12日経過する。夕闇が夜の黒に包まれた。
スマホがメール着信を報せる。博史からだった。
”今、巧と別れた。お前とももう終わりにする。巧のこと頼んだぞ。じゃぁな”
”判った。ありがとな”
俺は返信した。直ぐさま俺はスマホのボタンを押している。巧に電話した。電話の向こうの巧。咽せんでいるのが判った。小一時間程経過する。インターホンが鳴った。
「巧っす」
「今開ける」
ドアを開ける。目を赤くした巧が立っていた。視線が交差する。巧の目から涙がボロボロ零れてきた。
俺は巧を抱き寄せる。きつく抱き締めた。
「巧、ゴメンな。あいつにウケの悦び教えたの俺だった」
「ううん、そんなことないっす。たまたまその相手が先輩だっただけっす。俺に開発して貰いたかったみたいっすけど……だけど俺は拒んだ。成るようになっただけっす」
巧が遣る瀬無い表情を浮かべる。言葉を続けた。
「でも、ウケに開眼してからは俺に挿れるように要求してきた。俺挿れるの好きじゃないけど失いたくなかったから挿れたよ。でも良くは無かった」
巧の顔付きが翳った。
「お、前からあいつを払拭させたい。イイよな」
「うん、いいっす」
俺の声に巧が応えた。
「飯は済んだのか」
「うん博史さんにご馳走になった」
巧がぼそっと声にする。その音色はやけに暗く感じた。
「風呂は……」
「まだっす」
「一緒に入るか」
「うん」
脱衣所で着ている物をバサバサ脱ぐ。俺達はガタイを晒した。浴室に入る。浴槽に並んで浸かった。そっと巧の手を握る。巧が握り返してきた。巧を抱き寄せる。唇を合わせた。一端唇が離れる。またキスをした。
「上がるか。少し呑もうぜ」
「うん」
俺の言葉に巧が応える。カラダを洗うと俺達は風呂場を出た。
褌を締め直し、部屋着代わりのジャージを羽織る。リビングに行くとソファーに並んで座った。グラスにビールを注ぎ合う。カチンと触れ合った。
褌に柔道そしてこの前の恋活パーティ。俺達は語り合った。酒がビールからバーボンに代わる。巧の目の周りがほんのり桜色に染まっていた。
「先輩俺さ……」
「そうなんだ」
巧の声が明るくなっていた。巧を抱き寄せる。股間に手を這わせた。軽く握ってやる。少し硬くなってきた。
「先輩……」
巧が視線を飛ばしてくる。瞳の奥に火照った光が見えた。
「判った。あっち行くぞ」
「うん」
巧の手を取る。俺達は一緒に立ち上がった。これから始まる男同士の儀式。特別な思いがある。この可愛くて男臭い後輩、巧。傷付いたこのオスを癒してやりたい。責任の一端は俺にも有るのだから……
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