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トラック野郎⑥

 いつものように一緒にご飯を食べ少し酒も飲んだ。そしてその後激しい交尾。今リビングのソファーに並んで座っている。キュンと冷えたビールが喉越しよく流れていった。
「陽…俺と暖かな家庭持たねぇか」
「唐突になんだよ」
「ここで一緒に住もうぜ」
「えっ……」
「お前さ、一家団らんが夢だったんだろ。なっ俺とそんな家庭持とうよ。なっ……」
陽と視線が交差する。目が少し潤んでいた。
「結婚しよ。一生愛したる」
「うん」
陽の瞳が静かに閉じた。俺は唇を寄せていく。そっと触れ合う唇。薄く開いたところで舌を挿れる。絡み合う舌と舌。陽の背中に腕を回せる。ギュッと力を籠めた。俺達は新たな歴史を刻むため動き始める。安らかに眠る両親の墓前で手を合わせた。”俺こいつと幸せな家庭築くよ。俺達を見守ってください……”
カミングアウトした時狼狽えていた父と母の面影が駆け巡った。
陽はカミングアウトしてない。無理にする事もないと思ったけどどうしてもしたいと陽は言う。俺は陽のご両親にご挨拶も兼ねて会う事にした。着慣れないスーツを身に纏いネクタイは陽からプレゼントされた淡いピンクのネクタイを締めている。
スーツ(5)
湖が有名な関西の駅で電車を降りた。空は雲ひとつなく澄み渡っている。陽の育った街。特別な感情が湧いてきた。大きく息を吸う。空気が美味い。その時一台の軽自動車が停まった。
「源太兄ちゃんこっち……」
俺は車に乗り込んだ。
「陽、ホントにいいんだな」
「うん……」
陽の顔付きは重たかった。車を転がす事10分。陽んちに到着した。小ぢんまりとした2階建ての家。玄関前には綺麗な花が植えられている。狭いけど庭は良く手入れされていた。
「ここっすよ。さぁ入って」
「おじゃまします」
茶の間に通された。
「父ちゃん、母ちゃん…チョッと来てよ」
座卓を囲んだ。俺と陽が並んで座る。向かい側には陽の両親が座った。
「チョッと聞いて欲しい事があるんだ」
陽は湯呑のお茶を一気に飲み干した。
「あっ紹介します。この人源太さん。俺の大切な人なんだ」
俺は2人に向かって軽く会釈した。
「大切な人って……」陽の母親が怪訝そうな顔で俺をみた。
「俺さ、ホントは女より男の方が好きなんだ。今度源太さんと結婚したい。認めてくれよ」陽が切り出した。父親はちょっと驚きの表情を浮かべる。母親の顔が一瞬曇った。戦慄が走る。重たい沈黙に包まれた。
「男と男が愛し合うって気持ち悪いと思うかも知れませんけど俺達は真剣なんです。どうか私に陽君を預けてください。お願いします」俺は深々と頭を下げた。
「源太さん頭を上げてください。気持ち悪くなんかないですよ。ちょっと吃驚しただけですから……。陽が幸せになるならそれでいいよ」
父親がぽつりと声にする。曇っていた表情に明るさが戻っていた。
「私判ってたよ。あんたは男の人が好きなんだろうってね……お腹を痛めて生んだ息子のことだもの」
母親は陽をじっと見る。そして言葉を続けた。
「涼子ちゃんと一緒になった時大丈夫かしらって思ってたわよ。案の定失敗した。今度は幸せになりなさいよ」母親はきっぱりと言い切った。
「源太さん陽を宜しくお願いします」母親の声が優しく耳に響いた。
「必ず幸せにします。ありがとうございました。これからも宜しくお願いします」
俺は深々と頭を下げた。薄幸だった陽と母親。その母親は再婚して幸せな家庭を築いてる。今度は俺が陽を幸せにしてやる番だぞ。俺は心の中で呟いた。

Jail 4-爆男極悶絶叫録-

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[ 2015/01/25 21:41 ] トラック野郎 | TB(-) | CM(0)

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