2ntブログ















煌く星①

 俺は海老沼 篤弘、32歳の髭坊主。
髭 (8)
身長172㌢のガチムチ体型で学生時代は空手に励んでた。住んでるのは私鉄沿線の駅。商店街からちょっと外れた所で、凱遊舎と言うデザイン事務所を営んでいる。陽春に開設した。事務所と言っても3LDKの戸建住宅。両親が残してくれた家をリフォームした。1階にある結構広いリビング。打ち合わせにも使ってるので、直接外から入れるようにドアも付いてる。4箇月突っ走ってきた。お陰様で軌道に乗っている。主な販路はネットそして前職からの常連。1人でやってるので、面談での相談は完全予約制にしている。水曜と日曜。今月から定休日を設けた。主力商材はショップカード、ポスターそしてチラシ。リビングにお気に入りの作品を展示陳列している。家の脇に有るカーポート。俺のボロ車が停まってる。リビングに隣接している作業スペース。腰高からはガラスななっている。いつでもリビングが見えるように配慮した。防犯の為、リビングのドアは施錠してるし、防犯カメラで監視している。うちの長男佐助、豆柴のオス。警戒心が強い。2階の一部屋を与えてる。近所に住む馬渕さんは、飲食店チェーンのオーナー。付き合いは長い。結構な量のショップカードを注文してくれてる。俺が前勤めてたデザイン会社の先輩の桐田 朋美さん。2年前寿退社したが今近所に住んでいる。36歳の朋美さんは姉御肌。俺は朋姉ぇと呼び、慕っている。時々連絡してるが、やはり心強い。俺の性向はゲイ。馬渕さんと朋姉ぇも知っている。俺の理解者達だ。主に扱ってる商材はショップカード、ポスター、フォトカード等だ。この前作製した商店街合同イベントのポスター。結構評判が良かった。今、凱遊舎のリビングでテーブルを囲んでいる。メンバーは馬渕さんご夫妻、俺、萌姉ぇ。馬渕さんが今度新たな店をオープンする。ポスター、ショップカードの打ち合わせが終わった。ランチをしながら新メニューのヒントを得るお食事会をしている。料理を作ったのは俺。この手のお食事会は時々している。馬渕さんが言う。俺の料理は視点が違うと……ドアが空いた。
「ごめんください」
女性の声。樫山家の奥さんの杏奈さんだ。傍らでご飯食べてた佐助が吠える。怯えてる佐助。逃げるように犬ドアを潜った。4歳になる彩乃ちゃんを連れている。あまり関わりたくない。色んな所で悪い噂を聞いた。彩乃ちゃんが幼稚園を退園になったのは奥さんの窃盗癖だと言う。俺は立ち上がった。
「いらっしゃいませ。今、打ち合わせ中なんでご案内とかできませんが……」
「打ち合わせってランチですよね。美味しそうですね」
俺の声だけに杏奈さんが応える。ニコニコしながら上がり込んできた。
「まだ昼ご飯食べてないんですよ。いいなぁ」
杏奈さんが声にする。俺は経緯を丁寧に説明した。
「じゃぁ私達も食べて上げる」
杏奈さんが声を上げる。その時朋姉ぇがキレた。
「あんた、何しにきたんだ。物乞いか。それに人数分しかねぇんだよ」
朋姉ぇが怒気が含まれた声で言い張る。今度は馬渕さんがキレた。
「子供可愛そうだろ。情けねぇ」
馬渕さんが声を上げる。俺は彩乃ちゃんの脇にしゃがんだ。
「ママはお昼ご飯作ってくれないの?」
「パパが居る時は作るけど、ママのお洋服やバック買えないからってお昼ご飯は何処かで頂くの」
俺の問いに彩乃ちゃんが応える。杏奈さんが発狂した。喚く。喚く。何を言ってるのか分からなかったが……
「この人でなし、ケチ」
杏奈さんが声を上げる。傍らに置いてたクッキーを籠ごと持って出て行った。呆れ切った俺達。顔を見合わせる。プッと吹いた。穏やかな時が流れる。食事会が終わり、朋姉ぇと馬渕さん夫妻は凱
遊舎を後にした。温和な朝を迎える。家の回りを掃除してると勇猛なオトコと視線が交差した。
「樫山 杏奈の夫ですが昨日ランチに招待されたけど、自分達の分は無かったと激怒してるんですが……」
「分かりました。ご覧頂きたいものが有りますのでお入り下さい」
旦那さんの声に俺が応える。俺はリビングに通した。テーブルを挟み、向かい合って座る。防犯カメラの映像を見せた。旦那さんの顔をが青ざめる。旦那さんが土下座した。
「やはりそんな事でしたか。済みませんでした」
旦那さんが声を上げる。額が床についていた。
「頭上げてください。旦那さんが悪い訳じゃ無いですから……」
俺って言う。旦那さんが頭を上げる。椅子に座り直した。
「やはりこんな事かと思いました。弁償させてください」
「お気になさらないでください」
大人の声に俺が応える。旦那さんの名前は樫山 崇哉。34歳の消防士だと言う。その時佐助が駆け寄ってきた。崇哉さんの足元に座っている。クーンクーンと甘い鳴き声を上げた。
「佐助って言います」
俺が声にする。驚愕した俺。佐助は初めての人には近寄らない。朋姉ぇと馬渕夫妻にも懐くのに時間が掛かった。
「佐助、おいで」
崇哉さんが声をにする。佐助が崇哉さんに抱かれた。
「えっどうしたんですか」
「こいつは、警戒心が強いらしくて初めての人には近寄らないんです。抱かれるなんて有り得なかったんですよ」
崇哉さんの声に俺は応える。崇哉さんと佐助がじゃれ合っていた。連絡先を交換する。崇哉さんは帰った。消防士の崇哉さん。背丈は俺と然程変わらない。日に焼けた肌。顔貌は男臭い。青々とした髭剃り後、頭髪は坊主。いけない事を考える。俺は濡れてきた。翌日の水曜日。スマホがメール着信を知らせる。崇哉さんからだった。
”これから行って良い?”
”良いよ。休みで閉まってるからインターホン鳴らして”
俺は返信した。時刻は2時に迫っている。インターホンが鳴った。ドアを開ける。崇哉さんが立っていた。
「どうぞ」
「お邪魔します」
俺の声に崇哉さんが応える。手には2つの紙袋を持っていた。
「珈琲でいいですか」
「あっ済みません。ハイ、いいです」
俺の声に崇哉さんが応える。珈琲を淹れた。今ソファーに並んで座っている。至福感を覚えた。
「アッこれ」
崇哉さんが声をする。2つの紙袋を渡された。袋の中身は名店のクッキーと高価そうな籠。俺は恐縮した。
「返って済みませんね」
「そんな事ないっすよ」
俺の声に崇哉さんが応える。他愛ない会話を交わした。小一時間ほど経過する。崇哉さんがポツリポツリと語り始めた。食事は冷凍食品とかレトルトだと言う。酷い時はカップ麺。手料理は食った事が無いと聞いた。出会いは友達からからの紹介。杏奈さんの猛アプローチで付き合い始めたと言う。彩乃ちゃんは杏奈さんの連れ子。結婚1年で夫婦の営みはレスだとと聞いた。俺の脳裏を不貞の二文字が過る。崇哉さんは単なるATMだと思った。
「もしかしたら浮気してますよ」
「やっぱり、そう思いますか」
俺の声に崇哉さんが応える。俺は頷いた。
「良かったら相談してみてください」
俺が声にする。俺は弁護士の連絡先を渡した。
「ありがとうございます。電話してみるっすね」
「ああ」
崇哉さんの声に俺は応える。崇哉さんは俺んちを後にした。季節が巡る。初夏を迎えた。風の匂いが変わっている。今日新車が納車になった。佐助を抱きながら、俺は新車を見ている。杏奈さんが寄ってきた。
「あっ新車買ったんですか」
杏奈さんの声。佐助が怯えてる。俺は無視した。
「私が借りて上げますよ」
「何で上からもの言えるんだ。お断りします」
杏奈さんの声に俺は言い張った。杏奈さんがギャーギャー何か喚いてる。俺達は中に入った。何時ものように時が流れる。杏奈さんから電話があった。ママ名刺の事で相談したいと……嫌な予感がしたが、会う事にした。今テーブルを挟み、杏奈さんと向かい合って座っている。サンプルを見せた。
「へー色んなのが有るんですね」
「そうですね。ただ内はお値段少し高いんでネットで探してみた方が良いですよ」
杏奈さんの声に俺が応える。出来ればあまり関わりたく無かった。俺のスマホが電話着信を知らせる。俺は立ち上がった。
「ちょっと失礼します」
俺が言う。俺は作業場に入った。
「済みません。用事思い出したんでまた来ます」
杏奈さんが声にする。俺はOKサインを出した。西の空に陽が傾き始める。杏奈さんが再度訪れた。
「一緒に食べましょう」
杏奈さんが言う。バックから包装してる小さなチョコを2つ出した。
「紅茶淹れますね」
俺が声にする。俺はキッチンに入った。今テーブルを挟み、向かい合って座っている。杏奈さんが視線を打つけてきた。
「あっ済みません。ネットで調べたら結構安いんでそっちにします」
「そうですか。分かりました」
杏奈さんの声に俺は応える。杏奈さんは凱遊舎を後にした。翌日は水曜日。凱遊舎の休日を迎える。午後から佐助を連れて、近くに有るドックランに行った。走り回る佐助。キュンキュンキュンと
可愛い鳴き声を上げている。結局夕刻まで遊ばせた。帰路に就く俺と佐助。家が近づいてくる。俺は唖然とした。まだ一度も乗ってない新車が傷付いている。直ぐ様警察に通報した。防犯カメラの映像。パソコンとUSBメモリーに取り込んだ。犯人は樫山 杏奈。こっそり鍵を持ち出し、また返しに着ている。合鍵でも作ったのか……俺は思う。崇哉さんからこの部屋に防犯カメラが有るの聞いていなかったのかと……10分程経過。パトカーが停まった。野次馬達が集まってくる。警察官が中に入ってきた。
「防犯カメラの映像です」
俺が言う。現場検証、事情聴取。物々しい空気に包まれた。
「被害届出されますか?」
「ハイ、勿論です」
警察官の問いに俺は応える。パトカーが動き始めた。被害届を提出する。帰りはパトカーで送って貰った。樫山 杏奈、妙齢の女性で母でもある。クッキーにランチそして車。怒りよりも悲壮感を覚える。窓を開けると、初夏の風がやけに冷たく感じた。

MOZ

MOZ


涙の雫 (S)

涙の雫 (S)


発情ちょい悪OB×敏感ボディじらし狂い ガテンマッチョVSちょ…

発情ちょい悪OB×敏感ボディじらし狂い ガテンマッチョVSちょい悪リーマン


Gweblog - ゲイウェブログ -
エログ-(エログランキング)にほんブログ村 大人の生活ブログ 恋愛小説(愛欲)へ
にほんブログ村
[ 2018/11/29 20:08 ] 煌く星 | TB(-) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する