今俺は将仁の家で暮らし始めた。住宅のリフォームを始める。工期は4日間。2部屋が合体させ、広めの寝室にして壁際には豊富な収納を作る。ダークな床材、其々の部屋に合わせた壁紙にカーテン。ダブルベッドを業者が組み立て、設置する。リフォームが完成し、費用は俺が払った。
「うわー凄ぇ見違えたな。ありがとう」
将仁の歓喜の声を上げた
「一緒に住む家だからな。俺からの結納金だぜ」
俺は言葉を返した。
「結納金かよ」
「ああそうだ」
「じゃぁこれは俺から結納金返しだ」
将仁が俺に紙袋を渡した。俺は開けてみる。入っていたのは新しい表札。佐倉洋兵、須崎 将仁、空と記されていた。
「将仁……」
俺は声を上げた。俺は将仁をギュッと抱きしめる。安堵と幸せを感じた。キュンキュンキュンと空が俺達の回りを走り回る。俺達は表札を掛け直した。季節は初夏。幼い緑の間から木洩れ日がさしている。
或る日の晩賢也と沙織を呼び出した。公園の街燈が穏やかな光を放った居る。場所は3人で良く行ってたファミレスだ。俺の隣には将仁が座っている。俺は沙織と賢也に目を遣った。
「父さんの恋人の須崎将仁だ」
俺が言い切った。
「初めまして須崎将仁です。宜しくお願いします」
将仁が丁寧に言葉にする。沙織と賢也の表情が驚きを茫然の色をしていた。
「と、父さんって
ゲイ……」
賢也がぽつりと声にした。
「ああ、目覚めた」
「吃驚した」
沙織が胸を撫で下ろしながら言った。
「気色悪いか?」
俺がぼそっと声にした
「そんな事無いわ。人が人を好きになるのって素敵な事よ。それが男と男だって女と女だって関係ないわ。それに今日将仁さんに初めてお会いしたけどこんな綺麗な目をした人見たことない。いい人に決まってる」
沙織が声にする。瞳が輝いていた。
「姉ちゃんもそう思ったんだ。俺もだぜ。汚れのない綺麗な目だもんな。俺は大賛成だ」
賢也の元気な言葉にする。顔の奥に明るい灯火が点ったようになった。
「ありがとう凄ぇ嬉しい。沙織ちゃんに賢也君」
「みんな仲良くやっていこうな」
将仁の声に俺は言葉を返した。
場が一段と明るくなった。
「あっ俺兄貴欲しかったから兄ちゃんって呼んでいいっすか?」
賢也が言葉にした。
「あっ私も」
沙織が言った。
「ああいいぜ。歳の離れた兄貴だけどな」
将仁が声にした。
「俺の事は賢也でお願いします」
「私は沙織でお願いします」
将仁が子供達に受け入れられた。
「父さん随分大変な思いしたからこれからは幸せになってほしい」
沙織が声にする。表情がやけに柔和に見えた。
「うん、俺達の為に一生懸命やってくれたから、俺達って父子家庭みたいなもんだったからさ」
賢也が明るい声を放った。
「今一緒に住んでるんだ。今度遊びに来てくれよ」
「えっ凄ぇ、父さんもやるなぁ。是非遊びに行くよ」
俺の言葉に賢也が感嘆の声を上げた。
「私も、父さんどんな所に住んでるのか見てみたいわ。父さん幸せになってね。お兄ちゃん宜しくお願いします」
沙織が声にした。将仁と視線がぶつかる。目で話した。カミングアウトして良かったなって……
俺と将仁は朝から忙しく動き回っている。今日墓参りに行く。最初に行ったのは俺の両親の墓。次に将仁の両親の墓に行った。俺達は各々の両親の墓前で合掌する。永久の愛を誓った。傍らにいる空がクーンクーンと甘えるように哭いている。帰りにスーパーで食材を買い込んだ。そう今日は子供達と猛嗣兄ぃを自宅に招待してる。7人分の料理を作る為キッチンに立った。トントントンまな板を叩く包丁の音が小気味良く耳に響く。料理の下拵えが終わる。俺達は風呂に入りカラダを清めた。真っ新な
褌を締め込みお揃いの作務衣を羽織る。ソファーに並んで座った。お客様達をまったりしながら待っている。時刻は約束の6時に迫っていた。インターホンが鳴る。俺が出た。
「ハイ、今開ける」
俺が声を上げる。猛嗣兄ぃだった。
「よぉ、洋兵、将仁良かったな」
猛嗣兄ぃが言った。
「猛嗣兄ぃありがとうございます」
俺が言葉にした。
「ありがとうございます」
将仁が明るい声を上げる。程なくして沙織夫妻、賢也夫妻が現れた。今俺達はテーブルを囲んでいる。ハウスに居た空が出てきた。キュンキュンキュンと鳴き声を上げ、走り回っている。足をを止めると俺達を見上げていた。
「可愛い……」
沙織と優香の声が重なる。傍らでは英樹と賢也が微笑んでいた。
「空って言うんだお前達の弟だぜ。可愛がって呉れよ」
俺が声にした。
「沙織、それに英樹君、賢也、優香ちゃん、今日は良く来てくれました」
「父さんこちらの方こそありがとうございます」
俺の声に沙織が応えた。
「ありがとうございます。父さん」
賢也が声にする。傍らで英樹と優香が微笑んでいた。俺は2冊の通帳を出した。名義は沙織と賢也になっている。俺は沙織と賢也に目を遣った。
「これは家を売った金だ。に使った。お前らにやる。いいよな将仁」
「うん兄貴」
「と、父さんありごとう」
賢也が声を上げた。
「父さんありがとう」
沙織も声にする。穏やかな笑顔を浮かべていた。
「俺はこれからこいつと裸一貫で新たな人生歩むからな。お前らも幸せな家庭築けよ」
「ハイ父さん」
沙織と賢也の声が重なる。表情は明るさに満ちていた。
「皆さんチョッとイイですか?あっ俺境田猛嗣洋兵の親友です。実は洋兵と将仁は判っていると思いますが
ゲイです。この2人が新たな人生を歩むに当たって皆さんの前で永久の愛を誓いたいと言ってます。見届けて頂けませんか」
4人が頷いた。猛嗣兄ぃがキッチンに入る。お盆に乗った大きさの違う3つの盃と4人分の盃を持ってきた。三々九度が終わる。俺は将仁に目配せした。将仁はキッチンに入る。戻ってくると猛嗣兄ぃに渡した。
「えっ」
猛嗣兄ぃが声を上げる。驚きの表情を浮かべていた。
「猛嗣兄ぃは親戚みたいなもんだからな」
俺はみんなに酒を注ぐ。みんなが飲み干し、親族固めの盃が終わった。
「今度は指輪の交換です」
猛嗣兄ぃが声を上げる。口調が重厚に感じた。テーブルには2つのマリッジリングが置かれている。刻印はpour toujours ”永久に”と刻んで貰った。
俺は将仁の左指に指輪を嵌める。将仁が俺の左薬指に指輪を嵌めた。微かな興奮を覚える。
沙織がパチッパチッパチッと手を打つとみんなも続くように手を打った。拍手の渦が湧き起こる。静かに止んだ。
将仁に視線をぶつける。将仁の手を握った。
「残った人生、お前と謳歌したい」
「うんずっと一緒だぜ」
俺の声に将仁が応えた。拍手が沸き起こる。意味が判っているのか空がキュンキュンキュンと可愛く哭き走り回っていた。
「おめでとう」
みんなの口から声が上がった。
「なぁ何か足りなくねぇか」
英樹がぽつりと声にする。みんなに視線を飛ばしていた。
「父さんキッスは……」
沙織が声にする。おかしな笑みを浮かべていた。
「そうだ。キッスだ」
賢也が声にした。キッスコールが沸き起こる。空もキュンキュンキュンと鳴き声を上げていた。。
俺が将仁の肩に両手を置く。キッスコールが止んだ。
「将仁」
「兄貴」
俺と将仁に唇を寄せていく。軽く触れ合った。場が静寂に包まれる。俺達は唇を離した。また拍手が沸き起こる。見ると沙織と優香の頬には涙が伝っていた。
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[ 2017/05/07 17:15 ]
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