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親父の遺志①

 俺岩倉 勝政39歳、オフィス漢と言う会社に営んでいる。この会社は男性同性愛向けのサービスを提供している。DVD、雑誌、グッズ、下着、などを販売する”倭雄舎”。有料系ハッテン場の”乱館”ガチムチ野郎の売り専”癒し庵”。3つの店舗で成り立っている。最初戸惑ったけど今俺が生きてられるのはオフィス漢のお蔭だ。あの時声掛けてくれた社長に感謝している。施設で育った俺に親はいない。甘えかも知れんけどそんな俺に世間は厳しかった。苦戦する就活。届く不採用通知の山。心が折れ挫折感を味わう。そんな中どうにか決まったのが派遣の仕事だった。施設を出てアパートを借りる。新生活が始まった。収入は手取り13万程度家賃、光熱費を払うといくらも残らない。その上出勤交通費は自腹だ。厳しい生活を強いられる。副業でのアルバイトも考えた。都合のいいバイトなんては無い。苦悩の日々が続いた。こんな俺でも彼女が出来た。半端無い俺の性欲。俺はやり捲った。そして妊娠。産んで貰っても育てるのは無理だ。結局中絶する。その費用は仕方なく借金した。その借金を返すためにまた借金する。いつしか生活は極貧になった。仕事に行きたくても交通費がない。挙げ句の果て解雇された。飯も満足に食えない。何時しか彼女も俺の元から姿を消した。止む無く生活保護を申請する。それも却下され一縷の望みも絶たれた。居たまれぬほど張りつめた不安に襲われる。あれは19歳の春先の事だった。春の光が疎ましく感じる。朝からとぼとぼと、宛ても無く街を歩いている時だった。
「よぉ、どうした。悲壮感いっぱい漂ってるぜ。何かあったのか」
40歳前後の顎と口に髭を生やし坊主頭の温厚そうな親父が声掛けてきた。
髭 (2)
”怪しいぞ気を付けろ”と心の片隅で別の俺が警告する。その反面何処かほっこりするような暖かみを感じた。
「仕事探してるけど中々旨くいかなくて借金もあるし、途方にくれてます」
ぼそっと本音を吐き出していた。
「そうかぁ内の会社で働くか」
「えっ……」
親父の声に俺は応える。いきなりの予想も出来なかった言葉に驚いた。
「こう言う者だ」
渡された名刺にはオフィス漢代表岩倉尊宣と記されている。裏を見ると倭雄舎、乱館、癒し庵との記載があった。何処かの会社の社長かと俺は思惟する。社長に目を遣った。
ゲイ向けの風俗だけどな。稼げるぞ」
男の俺が風俗、えっ、でも稼げると言う。遠くの方で微かな光が輝いていた。社長と視線が交差する。途轍もなく優しい笑顔を浮かべていた。熟れた男の重厚な包容力が醸し出されている。会った事もないがホントの社長じゃないかと錯覚した。
「直ぐ、そこだから話聞いてみねぇか」
「はっ、はい」
社長の言葉に応えてしまった。社長と並んで歩く。5分程で其のオフィスは有った。少し急な階段を昇る。このまま付いて行っていいのかと言う不安を覚えた。だが同時に生活を立て直せるかも知れないと言う微かな希望も感じた。4階の扉が開く。綺麗に整頓された事務所だった。片隅に少し大きめの机が有る。その脇に6人掛けのテーブル席が置いてあった。
「まぁ、そこ座ってくれよ」
社長が声にする。珈琲とショートケーキを出してくれると、その社長は向かいに座った。何故かこの時緊張が緩み、なんとなく暖かいものに包まれる。その途端俺の腹がぐぅーと鳴った。
「何だ。腹減ってんのか」
社長の言葉に俺はコクンと首を縦に振る。昨晩から何も食べてない胃袋は素直に反応してしまった。
「好きなもの頼めよ」
目の前にさしだされた定食屋のメニュー。甘えて好いものか悩んだけど空腹には勝てなかった。
「すんません。とんかつ定食お願いします」
「あぁ判った」
程なくして出前が届いた。テーブルの上に定食が並べられる。俺は武者ぶり付くように喰らい付いた。社長が俺を見ている。視線が交わると優しい目をしていた。
「落ち着いたか」
「はい、ご馳走様でした」
社長の声に俺は応える。社長がノートパソコンを起動した。
「さっき言ってた仕事の事が色々載っている。癒し庵のお客様用のホームページも見ておくといい」
そう言うと自分の机に戻り仕事を始めた。俺はマウスを動かし始める。俺が勤めるかも知れない店は”癒し庵”営業時間は13時~23時。ホストは皆短髪坊主でカラダは逞しい。仕事の内容は男相手に性的サービスをする事だ。平均月収を見ると結構稼いでいる。寮もあるし、微かな希望の光が灯った。男同士の性行為に関して嫌悪感はない。でも俺がやるとなると別問題だ。目を瞑ると色んな事が頭の中を駆け巡る。15分程経つと社長が俺の向かいに座った。
「どうだ。何か質問あるか?」
「こんなに稼げるんすか」
社長の声に俺は言葉を返した。
「あぁもっと稼ぐ奴もいるし、これより低い奴もいる。俺の目に間違いなければお前は充分稼げると思うけどな」
「えっ…そうっすか」
社長が声を上げる。また優しい眼差しを俺に向けてくれた。
「あっ、寮もあるんすね」
「入りてぇか」
「ハイ、入れるなら、入りたいっす」
「あぁ、入れるぜ。何ださっきの顔とは全然違うぜ。明るくなったな」
俺の顔を覗きこんできた。
「どうする。やるか」
「でも……ちょびっと心配っす」
「まぁそりゃそうだろ。でも稼ぎたいって言う気持ちが有れば大丈夫だぜ」
最後の1歩を踏み出せない俺が居る。どうする俺。自問自答する。答は出なかった。だが生活がある。俺は葛藤した。

大噴火

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[ 2017/01/27 22:02 ] 親父の遺志 | TB(-) | CM(0)

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