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親父の遺志⑲

 今度お客様感謝祭、六尺モデル撮影会が行われる。今回で4回目のイベント。ボディタッチOKだ。それに最後にはモデル着用の六尺プレゼントもある。ホームページ上で公募すると結構な反響があった。
●日 時:12月4日、日曜日。第一部10時~11時45分、第二部13時~14時45分、第三部15時~16時45分。
●入場料:無料
下記フォームよりお申し込み下さい。次々と申し込みされる。あっという間に予定数に到達した。
 感謝祭当日を迎える。俺と勇児それに慎太朗、陽介を含めた7人のモデル。受け付けは俺と勇児が交代で行う。モデル達は首から名前の入った木札を下げ六尺一丁で待機している。陽介は久しぶりに貞操帯を装着した。お客様が見え始める。其々テーブル席に着く。モデル達が接待する。モデル達を撮影したりカラダにベタベタと触り捲くっていた。14時頃50歳位の紳士が現れる。慎太朗と視線が交差した。
「あっ……」
慎太朗が声を発する。その紳士は一目散に会場を後にした。
「どうした」
慎太郎が俺の耳元で囁いた。
「とっ、父さんっす」
慎太朗が震えた声を上げる。一瞬耳を疑った。
「心配するな」
慎太朗に笑みを送ると俺は追いかける。慎太朗の父さんが足早に駅の方に向っていく。俺は追い付いた。
「宮崎さん」
後ろから声を掛けると振り向いた。強張った表情を浮かべている。明らかに動揺しているのが判った。
「務叔父ちゃん……」
「えっ……」
俺の声にその紳士は驚愕の声を上げた。
「俺、岩倉尊宣の息子ですから……」
「えっ……」
「養子ですけどね」
「尊宣兄さんの息子さんですか?」
宮崎さんの表情から強張りが消えている。今度は戸惑いの色が伺えた。
「はい、そうですよ。岩倉勝政です。そこの喫茶店に入りましょうか」
歩きだすと宮崎さんはトボトボ付いてきた。
「アイスコーヒーでいいですか」
「ハイ」
俺の声に宮崎さんが小っちゃい声を上げた。カウンターで2つのアイスコーヒーとお水をトレイに乗せる。一番奥のテーブル席に着いた。向かい側に宮崎さんが座る。宮崎さんは一気にお冷を飲み乾した。
「宮崎さん、何で逃げ出したんですか」
俺は努めて明るく声にする。
「そ、それは……」
宮崎さんが押し黙る。少しの間沈黙が続いた。
「おっ、俺はゲイじゃぁ……」
重たい口を開くとボソッと声にした。
ゲイじゃないって言うんですか?でも今回のイベントはオフィス漢の会員しか参加できませんが……」
「でも……」
俯いていた宮崎さんが顔を上げる。視線が眩しく交差した。
「あっ、あのぉ……あいつ、慎太朗もゲイなんですか」
「ハイ、そうです。本人も自覚してますよ」
「何て事だ。親子揃って……」
宮崎さんは頭を掻きむしってた。
「宮崎さん今親子揃ってって……認めちゃいましたね」
「あっ、おっ俺、あっ」
宮崎さんは、はっとした表情を浮かべていた。
ゲイって悪い事じゃぁないですよ。性的指向の違いだけですからね」
俺が言い切った。
「今日、初めてお会いしましたけど俺と宮崎さんは親戚ですよね。そして同じ性向を持つ仲間ですよ」
「えっ、仲間ですか?」
「性的少数派の俺達は守り合っていかなければならない。親っさんの教えです。時間掛かったけど親っさんが亡くなる原因となった陽介も今は家族のように付き合ってるんですよ。それに今度俺と所帯を持ちます」
「えっ、尊宣兄さんが亡くなる原因って……」
その経緯を淡々と話する。宮崎さんは感慨深かげに耳を傾けていた。
「さっそろそろ行きましょうか」
「は、はい」
宮崎さんの表情に翳りはもう見えない。明るさの中に淫猥ささえ伺えた。男達の熱気が立ち込めている会場に入る。モデル達がお客様の要望に応えながらポーズを取っていた。前袋を触られているモデルもいる。宮崎さんの耳の回りが赤く染まっていた。慎太朗の姿には抵抗あるのか近寄らないでいる。その時慎太朗が動いた。
「俺も撮ってくれよ」
慎太朗が父親である宮崎さんに向けて声を掛けた。目を伏せがちに宮崎さんが慎太朗を見ている。躊躇いがちに宮崎さんが動いた。
「おお、判った」
慎太朗にポーズを付けさせ、シャッターを切り始めた。慎太朗が宮崎さんの耳元で囁いている。宮崎さんの顔が赤く染まっていた。
「ばっ、バカ野郎……」
宮崎さんのちっちゃい声が聞こえた。次に宮崎さんは陽介にポーズを取らせ写真を撮り始める。陽介のカラダを時折触っていた。
「慎太朗、お父さんに何言ったんだ?」
俺が問うと慎太朗がニンマリ笑った。
「俺の六尺姿そそられるかってね」
褌 (9)
この親子、息子の慎太朗の方が1枚上手のようだ。宮崎さんの手が止まる。シャッター音が止んだ。宮崎さんが陽介ににじり寄る。前袋に手を這わせていた。
「何か付けてるのか」
「貞操帯っすよ」
宮崎さんの言葉に陽介が照れ臭そうに声を返した。
「男にも貞操帯って有るのか」
「ハイ、有るっすよ」
「見てぇな」
宮崎さんの目がキラッと輝く。陽介が俺に目を呉れる。俺は首を縦に振った。
「見るだけならいっすよ。こっち来てください」
陽介と宮崎さんがトイレの方にに消えていく。程なくして戻ってくると宮崎さんの顔付きが明らかに昂揚していた。
「さぁ、プレゼントの時間ですよ」
勇児が声を張り上げる。モデル達がステージの上に並んで立った。次々と後ろを向きを解く。希望者に手渡される。最後のモデルは陽介だった。
「陽介の希望の方いらっしゃいますか」
3人のお客様が手を上げる。ジャンケンの結果権利を勝ち取ったのが宮崎さんだった。陽介は後ろを向きを解く。俺に褌を渡すと舞台袖に消えた。
「おめでとうございます」
陽介の締めた褌を綺麗に畳み、紙袋と一緒に宮崎さんに手渡した。
「ありがとうございます」
宮崎さんは褌の匂いを嗅ぐと嬉しそうに紙袋に包んでいる。こうして感謝祭は終わった。

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[ 2017/01/23 20:43 ] 親父の遺志 | TB(-) | CM(0)

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