2ntブログ















色に染まる①

 この街に住み始めてもう10年経った。Book's FINDという古本屋を営んでいる。場所が悪いのか客はあまり来ない。ネット販売が中心なのでどうにか商売なっている。都心へ移転。考えた事もあった。だけど俺にはこの街を離れたくない理由がある。馴染みの串焼き屋”雄”の大将、来生雄真さんの存在だ。季節は冬。冷たい風が肌を刺す。
夜 (8)
俺は”雄”の暖簾を潜った。
「ヘイ…らっしゃい」
元気で爽やかな笑顔を向けてくれる。カウンターと4人掛けのテーブルが2つだけの小さな店だ。オープンしたのは2年前。それ以来ちょくちょく利用している。学生時代柔道をやっていた大将。そのガタイは逞しい。作務衣の上からでもそれが伺える。背丈は低い方だ。俺と同じ位だから165㌢前後だと思う。坊主頭に浅黒い顔、口と顎には髭を生やしている。年齢は40歳の筈だ。俺と同じ匂いを感じる。時折直向きな目をくれた。良く大将の事を思い浮べる。今迄何人かの野郎を好きになった。でも何かが違う。切ない。胸が張り裂けそうになる。ベッドに潜り込み目を瞑った。大将の面影が頭の中を占領する。抱かれたい。抱きたい。俺に挿れたらどんな突き方をするんだろう。俺に掘られたらどんな哭き方するんだろう。思っただけで濡れてくる。ちんぽを握り妄想を膨らました。グイッグイッグイッとちんぽが膨らんでくる。
「あぁぁ大将そんなにされたら………」
ゴシゴシちんぽを扱く。我慢汁が溢れてくる。金玉の奥熱くなってきた。
「あぁぁ、あぁ、た、大将あぁ大将…いっ射く、射ぐ」
ドヒュッドヒュッドヒュッ…ビュビュッビュビュッビュビュッ…ビュッビュッビュッ白濁汁を吹き上げた。宙を舞う男の汁。放つと当然感はある。だけど何故か空しい。そんなある日俺の店に大将が見えた。
「三枝さんの店って此処だったんすね」爽やかな笑顔を浮かべて大将が店に入ってきた。
「あっ…大将」
「ブラブラ歩いてたらBook's FINDって看板有ったから覗いてみたんすよ」
「あ、そうだったんすか?」
「ちょっと見させて貰うな」
「あっ…どうぞ」
カウンター越しに大将を見る。えっ……まさか。俺は動いた。作業する振りして本棚の陰から垣間見る。大将が見ていた物。それはゲイ雑誌だった。心音が高鳴る。俺の感は当たったの
か……ただもし大将がそうだとしてもやれるかどうかは判らない。変な焦りだけが襲ってきた。
「じゃぁこれお願いします」
大将が選んだ本は3冊。
1冊は刺青の写真集、それにゲイ雑誌が2冊。
「ありがとうございます」俺は平静を装って紙袋を渡した。
大将も俺と同じ。男が好きな奴。でも必ずしも俺と出来る訳ではないのは判っている。でも俺は大将とやりたい。大将への思いが今まで以上に強くなった。
[ 2015/02/07 19:53 ] 色に染まる | TB(-) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する