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明日へ④

 ゆり子が海外に行った週末。食材、酒、お菓子をたっぷり買い込んで森川家を訪ねる。インターホンを鳴らした。
「岩永っす」
「あっ小父ちゃん」
蒼斗の声が可愛く聞える。ドアが開けられると先輩と蒼斗が立っていた。
「あっ先輩、勝手に遊びに来ちゃいました」
「まぁ上がってくれよ」
初めて入る先輩の家。リビングに通された。今テーブル席に囲んでいる。俺の隣には先輩、向かい側には蒼斗ともう1人の子供が座っていた。
「こいつは始めてだったな。次男の光輝だ。光輝小父ちゃんに挨拶しなさい」
「こっ光輝です」
ぺコンと頭を下げる。一途な笑顔が可愛く俺の目に映った。
「宜しくな。アイス食べるか」
碧斗と光輝に声を掛ける。2人は先輩を見ていた。
「ご馳走になりなさい」
「うん」
満面に笑みを浮かべながらアイスを頬張っている。見ていると心が和んだ。
「先輩、俺さ……」
「そうなのか?バッカだなぁ」
小一時間ほどおしゃべりをした。先輩に目を遣る。何げに穏やかに見えた。奥さんゆり子のいない家。唯一落ち着ける空間なのかも知れないと俺は思惟した。
「先輩、ちょっと台所借りますね」
「えっ」
「美味いもの作りますからね」
「あぁ俺も手伝うか」
「あっお願いします」
2人で並んで料理を始める。何かこんなことさえ嬉しく思えた。
「出来たぞ」
「美味そうだな」
チーン…オーブンがグラタンの出来上がりを知らせてくれた。
「先輩並べるの手伝ってください」
「おお判った」
ハンバーグ、チキングラタン、ポテトサラダ、ポタージュスープ。テーブルに並べられた。子供達にはジュース、俺と先輩はビールをグラスに注いだ。カチンと俺と先輩のグラスが触れる。子供達に目を遣った。
「小父ちゃんと乾杯しようか」
「うん」
子供達とカチンカチンとグラスを触れ合わせた。
「頂きます」
碧斗がハンバーグを一口食べた。
「あっ…美味しい」
光輝がグラタンを口に入れた。
「うん、美味しい」
「ありがとな。こいつら野菜しか食べさせて貰えてないからな」
「いっすよ。気にしないでください」
食事が済みプリンを出してやると嬉しそうに食べている。時間は夜7時を回っていた。
「先輩じゃぁ、俺これで失礼します」
「そうかぁ」
先輩が視線をぶつけてくる。何かを訴えていた。
「俺も行っていいか?」
「えっ子供達大丈夫っすか」
「あぁ大丈夫だ」
視線が交差する。先輩の目が隠微に光った。
「パパ小父ちゃんちに行ってくるから2人で留守番できるな」
「うん」
碧斗と光輝の声が重なった。
「何かあったらパパの携帯鳴らすんだぞ」
「うん」
俺と先輩は森川家を出ると俺んちに向かった。一線を終え、俺と先輩はベッドの中で抱き合っている。先輩のオス臭い薫りが漂ってきた。
「好きになっちまいそうだ」
「いっすよ。俺はもう好きになってますから」
「えっ……」
「大学の時もそうだったけどこの前抱かれてまた好きになったよ」
クローゼットの中から1つの箱を取り出した。
「これ俺の宝物っす」
「えっこれって……」
「先輩から貰った柔道着っすよ」
「そうかお前にやったんだよな」
先輩を真っ直ぐに見た。
「先輩が女の子とデートしてるの見たことあるけどちょびっと切なかった」
「そうかぁ。辛い思いさせてたんだな」
先輩がぽつりと声にする。戸惑った表情を浮かべていた。
「いっすよ。その代わりもう1回して貰っていっすか」
「判った」
結局この晩はもう1発先輩は俺に種を仕込んだ。
「そろそろ帰るな」
「うん」
「なんだ。そんな悲しそうな顔するな」
「うん」
俺は玄関まで見送った。
「先輩」
抱き寄せられる。唇を重ねた。
接吻 (1)
舌が入ってくる。俺達は舌を絡め合った。切なさが込上げる。先輩の背中に腕を回した。キツく抱きしめられる。離れたくなかった。背中に回した腕に力が籠もる。静かに唇が離れた。
「明日、実家からお袋が来るんだ。昼過ぎまた来ていいか」
思わず顔が綻んだ。
「うん、いっす」
「じゃぁな」
また明日逢える。俺の心は弾んだ。俺と先輩は20年の時の壁を少しずつ乗り越えている。今俺の空洞となった心が埋まり始めた。
 


黒蟻王

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オナビティ (バックス)

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俺達の肉職交尾

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[ 2016/02/21 14:11 ] 明日へ | TB(-) | CM(0)

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