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続・ガテン監督⑥

 週が開ける。仕事を終えると俺と兄貴は支店長室をへと向った。ドアをノックする。鼓動が早鐘のように高鳴ってきた。
「尾上と諏訪です」
兄貴が声にした。
「入れ」
ドアを開ける。俺達は支店長のデスクの前に立った。
「おっ俺今度尾上さんちに養子になります。それにおっ俺ゲイっす。尾上さんと一緒に住みます」
支店長が高らかに笑い声を上げる。俺を真っ直ぐに見てきた。
「何時言ってくるかと思ってたぜ。お前ら良い仲だと思ってたよ。でも養子に入るってのは予想外だったけどな」
「ありがとうございます」
俺と兄貴の声が重なった。
「諏訪、お前一級とってもっとバリバリやってくれるんだろ」
「ハイ、勿論です」
「判った。幸せになれよ」
俺達は支店長室を後にする。俺は胸を撫で下ろした。
「なっ大丈夫だったろ。会社は利益に繋がる奴には寛大なんだ」
「うん、ほっとした」
兄貴の声に俺が応える。穏やかな心に包まれた。柔らかな初夏の或る日、俺達は入籍を済ませる。俺は尾上大地となった。だが俺には天国に父さんがいる。だから母さん、信哉父さんと呼ぶことにした。今3人で役所1階の喫茶店でテーブルを囲んでいる。俺は新たな両親に視線を飛ばした。
「信哉、と、父さん、母さん宜しくっす」
「ああ大地宜しくな」
俺の声に信哉父さんが応える。隣に座る母さんが穏やかな笑顔を送ってきた。兄貴の弟になった俺。特別な思いに包まれた。今父さんの月忌命日には兄貴だけでなく尾上家の人達も来ている。そんな尾上家の人達の気持ちが嬉しい。父さんも喜んで呉れてると思った。
 3ヶ月余り経過する。俺達の新居が完成した。季節は盛夏。目映い午後の日差しが古煉瓦調の外壁を照らしている。玄関前の花壇には夏を彩る花達が咲いていた。
「チョッと見てみようぜ」
「うん」
信哉父さんの声に兄貴が応える。兄貴が新居の玄関ドアを開けた。信哉父さん、母さんと共に中に入る。12畳程あるリビングに入った。窓際には父さん愛用のタンスを再生して作った飾り棚が置かれている。他にも表札や小物入れに父さんのタンスは姿を変えた。リビングにはオープン型のキッチンが隣接されている。此処で色んな料理が出来ると思うと心が躍った。2階に昇る。10畳の主寝室と和室がある。チョッと広めのベランダ。眺望も良かった。
「中々いい家だな」
「うん、俺も結構に気に入ってるよ」
信哉父さんの声に兄貴が応える。俺と母さんが頷いた。3日後の農園の休園日。俺達の引っ越しが始まった。大型の家具家電が設置される。主寝室にはクイーンサイズのダブルベッドが置かれた。リビングのダイニングテーブル。子供用の椅子も用意した。衣類に雑貨、食器類。其々の場所に収納される。カーテンが取り付けられた。リビングの飾り棚に兄貴と俺の思い出が飾られる。この前撮った家族での集合写真。その中に父さんも合成される。飾り棚の真ん中に置かれた。
「あれっ……」
母さんが一枚の写真に注目している。俺に目を呉れた。
「これ大地が小さい頃で隣に写っているのお父さんでしょ」
「うんそうっす。多分父さんが33歳か34歳位っすね」
「ねぇ篤知に何処となく似てない」
母さんが写真を手に取る。兄貴に目を遣った。
「うん俺も最初見せられた時似てると思ったんだ」
みんなが写真に注目している。俺が兄貴の髭を手で覆った。
「こうするともっと似てるっすよ」
「ホントだ。目元が良く似てるんだな」
兄貴と父さんの事で話が盛り上がる。その時1台のトラックが停まった。時刻は昼下りの午後。夏雲が空に浮かんでいる。陽が樹木を照らし輝いていた。信哉父さんと母さんが外に出る。信哉父さんと母さんが配達員と何やら話していた。配達員が何やら大きな荷物を下ろされる。2階の和室に運び込まれた。梱包が解かれる。中から現れたのは大きな仏壇だった。
「お前、部屋が狭いし、気持ちが大切だからこれで良いんだけど……苦労を掛け続けた父さんをもっと大きな仏壇に祀って上げたいって言ってたよな」
「うん」
兄貴の声に俺が応えた。
「俺と母さんからのプレゼントだよ」
「ありがとう。凄く嬉しいっす」
仏壇が設置される。中を色んな仏具で飾られた。位牌と遺影が置かれる。仏壇が完成した。花、ご飯、お茶を供える。線香を焚いた。今仏壇の前で7人の尾上家の家族が揃っている。俺達は仏壇の前に正座した。其々合掌する。色んな思いを伝えてるに違いない。俺は父さんに感謝の気持ちを述べた。父さんが兄貴と出会わせてくれたと思ってる。そして新たな家族も出来たのだから……
父さんの衣類等を捨てる事は出来なかった。形見分けと言う言葉が脳裏を過る。俺の新たな家族が喜んで着てくれたら嬉しと思った。天国の父さんもそう思って呉れるに違いない。状態の悪いものは思い切って処分した。残りの物を一枚ずつ丁寧に薄紙で包んみ、ダンボールに入れる。それが今出されようとしていた。
「兄貴手伝ってくれよ」
「うん判った」
俺の声に兄貴は応える。俺達はダンボールから遺品を取り出し、並べ始めた。滅多に着ることの無かったスーツ、シンプルなシャツ。次々と畳の上に並べられる。フリーマーケット状態になった。今みんなが遺品を囲んでいる。拓也が俺の胡坐の上に座ってきた。
「俺の父さんの遺品っす。もし使えそうな物あったら貰って上げて下さい」
「へへ俺ちゃっかり貰っちゃった。こいつが初ボーナスでプレゼントした腕時計だってさ」
兄貴が腕を上げる。みんなに時計を見せていた。
「欲しいもの有ったらドンドン入れてくださいね」
兄貴が声を上げた。みんなに大きな紙袋を渡している。晩年の父さん。俺が就職し多少自分にもお金をかけられる様になった。シンプルで素材の良いものがいいと言ってたのを覚えている。父さんの遺品に目が集まっていた。拓也のママで駿一兄さんの奥さんでもある美月姉さん。結婚前はアパレル関係の仕事をしてたと言う。目を凝らして衣類を見ていた。
「わっこれ女性でもいいわね。凄くいい感触よ」
美月姉さんが声を上げる。目が綻んでいた。
「美月、このシャツ私にどうかしら」
「凄く、いいと思うよ。良い綿使ってる」
母さんの声に美月姉さんが応える。男達も動き始めた。信哉父さんが懐中時計を手に取っている。駿一兄さんがスーツに袖を通してた。
スーツG (4)
コートにブルゾンそしてネクタイ。次々に父さんの遺品が紙袋に詰め込まれる。瞬く間に父さんの遺品は紙袋に詰め込まれた。
「僕も欲しい」
突然拓也が声を上げる。俺と兄貴の視線が交差した。
「兄さん姉さんちょっとこれ見てくれ。大地のお古なんだ」
兄貴が声を上げる。傍らにあるもうひとつのダンボール箱が開けられた。
「父さんが丁寧に保管してくれていて、その中でも状態のいいものだけなんです」
シャツ、ウインドブレーカー、ハーフパンツ。続々とその姿を現した。
「わぁみんな可愛い。お父さんセンス良かったのね」
美月姉さんが声を上げる。傍らで駿一兄さんば微笑んでいた。
「拓也、どれがいい」
「全部」
駿一兄さんの声に拓也が応える。健気な笑顔を浮かべていた。様々なサイズの俺の洋服。成長と共に色んな可愛さを見せてくれると思った。

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[ 2016/08/07 14:32 ] 続・ガテン監督 | TB(-) | CM(0)

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