2ntブログ















明日へ⑤

 森川ゆり子の事を考えると沸々と怒りが沸いてくる。ツイッターを開いた。
”俺は水車が有る駅の派遣会社に登録しており都内の企業に派遣されている。営業担当者は40歳位のMと言う女性。実はこの女性に虐められている。この前少し突っ込んだ質問をしてみた。切れて罵声を浴びせられる。声を荒げヒステリックになった。心が抉られる。切ない”
俺はツイッターで呟いた。 いろんな人から激励が届いてくる。暖かいものに包まれた。ツイッターでの俺の呟きが燻っていた火種を沸き起こしたらしい。それから1週間後経過する。何気なく派遣会社の口コミサイト覗いた。
”俺も森川に遣られた”
”森川って最低な女”
”思い返しただけで涙が零れる”
多くの口コミが載っていた。そこに貼られていた森川ゆり子のブログのURL。アクセスしてみると炎上している。ゼットスタッフには抗議の電話メールが殺到していると言う。先輩と再会して1箇月程経過する。季節は秋。街は色付き始めていた。スマホがメール着信を知らせる。先輩からだ。
”俺離婚する。子供は俺が引き取る積もりだ。色々手伝ってくれるか”
”いっすよ”俺は即座に返信した。
俺達はカラダの関係を一端止めた。先輩は給与振込口座を変更する。まずは金の確保をした。そして翌月の給料日口座に入金がないことをゆりこが確認すると先輩に詰め寄ったらしい。ヒステリックなゆり子の怒声が飛び交っていることが目に浮かんだ。結局家庭内別居。今先輩は子共達の部屋で寝起きしている。金を自由に出来るようになった先輩は帰宅するとキッチンに立っている。子供2人と自分の食事を作る為だ。肉を普段から食えるようになり2人の子供は喜んでいるらしい。ゆり子は自分のことしかしなくなった。その為先輩は掃除洗濯料理と家事全てを担っている。忙しい毎日だけど充実していると言っていた。
 事態が急転する。俺は見てしまった。それは金曜の夜。新しいを買うためゲイショップに立ち寄った。そこの周りにはラブホが立ち並んでいる。”えっ……”一瞬俺は固まった。目の前のラブホから出てきたカップル。間違いない。ゆり子と初老の男だった。ゆりこは男と腕を組みしなだれている。顔は女の顔になっていた。電柱の影に隠れる。スマホのカメラのシャッターを切った。鼓動が高鳴ってくる。早速先輩に電話した。
”先輩チャンスっすね”
”そうだな”
先輩は探偵を雇った。調査が始まって1箇月が経過する。次々と浮気の証拠が集まった。
 クライアントが減りだしたゼットスタッフ。NDブレーンにもゼットスタッフから当初15人派遣されている。だけど今は俺1人になった。会社として考えると営業的にはどうだろう。スタッフが15人居た頃の収入は概算で年間3,750万、今は250万だ。3,500万の減収になる。退職したスタッフの補充も出来てない。その上スタッフの内数名は他の派遣会社に鞍替えしている。即ち他社にゴッソリと売上げを持ってかれてる訳だ。この事実を会社、森川ゆり子はどう受け止めているのだろうか……体たらくした現状。理由は明確だ。森川ゆり子のスタッフ虐めそれに営業としての能力不足だと思える。上層部は彼女を指導したらしい。心を入れ替えて仕事に励むようにと……でも彼女は変わらなかった。自分のブログで正当性を訴えてる。ブログが炎上していた。会社、スタッフ、クライアントに多大な迷惑を掛けた森川ゆり子。やむ無くゼットスタッフは彼女を解雇した。あの森川ゆり子がおとなしく応じたのだろうか?何れにしても悲しすぎる現実を森川ゆり子は突き付けられたみたいだ。
 俺達4人の絆は徐々に深くなる。いつの頃からか子供達は俺をトモと呼ようになった。呼び捨てされてる訳だけどそれはそれでいいと思っている。この前4人で遊園地に行ってきた。
「トモ…今度あれに乗ろう」
「今度はあれだよ」
子供達は屈託のない笑顔を浮かべながらはしゃいだ。
「美味い…僕トモの料理好きだよ」
「あっ唐揚げ美味い」
俺の作った弁当をうまそうに食べる。傍らでは先輩が2人を見て微笑んでいた。
「先輩、俺なんか幸せだな」
「俺もだ。お前といるとほっこりしてくるんだ」
柔らかな陽射しに包まれる。4人の男達を優しく照らしてくれた。
 俺は来月末の契約期間満了をもってゼットスタッフを辞める。趣味で始めた彫金のコンテストでこの前入賞した。今度彫金業で自立する。現に数件の注文も頂いた。少しの怖さもあるけど前を向いて生きていきたい。森川ゆり子との出会いが俺を成長させてくれたと思っている。俺の作品を評価せてくれる人達に作品を通して喜びを与えたかった。
 先輩の離婚は以外とすんなり決まった。今日先輩とゆり子の3回目の話し合いに俺も同席する。夕闇が夜の黒に包まれた。
夜 (10)
緊張を覚える。森川家のインターホンを鳴らした。
「あっ岩永です」
ドアが空いた。
「何の用、今取り込んでるんだけど」
ゆり子はイラついていた。尖った声を俺に投げつけてくる。その声に先輩が出てきた。
「俺が来て貰ったんだ。まぁ上がってくれ」
リビングに通された。テーブルを挟み、俺とゆり子は向かい合って座る。俺の隣には先輩が座った。先輩とゆり子の視線が激しくぶつかる。先輩はゆりこの浮気の証拠を叩きつけた。
「あっ俺も見たぜ。あんたが男とホテルから出てくる所をな」
「知らないわ……」
「ほらこれが証拠だ」
俺はスマホの画像をゆり子に見せつける。ゆり子顔から血の気が引いていくのが判った。
「まず先輩に謝ったらどうなんだ」
「……」
俺の声を黙殺するように目を逸らした。
「悪いと思ってないのか」
「……」
ゆり子の口から言葉は出なかった。
「それに家事も育児も殆どしなくなったみたいだな」
「……」
「自分にはブランド品の服、靴、バックを買い、年に数回海外旅行に行ってんだろ。子供達にはディスカウント店のバーゲン品だけを買う。先輩には僅か1万円の小遣いを与え、ボロボロになったスーツを着ていても買ってやらない。そうだよな」
「……」
押し黙り続けるゆり子に憤りを感じる。だが努めて冷静に話した。
「先輩、給料いいもんな。それだけが目当てだったんだろ」
ゆり子がきつい眼差しで俺を見る。そして今度は先輩を見た。
「判ったわ。離婚に同意すればいいんでしょ」
声を震わせながらぼそっとゆり子は言葉にした。
「でも子供達は私が引き取るわ。養育費はたっぷりと貰いますからね」
ゆり子の怒声が俺と先輩に浴びせられた。
「じゃぁそのことは子供達に決めさせようぜ。いいな」
先輩がゆっくりとした口調で静かに語る。ゆり子の首が縦に振られた。
「子供達呼んでくれ」
ゆり子が立ち上がろうとした。
「おまえじゃねぇ智幸頼む」
先輩の鋭い声がゆり子に降り注いだ。子供部屋のドアを開ける。2人と視線が交差した。
「トモ……」
碧斗がちっちゃい声を上げる。光輝の目が愁いに満ちていた。
「心配するな。俺が付いてるからな」
2人を連れてリビングに入る。ゆり子の鬼のような形相を見ると2人はガタガタ震えだした。
「碧斗、光輝……」
俺はしゃがんだ。
「パパとママは別々の道を歩いていくんだ」
俺は碧斗を見る。そして光輝を見た。
「トモ……」
2人の言葉が重なる。目にはいっぱい涙が溜まっていた。
「ごめんな」
2人がコクりと頷いた。
「でな。お前達はどうする?ママと一緒に行ってもいいしパパと一緒でもいいぞ」
「トモ……」
碧斗が俺に訴えるような視線を送ってくる。光輝の顔つきも同じように俺には見えた。
「碧斗ママと一緒に行くか」
碧斗は首を横に振る。悲しそう表情を浮かべた。
「じゃぁパパと一緒に行くんだな」
今度は縦に首を振った。
「光輝はママと行くか」
大きく首を振ると先輩にしがみついていた。
「ゆり子こういう事だ」
先輩が声を上げる。顔付きが勇ましく見えた。
「ふん慰謝料ふんだくってやる」
「バカヤロ慰謝料払うのはお前だろ」
俺が低く重たく声にした。
「智幸、子供達連れてってくれよ」
「うん判った」
子供部屋に2人を入れた。リビングに戻る。離婚届けに2人の署名がしてあった。
「保証人のところに署名してくれるか」
「ハイ、判りました」
「後は役所に出すだけだな」
先輩の明るい声が部屋に響いた。ゆり子は目に角立て威圧してくる。ドーン……テーブルが叩かれた。ゆり子が立ち上がる。先輩をジッと見た。
「ふん」
先輩にツバを吹きかけた。
「き、貴様ぁ先輩に何するんだ」
拳を握り締め立ち上がろうとする俺を先輩が制した。
「ふん」
今度は俺にツバを吹きかける。遺恨に満ちた表情を浮かべながら外に出ていった。リビングが静寂する。先輩の離婚は呆気なく決まった。ゆり子の性格を考えた末の俺の作戦。あいつはまんまとその作戦に乗った。



バイラグレイト

バイラグレイト


マッハストローカー ネオ

マッハストローカー ネオ


潮吹き坊主 2

潮吹き坊主 2


Gweblog - ゲイウェブログ -
エログ-(エログランキング)SGLRにほんブログ村 大人の生活ブログ 恋愛小説(愛欲)へ
にほんブログ村
[ 2016/02/21 00:22 ] 明日へ | TB(-) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する