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続・ジョンホの願い⑦

 あまり自分の事を話さなかった兄貴。一緒に住み始めて色んな事が判ってきた。兄貴の父さんは木工所を営んでいる。主力商品は拘りの家具。だか経営は苦しいと聞いた。木工所の雑務を熟す兄貴の母さん。家計を助ける為和服の仕立てを請け負ってると聞いた。折田家の事情を兄貴は良く把握している。進学の為兄貴が選んだ道、それは奨学生。俺と同じだ。今兄貴はフリーの健康運動指導士として活躍している。借りた奨学金も完済したと聞いた。2年程前ご両親に兄貴が木工雑貨の作成を提案する。ネットで発売し始めて4ヶ月目辺りから動き始めたらしい。熟練した技に多くの人が支持していると言う。木工所はご両親と2人の職人そして長男の秀一さんとで営んでいると聞いた。時は昨年の初夏。兄貴が帰省した時の事だと言う。兄貴は思い切ってカミングアウトした。だが玉砕される。ご両親は仕方ないと思ったらしい。だが長男の秀一さんは理解を示さず激怒したと言う。それ以来兄貴は帰省していない。ご両親とは連絡を取り合っているらしいけど……兄貴も俺も苦学生。共通の境遇だった。俺を見てると自分の学生時代を思い出したと兄貴は言う。そして何とか手助けしたかったらしい。俺は今思う。兄貴を見習い早く奨学金を返そうと……
季節が巡る。初秋を迎えた。今一戦を交じ終え、兄貴と抱き合っている。兄貴のスマホが電話着信を報せた。
”うん、ちょっと待って”
「今度の土曜親父達が来るって言うけど都合どうだ。お前に会いたいって言ってるんだ」
「うん、大丈夫っすよ」
兄貴の声に俺は応えた。土曜日を迎える。初秋の青空が広がっていた。朝飯を軽く済ませる。穏やかな時が流れた。
「昼飯の用意するか」
「今日は俺1人でしたいっす」
兄貴の声に俺は応える。兄貴がにんまり笑みを浮かべた。
「判った頼むな」
俺は珈琲を点てた。兄貴はソファーに座っている。俺はローテーブルの上に珈琲を置いた。キッチンに入る。俺は料理を始めた。トントントン俺は小気味良く包丁でまな板を叩く。素材の下処理を始める。キッチンカウンター越しに兄貴と目が合った。
「じゃぁ迎えに行ってくるな」
「うん、判った」
兄貴の声に俺は応えた。小一時間程経過する。時刻は11時を回っていた。玄関ドアが開く音がする。ガシャリと閉まった。
「ただいま」
兄貴の声が響いてくる。俺はキッチンを出ると玄関迄行った。初めて見る兄貴のご両親。2人とも和服を着ている。気品を感じた。
「あっ初めまして、ジョンホっす」
「あぁ初めまして宣政の親父だよ」
俺の言葉に小父ちゃんが応えた。傍らでは小母ちゃんが微笑んでいる。みんなが大きな荷物を抱えていた。
「あっ上がってください。荷物持ちますね」
俺が声を上げた。小母ちゃんのデッカイキャリーバックを預かる。リビングに入った。
「結構いい部屋だな」
「そうね。天井も高いし開放感がある」
小父ちゃんの言葉に小母ちゃんが返した。俺はキッチンに入る。お茶の用意をするとみんなでテーブルを囲んだ。
「この子な。知り合いから譲られたんだ。ジョンホが犬好きだって聞いてたからな」
小父ちゃんが声を上げる。籠の中から子犬が出された。豆芝のオス。クーンクーンと鳴き声を上げる。俺は抱き抱えた。
「凄ぇ可愛い」
俺が言葉にする。ワンコがじゃれ付いてきた。
「色々買ってきたからな」
兄貴が声を上げる。リビングの片隅にハウス寝室の傍らにベッドを置いた。小父ちゃん手作りの小さく可愛い収納に色々なグッズが収められる。其々の設置が完成した。
「ジョンホちゃん日本のもの好きだって聞いてたから……」
小母ちゃんが声を上げる。2人分の着物に袴そして羽織。足袋、草履、帯もテーブルに置かれた。
「わっ凄ぇ。嬉しいっす」
「押入れ整理してたら反物出てきたから仕立てて見たのよ」
俺の声に小母ちゃんが応える。表情がやけに柔和に見えた。
「飯にしようぜ」
「そっすね」
兄貴の声に俺は応えた。テーブルの上の荷物を片付ける。俺はキッチンに入り料理の仕上げに掛かった。料理が仕上がる。俺と兄貴はテーブルに料理を並べた。
「凄ぇな。これジョンホが作ったのか。純和風だな」
「ありがとうございます。いっぱい食べてください」
小父ちゃんの声に俺は応える。グラスにビールが注がれた。
「ジョンホ、宣政幸せになるんだぞ」
俺と兄貴が頷く。4つのグラスがカチンと触れ合った。
「あぁ美味しい」
「ホントだ。美味ぇ」
小母ちゃんの声に小父ちゃんが応える。顔が綻んでいた。
「刺身も自分で下ろしたのか」
「ハイ、そうっす」
小父ちゃんの声に俺は応える。俺と兄貴のこれからの事で話が弾んだ。
「そうだ。ワンコに名前付けないとな」
小父ちゃんが声にする。色紙と筆ペンを渡された。
「えーと……じゃぁ夢駆っす。夢が駆ける」
「いい名前だな」
俺の言葉に小父ちゃんが応える。俺は色紙に夢駈と記した。和やかな内食事会が終わる。俺と兄貴が着物を羽織った。4人と1匹で写真を撮る。午後の光が柔らかく射してきた。
木漏れ日 (3)
「じゃぁそろそろ帰るな」
小父ちゃんが声を上げる。俺達は玄関まで見送った。
「じゃぁまたな」
「今度はゆっくり来てくれよ」
小父ちゃんの声に兄貴が応える。傍らに居る小母ちゃんが笑顔を送ってきた。ドアが開く。バタンと閉じる。施錠を済ませた。着物を脱ぎ、甚平を羽織る。俺と兄貴と夢駈。暫らくの間遊んでいた。キュンキュンキュン夢駈が可愛い声を上げ走り回る。遊び疲れた夢駈。何時しかハウスに入り眠り始めた。

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[ 2016/09/11 14:23 ] 続・ジョンホの願い | TB(-) | CM(0)

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