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俺の船①

 俺佐倉 洋兵52歳の髭坊主。スポーツメーカーの中間管理職をしている。嫁は4歳年上の56歳、名前は麗子。連れ添ってから28年経った。知り合ったのは俺が25歳の時で場所は海。俺と麗子は其々1人の友達と来ていた。4人の男女が意気投合する。その日の内にカラダの関係を持った。俺達は付き合い始める。ちょびっと可愛い麗子。性格はさばさばしている。俺は次第に好きに成っていた。そして麗子は妊娠する。俺達は結婚した。長女の沙織が生まれる。その2年後には長男の賢也が出生した。親子4人を乗せた佐倉家の船。さざ波の上を穏やかに進んで行った。俺が帰宅する。良く子供達と遊んだ。はしゃぐ沙織と賢也。天使のような笑顔を浮かべる。子供達を風呂に入れる事、それは俺の日課。同時に俺の楽しみのひとつだった。子供達と一緒に風呂に入る。1日の疲れが一気にぶっ飛んだ。麗子は料理が苦手だ。その為にどうしても出来合いのお惣菜や冷凍食品が中心の食事になる。子供達に出来るだけ手作りの料理を食べさせてやろうと思い、休みには俺も麗子と一緒にキッチンに立った。料理本を見ながら色々作る。ハンバーグ、カレー、オムレツ。子供達が嬉しそうに食べている。佐倉家は幸せ色に染まっていた。料理作りに填まった俺。気付くと休日の料理作りは俺1人でするようになっていた。料理に関して苦手意識が強い麗子。料理作りを好きになれないみたいだった。家族旅行、海水浴そして運動会などの家族のイベント。大きいものから小さいもの迄色々行った。さざ波に揺られながらゆっくり進んでいく佐倉家の船。ところが巨濤に襲われた。それは麗子の不倫。相手はご近所の松本さんだった。或る土曜の午後、奥さんが怒鳴り込んでくる。かなりの修羅場を見た。狼狽え取り乱す麗子、激昂する松本家の奥さん。怒りを抑えて間に入る。すったもんだしたけどどうにか丸く治めた。梅雨空が広がっている。重たい雲が空を覆っていた。
曇天 (4)
「もうこれっきりにしろよ」
「ハイ済みません……でも」
俺の低い声に麗子が応える。鋭い視線を飛ばしてきた。
「でも何だ」
「いえ……」
俺の言葉に麗子は応える。麗子は唇を噛んでいた。麗子に目を遣ると済まなそうな表情を浮かべている。俺は許した。何事も無かったようにまた時間が流れ始める。俺が38歳の時念願の家を建てた。何時ものように時が流れる。穏やかで幸せな生活が2年ほど続いた。だがまた巨濤に襲われる。麗子2度目の不倫だった。その日の俺は5軒のフランチャイズの臨店。その中には自宅近所の店舗も有ったので空いた時間にチョッと帰宅する。玄関には俺の知らない男物の靴があった。リビングには誰もいない。階段を上る。寝室からは女の喘ぎ声が聞こえてきた。ドアを開ける。絡み合ってる男と女が居た。女は麗子。俺と視線が交差した。
「あっあなた……」
麗子が声を上げる。明らかに動揺していた。
「どういうことだ」
俺が低い声を上げた。男と視線が交差する。動転の色が隠せなかった。情けない目をしている。男が顔を背けた。
「出ていけ」
俺が男に向かって唸る。ごそごそと男が身仕度しようとしていた。
「ちんたらしてんじゃねぇ。とっとと失せろ」
慌てふためいてる男に向かい怒鳴る。男の股間目掛けて膝蹴りを入れた。男は股間を押さえ鈍い呻き声を上げる。身仕度が終らぬまま逃げていった。俺は今まで激高した事は無い。俺の豹変振りを見て麗子は顔を引きつらせていた。
「話は夜ゆっくり聞くからな」
俺は言い切った。俺は踵を返し寝室を出る。ドアノブに手が掛かった。
「あっあなた……」
麗子のか細い声が俺の背中に突き刺さった。夜7時俺は帰宅する。麗子は居なかった。
「母さんは」
俺が訊ねた。
「判らない」
沙織が寂しげに声にした。
「父さんお腹空いた」
賢也が不満そうな声を上げる。食事の用意もせずに出かけたらしい。俺の怒りが沸々と込み上げてきた。冷蔵庫を開けてみる。レトルトカレーと冷凍食品、後は残り野菜が有るだけだった。ご飯を焚くにも時間が掛かる。結局この日の夕食は店屋物を取った。美味そうに食べる沙織と賢也。子供達の笑顔が微かに今の状況を救ってくれた。ガシャリと玄関ドアが開く音がする。リビングに麗子が入って来た。時間は10時過ぎている。麗子は酒臭い息をしていた。
「お前達、お部屋に行きなさい」
俺は子供達に向かって声にする。尋常でない雰囲気が漂っていた。それを察したのか子供達は首を縦に振る。自室へと入った。
「何処行ってたんだ。飯の用意もしないでよぉ。子供達不敏だろうが……」
「済みません。夕飯の準備しないとって思ったけど何も手に付かなくて、ふらふら彷徨ってたら吸い込まれるように、小さな小料理屋に入ってました。本当に済みませんでした」
俺の怒鳴りに麗子が言葉を返してくる。麗子の表情は後ろめたさからなのかやけに重たかった。
「まあいい。座れ」
俺はぽつりと声にする。麗子は椅子に座ると俺を見てきた。
「2回目だよな」
「ハイ、厚かましいのはわかってるけど許してください」
俺の声に麗子は応える。俺は黙殺した。
どれ位時間が経っただろう。麗子が重たい口を開いた。
「お願いします。もうしませんから許してください」
「あいつは誰なんだ」
麗子の言葉に俺は声を返した。
「陶芸教室の先生です」
麗子がぽつりと声にした。
「陶芸教室……辞めるんだろうな」
「ハ、ハイ」
「これが最後だからな」
「ハ、ハイ」
麗子の顔が僅かに緩んだ。濁った目をしている。但しその眼光からは謝罪の意思を読み取れなかった。浸水を逃れた佐倉家の船。またゆっくりと進み始めた。生々しい浮気現場。それを見た俺、見られた麗子。蟠りが残った。必要以上の会話は無くなる。夜の営みはあれ以来皆無。俺は麗子を抱く気にならなかった。今迄麗子は欲してくると露骨に信号を送ってくる。だが今はその信号を送ってこない。結局俺と麗子は寝室を別にした。セックレス夫婦。あの麗子が我慢出来る筈はない事は判っている。また何時か不倫に走るだろうと言う思いが脳裏を過った。離婚と言う嫌な2文字か頭に浮かんでくる。簡単に離婚と言っても問題は山積みだ。沙織はまだ15歳、多感な思春期。女親が居た方がいい気もする。離婚するにしても少なくても後3年、沙織が18歳になる迄は待とうと思った。捩れた空気に包まれながらも半年程平穏に過ぎる。そんな時突如麗子は派遣社員として働くと言いだした。俺は反対する。それを無視するかのように麗子は働きだした。給与は自分の為にだけ使っている。家や子供の事に使うことは無かった。派手になる洋服、鼻を付く香水の香り。帰りも遅く飲んで帰ってくる日も多いかった。そして時々外泊する。家事も殆どしなくなった。休みになると必ずと行って出掛ける。其の時の麗子の顔付きはやけに嬉しそうに見えた。麗子から不倫の匂いがする。俺は探偵を頼んだ。

絶倫大魔王

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[ 2017/05/07 18:14 ] 俺の船 | TB(-) | CM(0)

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