー行為が始まったと聞いた。
「ああやって俺の部屋見張ったりワン切り電話してきたり迷惑メール送って来たりしたんだ。ほらこんなメールだよ」
勇真がスマホを見せてくれた。
”片岡勇真様…私を好きでないのは判っています。他に好きな人がいるのも判っています。でも私は貴男の事が好きで堪らないんです。この美しく魅力的な私を性処理に使って頂くことも無理でしょうか。私はそれだけでも充分なんです。鈴川芽友”添付ファイルを開く。女性の局部画像が添付されていた。
「凄ぇ内容だな。普通の女が書いてるなんて思えねェ…イイ女なのか」
「自分では可愛いと思ってるみたいだけどごく普通で性格の悪さが顔に出ている感じなんだ」
勇真が話す毎にその怒りが込み上げてくるのが判った。
「それに…これは本人かどうか判んねぇけどこの前玄関前に汚物置いてあったんだ。多分あいつだと俺は思ってるけどな」
「へぇ…酷ぇ女だな。会社では何て言ってんだ」
「何度か注意されたけど直らなかったから仕方なく警察に頼んだよ。色々調べて呉れて警告してくれたよ」
「それでも止めないのか?そんな事して首にならないのか?」
「契約があるから難しいらしいよ。面倒なのかも知れないけどな」
「ふーん…そうなんだ」
「それにさ、無茶苦茶仕事が出来ないらしいよ。鈴川芽友ドン引き事件ってのがあって社内ではチョッとした噂になっているんだ」
「えっ…なんだ。そりゃ…」
「仕事出来なくて皆に迷惑掛かるから見るに見かねて高村さんって40歳位の人が仕事の仕方をレクチャーした時、口で言って判らなかったみたいなんだよ。それで高村さん隣に寄ってパソコンのマウスとかキーボード操作して教えたらしいんだよな。そしたら何て言ったと思う?」
「えっ…何て言ったんだ」
「顔近いです。私が美し過ぎるから少しでも近づきたい気持ちは判りますけどだってさ…」
「身の程知らない図々しい女だな」
「うん…回りは、はぁ?って感じでドン引きしたみたいだよ…そんな事が有ったから今はコピー取りと不要書類にのュレッダー掛け位しか仕事与えられてないみたいだよ。チョッと前までお茶汲みもしてたらしいけど大切なお客様に粗相があってはいけないってそれは止めさせたらしいよ」
「そりゃそうだろうな」
「あっ…出て行ったぜ」
するとその車は何処かへ走り去った。
「なぁ…勇…本当に好きな人いるのか?」
「うん…いる」
「旨く行きそうなのか?」
「判んねぇ」
勇真は視線を遠くに置いている。顔を紅潮させていた。
「その人彼女になったら俺にも紹介しろよな」
「う、うん…」
「さっ、俺達も行こうぜ。変な事忘れて楽しんでこようぜ」
「うん…」
ナイターが始まった。俺も勇真も特にプロ野球ファンという事ではない。だからひいきにしているチームもとくには無かった。ただ生の野球場の雰囲気は気に入ってる。だから何度か野球観戦には来ていた。いつしか周りのファンの人達と同化している。選手の一振りに歓声を上げた。メガホンを手に叩きつける。生ビールをゴクゴクと飲む。今日は一点を争う緊迫した試合。野球観戦にのめり込んでいた。
「面白かったな」
「うん…また来ような」
俺達は球場を後にした。
「腹減ったな」
「ピザでもとって少し飲もうか」
「そうするか」
アパートの玄関まで来た時煙草が切れていたのを思い出した。
「あっ…煙草買ってくるな」
「ああ判った」
何か風に湿った生暖かさを感じた。胸騒ぎがする。俺はアパートに引き返した。中から勇真の怒声が聞こえてくる。ドアを開け中に入った。
「てめぇ…何しやがるんだ」
心臓がバクバク言いだした。
「勇…どうしたんだ」
リビングに入ろうとすると床から10㌢位の所にロープが張ってあった。尋常でない事が起きている。俺はその時悟った。黒い影が見える。ベランダを飛び下り逃げていった。
「勇…大丈夫か」
「あいつにやられた」
血だらけになってる勇真の止血をした。傷は深くはない。だが頭を打っているようなので救急車を呼んだ。担架に乗せられる勇真。俺達は救急病院に搬送された。傷は腕と背中と脚の3箇所。急所は外れ浅いらしい。ほっと胸を撫で下ろした。
「良かったな」
「勝っちゃんありがとう」
血生臭い勇真の部屋に帰すのは忍びない。俺のマンションでこの日は休ませることにした。翌日目覚めると窓からは夏の陽光が差し込んでいる。その光はやけに重たく感じられた。
「具合どうだ」
「大丈夫っすよ」
表情が翳っている。外傷は大したことはない。だが心の傷は大きいみたいだ。午後3時現場検証。生々しい光景だ。ベランダのガラスが割られている。破片が床に散らばっていた。血が付着したナイフが転がっている。血液が数的床に落ちていた。怒りが沸々を湧き上がってきる。刑事さんに犯人の心当たりを勇真が聞かれた。
「サングラスを掛けていたけど間違いなく鈴川芽友です」
そしてストーカー防止条例違反の時取られていた鈴木の指紋と凶器のナイフに付いていた指紋が一致した。
3日後鈴川芽友…殺人未遂…銃刀法違反…住居侵入罪で逮捕された。
[ 2015/08/10 15:08 ]
幼馴染 |
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