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試験監督⑨

目覚めると風景がいつもと違っていた。隣の布団では賢介が眠っている。あっそうか昨日は賢介の所に泊めて貰ったんだ。大凱は…あっ英寿もいない。もう起きてるのかな。でも昨日は激しかったな。大凱が英寿に犯られてるのを見たらちょっと妬けたけど……あっ俺もか……眠っている賢介を起こさないようにそっと部屋をでた。
「ヒデ兄ぃ野菜洗って貰っていっすか」
「あぁ判った」
キッチンの方から声が聞こえてきた。
「後は何したらいいんだ」
「えっとじゃぁちんぽしゃぶって貰っていっすか」
「バカやろ朝から何言ってんだ」
微笑ましい。まるでホントの兄弟の会話に聞こえた。
「おはよう」
「あっ先輩おはようございます」
「兄貴おはようっす」
「風呂湧いてますよ」
「あっ済まんな」
風呂入ってると賢介も入ってきた。
「おぉ…昨日はどうもな」
「あっどうもっす」
改めて見る賢介は中々いい男だ。面構えもガタイも…ふと昨晩の事が頭の中を駆け巡る。俺の愛撫で悶えてた賢介。可愛く思えた。浴槽に並んで浸かる。
「ちょっと照てるっすね」賢介が声にする。
「そうだな」俺は声を返した。
「でも、俺改めて英寿の事が好きだって判った気がしたから良かったっすよ」
「あぁ実は俺もなんだ。たまには刺激になっていいかもな」
風呂から上がると飯の準備が出来ていた。味噌汁のいい香りがしてくる。
テーブルに並んだのはタラのムニエルきのこソース掛け、大凱風卵焼き、リンゴとキャベツのサラダ、それにジャガイモの味噌汁だ。
”いっただきま~す”
賢介が味噌汁を一口飲んだ。
「美味ぇ…」
英寿が卵焼きを箸でつまみ口にする。
「凄ぇ…美味ぇ」
「2人共料理上手いんだ」賢介の顔が綻んでいた。
「俺何も出来なかんだ。でも兄貴の手伝いしてるうちになんとなく出来るようになったんすよね」
「先輩今度料理教わりに行っていっすか。兄貴に美味いもん作ってやりたいんで……」
「あぁいいぜ。こいつもお前のこと慕ってるみたいだしな」
和やかな雰囲気のまま食事が済んだ。今食後の珈琲を飲んでいる。ゆっくりと朝の時間が過ぎていった。
「ヒデ兄ぃ今度ダブルデートしようよ」
「おっいいな。何処行く?温泉もいいし遊園地もいいよな……あっそうだメアド教えろよ」
「いっすよ。えーと……」
「そうだな。また4人でご飯しような」賢介が明るい声で言う。
「今度はトコロテンさせたろか…汁も呑ませてぇな。なっ賢介」
「いきなり何言い出すんだよ」
「嫌なのかよ」
「そんなことは無いっすけど……」
「あっこれ俺のアドレス……」
「どうも……これ俺のっす」
窓から冬の陽光が射し込んでいる。4人のオス達を暖かく照らしていた。
「大凱、帰るぞ」
「うん……」
玄関迄見送ってくれた。
「じゃぁな」
「うんまた」
ドアがバタンと締まった。
「散歩がてら歩いて帰ろうか」
「うん」
隣町からの道すがら色んな風景に出会えた。今まで通ったことのない道。洒落っ気のある雑貨屋さんでガラス細工を買い、小さなケーキ屋さんでお茶をした。脇道に入るとさらさらと小川が流れている。竹林の先にはほんのひと握りの川原があった。
早春の小川
「こんなとこあったんだな」
「うん」
川面に陽が当たりキラキラと輝いていた。
「綺麗だな」
「うん」
「大凱…」
「ん……」
大凱を抱き寄せる。顔を近づけ唇に唇を付けた。
半開きだった唇が大きく開き大凱の柔らかい舌が俺の口の中に挿いってくる。甘く切ない薫りが漂ってきた。俺の舌も無意識のうちにその動きに応えている。背中に回した腕に力が籠った。穏やかな鼓動音が伝ってくる。カラダが少し火照ってきた。
「兄貴、キスされたらしたくなっちゃった」
「あぁ俺もだ」
俺達は家路を急いだ。今夜も激しい夜が待っている。試験監督をやることによって英寿と大凱を俺は抱いた。そして大凱とは今一緒に住んでいる。新しい仲間賢介も増えた。
[ 2015/01/07 19:02 ] 試験監督 | TB(-) | CM(0)

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