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散髪屋⑦

 1箇月後のカットコンテスト。結果は雄治は優勝、将太は敢闘賞を貰った。今日は祝勝会。行ったのはフレンチのレストランだ。ドレスコードが設けられてあったのでみんなスーツを着ている。初めて見た3人のスーツ姿。いつも以上に凛々しく見える。特に亮佑は熟した男のオーラを感じた。
こういう所初めてらしく雄治と将太は緊張した表情を浮かべている。テーブルを挟み俺と亮佑が並んで座り向かい側には雄治と将太が座った。運ばれてきたグラスワインをを胸の高さまで上げる。俺達の視線が交差した。
「おめでとう。よく頑張ったな」亮佑の声。顔付きがほっこりとしている。
「ありがとうございます。あの時マスターにも誠吾兄ちゃんにも迷惑掛けたから2人の為にも頑張ろうって思ったんす。それにあの日喝入れられたけど飲ませて貰ったお薬よく効いたから……」
雄治が淡々と語る。俺と亮佑の視線がぶつかった。
「えっ……薬ってザーメンのことかよ」亮佑の声。
「ハイ……そうっす。なっ」
「うん…あれから力湧いてきたから俺達にとっては薬っす」将太が言い切った。
雄治と将太が真っ直ぐに俺達を見る。その瞳はとても健気に映った。
「これは俺からのお祝いだ」俺は小さな紙包みを雄治と将太に渡した。
「開けてみろよ」
包みの中身は腕時計だ。
「ありがとうございます」雄治が言う。
「ありがとうございました」将太が言った。
「これからも頑張って新たな時を刻めという意味だよ」
「頑張ります」重なる雄治と将太の声もやけに爽やかだ。
前菜、魚料理、肉料理…次々に料理が運ばれてくる。会話も弾み和やかな雰囲気の中食事が進んだ。
「あのさ…実は俺達今付き合ってます」雄治がぼそっと言った。
「来月から同棲します」雄治が言葉を続ける。隣に座っている将太が少し頬が桜色に染まっていた。
「マスターと誠吾兄ちゃんも付き合ってるんでしょ」将太が切り出した。
「呼び方変ったもんな。誠吾、亮佑ってさ……」雄治が嬉しそうに声にする。
「実はな。なっ誠吾」
「うん……」亮佑と視線がぶつかった。瞳の奥に眩い輝きが見える。心が熱くなった。
食後の珈琲が運ばれてくる。こうばしい香りが漂ってきた。珈琲を飲みながら交わす会話が熱くなる。男同士の行為のことになった。
「トコロテンって何……」
「兜合わせって……」
矢継ぎ早に言葉が飛んでくる。雄治と将太は探究心も人一倍強いみたいだ。
「誠吾兄ちゃんタチとかウケってなんすか?」雄治の声ががやけに明るい。目が輝いている。
「タチは挿れる方てウケは挿れられる方だぜ。両方出来るのがリバって言うんだ。お前らはどれなんだ」
「俺らは嵌め合ってるんでリバっすね。じゃぁ誠吾兄ちゃんってウケっすね」
「俺はリバだぜ」
「えっ…じゃぁマスターが掘られる事も有るっすか」
「たまにだけどな」
「誠吾、余計な事言うな」
亮佑がちょっと焦った声で俺を制した。
「マスターが犯られてる所見てぇな」
「見るより犯りてぇ。マスターの事掘ってみてぇ」
「誠吾兄ちゃんに掘られるのもいいな」
「あっそれもいい」
亮佑の言葉を無視するように雄治と将太ははしゃいだ。
「駄目だ。誠吾は俺のもんだ。許さん」
「えぇ~駄目っすか」将太が不満げに声を上げる。
「駄目っすか……」雄治がぽつりと言った。
俺に性処理を強要しようとした雄治と将太はもう居ない。顔付きもあの時の陰湿さは微塵も無く元気な若雄達だ。開放的過ぎる感はあるけど……雄治と将太の祝勝会は終わりレストランを出た。
「誠吾兄ちゃんありがとう。男同士のこと教えてくれて…そのおかげで先輩とこうなれたんだからさ…」
雄治がにんまりとしている。
「今日はホントにありがとうございました。行くぞ将太」
「うん」
「じゃぁな……」
雄治と将太は街の雑踏の中へと消えてった。
あの日のあの出来事が俺達を変えた。俺と亮佑。雄治と将太。今があるのはあのことがきっかけだ。俺達はできる限り都合を付け合い激しい夜を共にしている。”雅致”の休みに合わせて有給をとり色んな思い出も作った。臨海公園の観覧車がテッペンに行った時キスをせがむと照れながらもしる。雄治と将太も順調に愛を育んでいるようだ。一度4人で乱交したいって亮佑がねだられやったことがある。俺が誰かと交わっているのを見ると妬けるのが判っているのに受けてしまったらしい。その時は予想通り亮佑の嫉妬心に火が点いてしまったみたいだ。その後の俺とのSex。激しく燃え上がり腰がふらつく位激しい交尾をした。俺が亮佑が付き合い始めて1年が経つ。亮佑も雄治も将太も今はを常用している。
褌 (2)
して今俺と亮佑は一緒に住み始めた。充実した毎日を送れてる。
「ただいま」
「おかえり、飯炊いて味噌汁作っておいたよ」
「ありがとう」
料理は俺の役割だ。でも亮佑は俺より早く帰ってるとご飯を炊いて味噌汁は作ってくれる。
「今日は何だ」
「ハンバーグと夏野菜のサラダだぜ」
「判った」
テーブルに料理を並べると向い合って座った。グラスにビールを注ぎ合う。カチンと触れ合った。にんまりしながら食べる亮佑。俺の心も綻んだ。
「将太、コンテストで優勝したみたいだな」
「うん、大分頑張ってたからな」
「お祝いに乱行したいってメールきてるけどどうするんだ」
「悩んでるんだ」
亮佑の表情が困惑してる。心中が痛いほど判った。
「ご馳走様」
食事が終わる。箸を置きベランダに出た亮佑。星空をボーっと見上げている。俺も後を追うようにベランダに出た。
「どうしたらいいと思う」
「あいつらなら俺はいいと思うよ。俺雄治も将太も好きだしな」
「えっ……」
「バカやろ。弟としてだ。男として好きなのはお前だけだ。判ってるだろ」
「うん判ってる」
「将太、大分頑張ったんだろ」
「うん」
「だったら受けたらどうだ。ご褒美あげろよ。将太も雄治もお前の有能で可愛い愛弟子じゃねえか」
「でも……多分、いや絶対凄ぇジェラシー感じると思うんだ」
「そしたらまた腰がふらつくまでやるだけだろ」
亮佑と視線が絡まりあった。
「判ったぜ。あいつらと乱交する」
「うん」
「さぁ洗い物済ましちゃうぞ」亮佑の声が清々しく聞こえた。
[ 2015/01/31 20:38 ] 散髪屋 | TB(-) | CM(0)

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