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トラック野郎③

 陽との道の駅デートも今日で5回目。俺のカラダと心は完全に陽に支配されている。感情移入しないでいようと思ってたけどそれも限界だった。一戦を終えキャビンの布団の中で抱き合っている。激しかった交わりの後の気怠い時間。互いの体温を感じ合っていた。
「なぁ陽、好きになっていいのか」
「うん…俺もうなってる……好きやで」陽に関西弁で言われる。凄ぇいい響きに聞こえた。甘えるように抱きついてくる陽。俺はぎゅっと抱きしめた。この1箇月陽とは逢えてない。こっち方面に来る仕事が回ってこないと言っていた。季節は流れもう初夏。
緑
その穏やかな気候を真冬日に戻す事件が起きた。道の駅のカフェでテーブルを挟み向かい合って座っている。
「源太さん実はさ……」陽が淡々と語り始めた。陽が結婚すると言う。相手は合コンで知り合った女。母親1人に育てられた陽。その生活は貧しかったらしい。愛情にも飢えてたと聞いた。その母親は今再婚して幸せな家庭を築いているらしい。陽も結婚して穏やかで団らんな家庭を築きたいと……それが自分の夢だと語っていたのを覚えている。その夢を実現するため陽は結婚に踏み切った。
「源太さん好きだった……さよなら」
陽はカフェを出た。窓から外を眺める。陽のトラックが道の駅を後にした。
そして3日後陽からのメール。
”源太さん僅か3箇月だったけど俺幸せだったよ。このアドレスと電話番号はもう直ぐ使えなくなります。お身体に気をつけて……さようなら”
俺は直様電話した。お掛けになられた電話番号は……メールを送る。送信されなかった。年甲斐もなく恋してしまった俺。でも春は訪れなかった。陽幸せになれよ。そう思う反面心の中に風穴が開いた。虚しさが襲ってくる。心が凍てついた。いつもの時間が動き始める。現場と会社と家を行ったり来たりした。たまに寄るあの道の駅。そこで陽と遭遇することは無かった。あいつと別れて半年。知らないアドレスからメールが着信している。メールを開くと陽だった。
”折り入って話があります。こんなこと言えた義理ではないっすけど今度電話していっすか”
”判った。今なら電話に出れるよ”俺は返信した。
着信音が鳴る。大きく呼吸をして俺は電話に出た。
「よぅ久しぶり…元気だったか?」
「うん……」陽の声には翳りがあった。
「話ってなんだ」
「俺別れた。無理だったみたいっす。俺好きなのは源太さんってのがマジ判った。お、俺源太さんじゃなきゃ駄目なんだ」
ポツリポツリと陽が語る。
「携帯変えたのも……源太さんを完全に忘れる為だったけど……あかんかった。あいつとやってる時も源太さんの事が頭に浮かんだ」
陽の声が微かに震えてるのが判った。
「お、俺……」
「判った。もう言うな。今度会おうぜ」
「えっ……いいんすか」
「あっ俺んち来いよ。ランチでもしようぜ」
「うん」
最後の”うん”はやけに明るく聞こえた。一旦俺の元を去った陽。俺は許せるのだろうか。いや許せるに違いない。俺の心の奥にはまだ陽が棲んでいるのだから……俺は住所を陽にメールした。

愛の肉便器

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[ 2015/01/25 21:59 ] トラック野郎 | TB(-) | CM(0)

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