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泣き虫龍哉⑥

 龍哉と付き合い始めて2箇月。季節は夏から秋をを迎えた。
秋 (5)
今俺達は一緒に暮らしている。龍哉の友達はパソコン。ストレス発散は料理だったと言う。同棲を機に龍哉のバイトを辞めさせた。今龍哉は在宅でデータの仕事をしている。これが当たった。正確で早い仕事が会社に認められたらしい。今度は率のいいデザイン系の仕事も貰えると言っている。龍哉の才能が開花し始めた。人に合わなくて済む仕事。龍哉の性格には合っているみたいだ。俺が帰宅すると犬っころのように甘えてくる。チョッと遅くなると寂しそうな表情を浮かべる。そんな龍哉を愛おしく思った。今充実した毎日を送っている。美味い料理を食い、夜は毎日のように交尾した。休みの日には一緒に出掛ける。温泉、秋祭り、映画。今でも龍哉は人前ではオドオドしている。だけど俺と居るとありのままの自分を素直に晒した。季節は流れ今は冬。激感の中俺達は温もりを感じ合っている。龍哉の仕事も順調にオファーが入り収入も増えた。
「龍哉、頑張ってるな」
「うん、兄貴のお蔭だよ」
「お前に才能が有ったからだぜ。でも断ってる仕事のあんだろ」
「うん、これ位で充分だからさ。これ以上受けたら兄貴との生活に支障を来すよ。仕事も大事だけど兄貴はもっと大事だからな」
俺はこいつを生涯守っていきたいと思ってる。龍哉は料理も上手い。掃除洗濯…家事も完璧に熟す。セックスの相性もいいし勿論外見はタイプだ。そして付き合い始めて判った事。心が途轍もなく綺麗なことだ。このまま同棲していてもいい。でも俺はこいつを預かりたいと思ってる。龍哉はどうなんだ……一戦を交え今リビングのソファーで焼酎を飲みながらまったりとした時間を過ごしている。龍哉と視線が絡み合った。
「なぁ龍哉、俺と結婚しねぇか」思い切って俺は切り出した。
「えっ……お、俺男だぞ」
「判ってる。俺はお前が好きなんだ。だからこれからもずっと一緒に居たい。法の加護を受けられるように入籍したいんだ。嫌か……」
「嬉しいっす……でも」
龍哉が困惑の表情を受けべている。
「お、俺、親にカミングアウトしてねぇし、兄貴の事は大好きっすけど……」
「そうかぁ…そうだよな。判った忘れてくれ」
龍哉をぎゅっと抱きしめた。俺は既にカミングアウトを済ましている。ゲイの中でも少数派だと思う。
性的嗜好が男というだけのことだけど嫌悪感を持つ人がいるのも事実だ。龍哉には龍哉の事情がある。龍哉は俺にとって大切な奴だ。このままでいい。今でも充分幸せなのだから……無謀な事を言ってしまった。ごめんな龍哉。俺は反省した。2月14日、バレンタインディ。飯を食って一緒にテレビを見ていた。
「兄貴、ハイ…俺から?」
「えっ……」
綺麗にラッピングされた手作りチョコを渡された。メッセージが付いている。”結婚してください。龍哉”
「龍哉……」
龍哉が真っ直ぐに俺を見てくる。瞳の奥から一途な光が輝いていた。
「えっ……」
「俺、兄貴と結婚する。鷹丸龍哉になりたいんだ」
俺は龍哉をギュッと抱きしめた。
「幸せにするからな」
「うん、俺一生兄貴に付いていく」
龍哉の背中に回した腕に力が籠った。男の熱が伝ってくる。優しく唇が触れ合った。
[ 2015/02/22 20:43 ] 泣き虫龍哉 | TB(-) | CM(0)

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