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陽春の光⑥

 どれ位キスしていただろう。静かに唇が離れた。荒かった呼吸が穏やかになっている。侑吾が甘えた目で俺を見てきた。
「シャワー浴びるぞ」
「うん」
一緒にシャワーを浴びた。を締め直し着衣を整える。俺達はラブホを後にした。夜風が優しく包んでくれる。駅裏のグランドのベンチに並んで座った。
「星空綺麗だな」
「うん」
俺の声に侑吾が応える。侑吾が一途な目で俺を見てきた。
「こ、康生さん、あっあの……さっき言ったことってホントっすか」
侑吾がぼそっと声にする。俺はピンときた。
「付き合ってくれってことか」
俺が声にする。侑吾が頷いた。
「当たり前だろ。それとも嫌なのか」
侑吾が首を横に振った。直向な目で俺を見てくる。俺は回りを見渡すと誰も居なかった。後の道路を時々車とか自転車が通っている。家路を急ぐ人も居た。でも俺は我慢出来なくなっている。侑吾を抱き寄せた。唇を寄せていく。軽く触れ合った。薄く開いた唇を舌で割り挿れる。俺達は舌を絡め合った。侑吾の背中に回した腕に力が入る。静かに唇が離れた。
「康生さん、キスしてたら俺もっとしたくなっちゃった」
「じゃぁ俺んち来るか」
「うん」
俺達は駅に向った。時折軽く手を握る。侑吾の男の血潮が伝ってきた。
「俺さ……」
道すがら侑吾が色々語ってくる。5年余り前父親は再婚した。侑吾も何度か義母の稲川さんとは合ったと言う。作り笑顔の中に見える鋭い視線。侑吾は好きにはなれなかったと言う。幼いとき侑吾の母さんは他界した。男手ひとつで育ててくれた侑吾の父さん。その父さんの意思を尊重したと言う。だが直ぐに化けの皮が剥がれる。凶暴な一面を見せ始めたと聞いた。そして父さんが他界。稲川さんが家を出た。その稲川さんが突然戻ってきた時侑吾は迂闊にも受け入れてしまったと言う。稲川さんとの暮らしに疲れ果てた侑吾。絶えられなくなった侑吾は会社を退職する。生産関係の夜勤のバイトを転々としていたらしい。生活の時間帯がずれる。遭遇することも少なくなると考えたと言う。そんな折出合った男同士のSNS。そこで知り合った男に抱かれた。色んな男と出会い、みんな優しかったと言う。優しさに飢えていた侑吾。男に嵌っていったみたいだ。高岸 侑吾26歳、寡黙でオス臭く可愛い男。伸ばした髭が良く似合っている。俺はこいつを大切にしたいと思った。一戦を交し終える。俺達は抱き合っていた。侑吾が俺のちんぽを握っている。何時しか寝息を点て始めた。侑吾が安堵の表情を浮かべている。俺も眠りの中に居た。カーテンの隙間から朝日が洩れている。俺は目覚めた。隣に居るはずの侑吾が居ない。俺は着衣を整えるとリビングにと行った。
「おはようございます。済んません。勝ってに使ってます」
「おお、おはよう。構わねぇぜ」
侑吾の声に俺は応える。味噌汁の良い匂いが漂ってきた。俺はソファーに座る。朝のニュース番組を見ていた。
「ハイ、お茶っすよ」
「ああ、ありがとな」
侑吾の声に俺は応える。俺はお茶を啜った。何時もと違う味がする。とても優しく感じた。
「出来たっすよ」
「おお判った」
焼き魚、お浸し、そして卵焼き、ベタな朝の料理。味噌汁とご飯が運ばれてくる。俺の向かい側に侑吾が座った。
「頂きます」
俺達の声が重なる。ふっくらとしたご飯、絶妙な味付けの味噌汁。全ての料理が絶品だった。
「料理旨いんだな」
「ありがとうございます。ずっとやってたから……」
俺の声に侑吾が応える。嬉しそうに笑みを浮かべていた。高校の頃から時々父親の手伝いをしていたと言う。父親が再婚してからはやらなくなったみたいだけれど……
朝食が終り、今ソファーに並んで座っている。珈琲を飲みながら食後のひと時を過ごしていた。
「侑吾、どっか行こうか」
「えっ」
「天気もいいしな」
「あっ俺散髪行きてぇ」
俺達は家を出た。盛夏の青空が広がっている。
空②
俺達は散髪屋へと向った。一緒に並んで坊主にする。鏡越しに見える侑吾。嬉しそうに俺に笑顔を送ってくれた。散髪が終り、家に戻る。この日は1日イチャイチャしていた。こうして俺と侑吾は付き合い始める。都合を付け合いデートした。仕事が終りご飯する。その後は当然の如くカラダを重ねた。遊園地、映画そしてハッテンビーチ。休みの日には良く一緒に出掛けた。何時の頃からか侑吾は俺の事をプライベートの時は兄貴と呼んでくる。俺の耳には心地好く響いた。
 季節が巡る。本格的な秋を迎えた。公園の木々が色付き始めてる。そんなある日侑吾からメールが入った。
”渡したい物があるのですが今日とか都合いいっすか”
”いいぜ。じゃぁ7時にいつもの喫茶店で……”
喫茶店に着くと侑吾はもう来ていた。
「お待たせ」
俺は声を上げる。侑吾の向かい側に座った。
「あっ兄貴、これっす」
侑吾が声を上げる。小さな箱包みを渡された。
「開けていいのか」
「うん」
俺の声に侑吾が応える。開けるとが2本入っていた。
「もしかして手作りか」
俺の声に侑吾が頷いた。
「いっつも兄貴にご馳走になったり色んな所連れてって貰ってるから何かしたかったんだ」
「バカやろ。そんな気使わなくていいんだぜ。でも嬉しいよ」
侑吾の言葉に俺は声を返した。視線が交差する。汚れの無い目を俺に呉れた。
「へぇでも上手いもんだな。綺麗に縫われてる」
「へへ、見直したか。俺の事」
「うん見直した。もっと好きになったぜ」
「うん良かった。兄貴に喜んで貰って俺凄ぇ嬉しいっす」
にんまり笑う侑吾の顔が無茶苦茶可愛いかった。
「実は俺もお前にプレゼント有るんだぜ」
「えっ……」
俺は鞄の中から不動産屋の名前が入った封筒を出した。侑吾は封筒を開ける。中古住宅の図面が3枚入っていた。
「えっこれって……」
「リフォームして一緒に住まねぇか」
侑吾の言葉に俺は応える。俺は侑吾を真っ直ぐに見た。
「いいのか」
「ああ、いい」
侑吾の声に俺は言葉を返した。
「うん」
「今度の休みに物件見に行こうぜ」
「うん」
俺と侑吾の新たな生活がもう直ぐ始まる。日本の綺麗な四季を感じられる家にしたい。施工業者は既に倭工務店に決めてある。其処で一級建築士をしている知哉さんと六尺バーで知り合った。そのとき一緒に来ていた勝元さん。知哉さんの彼氏で組子職人だと言う。今他の家族達と一緒に住んでると聞いた。知哉さん達の家を見せて貰った事がある。温もりのある匠の家。俺は感銘を受けた。を縫える侑吾。その才能を開花させたい。オリジナルの。既製品ではサイズが合わない人も居る。もしこいつに縫わせたら……俺の頭の片隅に過ぎるものが有った。

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[ 2017/04/09 13:12 ] 陽春の光 | TB(-) | CM(0)

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