2ntブログ















宮内家の小悪党共④

 もう直ぐ俺は個展を開く。場所はギャラリー牡鞍坂。高尾さんが営む展示室だ。今ギャラリーに向っている。コインパーキングに車を停めた。車を降り、教えられた住所に歩き始める。時刻は約束の1時に迫っていた。ビル看板が有ると言う。俺はキョロキョロとしていた。一台の自転車が近寄ってくる。思わずぶつかりそうになった。
「ちょっと何トロトロしてるのよ。危ないでしょ。このうすらバカが気を付けろよ」
罵声を浴びせてくる。50過ぎに見える女だった。此処は歩行者優先の歩道。自転車は歩行者を守らなければならないはずだ。俺はプツンと切れる。自転車を追い掛けた。
「ちょっと待てよ」
自転車は止まらない。俺は駆け出した。自転車に追い付く。俺は自転車の前に立ちはだかった。
「此処は歩行者優先の歩道だぜ。誤れ」
「お前がトロトロしてるのが悪いんだろ。このノロマがよぉ」
俺の声に女が男言葉で返してきた。
「判った。警察行こうぜ」
「悪いのはお前だろ。お前が警察に捕まってしまうぞ」
俺の声に女が応える。その時偶然通りかかった警察の自転車が停まった。俺は経緯を説明する。女は正論のように事態を語った。
「貴女が悪いですよ。自転車は車両ですからね。きちんと謝罪したらどうですか」
警察官が諭すように声にした。
「ふん」
女が声を上げる。態度がふてぶてしかった。遠巻きに人々が見ている。その中に高尾さんも居た。高尾さんが近寄ってくる。女に視線を飛ばした。
「俺も見てたぜ」
高尾さんが言い切る。女が高尾さんを睨み付けていた。
「どうなさいますか。訴えることも出来ますが……」
「考えます。今は急ぐので念のため連絡先を教えておきますね」
警察官の声に俺は応える。俺は電話番号と名前を書いたメモを警察官に渡した。
「調書に残しておきます。私は小林と言ってこの先の交番で勤務しています。何か有ったら訪ねてきてくださいね」
「ありがとうございます」
小林さんの声に俺は応える。小林さんが女に視線を飛ばしていた。
「貴女には色々聞くことがありますから交番迄来てください」
小林さんの声に女は目を剥いている。俺と高尾さんはその場を立ち去った。後を振り返る。女が警察官とトボトボ歩いていた。ギャラリーで最終的な打合せを済ませる。夢が広がってきた。
「お茶でもしようか。この先にチーズケーキが美味しいカフェがあるからさ」
「いっすね。俺車で着てるから車で行きましょう」
高尾さんの声に俺は応える。俺達はコインパーキングへと向った。俺達を乗せた車が動き始める。向ったのは近くのスーパー。お洒落な建物が見えてくる。何でも高級スーパーだと言う。俺は駐車場に車を停めた。傍らにあるカフェ。中に入るとセレブそうな客達で賑わっていた。俺達は窓際にテーブルを挟み向かい合って座る。高尾さんはメープルプロマージュとミルクティー、俺はティラミスとストレートティーを頼んだ。スイーツと飲み物が運ばれてくる。ティラミスを口にすると仄かな甘味が口の中に広がった。俺の個展も事で話が盛り上がる。窓から望める蒼い空。
空 (6)
雲間からは穏やかな光が射してきた。俺達はカフェを後にする。車へと向った。その時角を大きな乗用車が曲がってくる。俺達に迫ってきた。当りそうになる。俺と高尾さんは回避した。その車が身障者用のスペースに停まる。熟年の男が降りてくると、視線を飛ばしてきた。
「この野郎、モタモタしやがってよぉ。今度やってみろ。ぶっ殺してやる」
男が声を張り上げた。俺達は唖然とする。男ににじり寄っていた。
「おっさんもう1回言ってみろ」
俺が低い声を上げた。男に視線をぶつける。男が拳を振り上げた。その拳が俺の顔目掛けて飛んでくる。俺は手の平で受け止めた。
「おっさん、傷害未遂だな。高尾さん警察呼んでくれ」
「判った」
高尾さんがスマホを取り出し、電話を掛けている。騒ぎに気付いたスーパーの人が出てきた。
「どうしたんですか。あっまた貴方ですか」
店の人が男を見ていた。呆れ顔を浮かべている。俺は経緯を説明した。
「俺は悪くねぇ。こいつらが悪いんだ」
男が喚いた。
「誰か見た人居ませんか」
店の人が声を張り上げた。
「私見たよ。その人の言うとおりで間違いないわ」
妙齢の女性が声にした。
「俺も見たぜ。この人前にも揉めてたもんな」
中年の男性が言葉を吐き捨てる。パトカーがやってくた。2人の警察官が降りてくる。1人は小林さんだった。俺は情況を説明する。熟年の男が喚いた。警察官達が敬礼する。男は検挙された。
「嫌なことばかりあった日だったな」
「うん、散々だったぜ」
高尾さんの声に俺は応えた。
「高尾さん店まで送ってくな。そろそろ準備の時間だろ」
「ああ悪いな」
俺達を乗せた車が動き始めた。交通事故で両親を失った俺。些細なことかも知れない。だが俺はルール違反を許せなかった。俺の個展が始まる。多くのお客様達が来てくれた。今日個展の最終日。西の空に陽が傾き始める。高尾さんと健志が見えた。
「盛況だったみてぇだな」
「うん、お蔭様で……結構買って貰ったよ」
高尾さんの声に俺は応える。傍らにいる健志。健気な笑顔を浮かべていた。スマホが電話着信を報せる。電話に出ると警察からだった。あの時の女と男は夫婦だと言う。その義理の息子が俺に誤りたいと聞いた。俺は了解する。程なくして男が現われた。
「宮内 雅邦と貞子の息子の香月 篤雄です。この度は大変ご迷惑掛けました」
「ちょっと待ってくれ。搬出終わってから話し聞くからな」
篤雄の声に俺は言葉を返した。
「あっ俺も手伝います」
篤雄が声を上げる。俺達の作業を勝ってに手伝い始めた。荷物の撤収が終わる。ガランとしたギャラリー。4頭のオスが佇んでいる。俺達の足許に篤雄が土下座した。
「父と母がご迷惑をお掛けしました。どうかお許しください」
篤雄は床に額を擦り付けていた。
「あの2人万引きで捕まって今執行猶予中なんです。もし今度訴えられたら……」
篤雄が顔を上げる。俺達の視線が交差した。
「俺に出来ることは何でもしますから上訴はしないでください。お願いします」
香月 篤雄、30歳位に見える。身長は俺と然程変わらない。着衣の上からでもガタイが良いのが伺える。頭髪は坊主。浅黒い肌をしていた。
「篤雄って言ったよな。仕事は何してんだ」
消防士っす」
高尾さんの声に篤雄が応える。高尾さんが俺と健志に視線をぶつけてきた。高尾さんが囁く。俺と健志は頷いた。
「今度ぶっ掛けパーティーがあるんだ。その主役になってくれたらこいつは追訴しないって言っている」
高尾さんが声にする。同時に視線を篤雄に飛ばした。
「ぶっ掛けパーティーっすか」
篤雄が声を上げる。瞳の奥から僅かに不安の色が見えた。
「ああ俺は倭六家と言う六尺BARを営んでいる。客はゲイだ。来週の日曜其処のSM部屋でぶっ掛けパーティーを行なう。お前は14人の男達に精子を掛けられる。ケツ掘られながらな。どうだ受けるか」
篤雄が明らかに戸惑っている。篤雄が目を瞑った。重たい沈黙が続く。篤雄が目を開けた。
「判りました。お受けします」
篤雄が声を上げる。その顔付きが力強く感じた。
「パーティーは4時から始まる。準備があるから40分前に着てくれ。それに消防服も持ってきて欲しい。いいな」
「ハイ、判りました」
高尾さんの声に篤雄は応えた。高尾さんがメモを篤雄に渡している。俺は微かな昂ぶりを覚えた。

MOZ

MOZ


ドクターG ダブルリング

ドクターG ダブルリング


潮吹き坊主 3

潮吹き坊主 3


Gweblog - ゲイウェブログ -
エログ-(エログランキング)SGLRにほんブログ村 大人の生活ブログ 恋愛小説(愛欲)へ
にほんブログ村
[ 2017/05/04 17:50 ] 宮内家の小悪党共 | TB(-) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する