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逮捕する⑤

 翌朝カーテンの隙間から射し込む陽光で目が覚める。
春の陽光 (2)
隣に居る筈の奏汰がいなかった。リビングに行くと奏汰がキッチンに立っている。
「おはよう」
「あっおはようっす。勝手にキッチン借りてるよ」
「あぁ…構わねえよ」
厚切りトーストと野菜サラダ、ベーコンエッグのベタな朝食。でも俺には途轍もなく美味く感じた。俺達は初めて一緒の朝を迎えた。食後の珈琲を一緒に飲んでいる。ほろ苦い味が心を癒してくれた。2人でバルコニーに出る。まだ少し冷たい風が俺達を包んでくれた。何時も見慣れている風景だけど何気に新鮮に感じる。部屋に戻るとカーテンを引いた。
「奏汰…」
「何…」
「愛してるよ」
「俺も」
奏汰を抱き寄せる。唇を交わした。何時しか濃厚なキスになった。奏汰の舌が深く挿いってくる。俺はその舌に舌を絡めた。カラダが宙に浮きそうになる。そっと唇が放れた。
「そろそろ出掛けるぜ」
「うん」
玄関で其々靴を履いた。
「小父貴ぃキスしてくれる」
「あぁ」
今度は軽めのキッス。俺達は一緒に出掛けた。
「俺明日非番なんだ。来ていいかな」
「明日か…俺も休みだから朝から来いよ」
歩きながら奏汰が俺に目を呉れた。
「どうした」
「考えてたら勃ってきた」
「バカやろ」
俺はコツンと奏汰のオデコを小突いた。あれから1箇月経つ。俺の公休は奏汰に合わせてる。出来る限り時間を共有したかった。バルコニーには俺と奏汰の六尺褌が仲睦まじく風に靡いている。
桜 (8)
季節は本格的な春を迎えた。SNSからメール。”退会処理が終わりました。またのご参加をお待ちしております”俺達はもう必要ないからSNSを退会した。
[ 2015/03/01 17:01 ] 逮捕する | TB(-) | CM(0)

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