季節は巡る。また夏を迎えた。夕立で塗れた街路樹がひとりでに輝いている。朗報が入ってきた。倒産した元受会社が小さいけど新会社を設立する。仕事も発注してくれると言われた。だが仕事量は以前のようではないと覚悟している。俺はまた大工1本でやっていこうと決意した。今リビングのテーブルを挟み篤斗と向かい合って座っている。
「良かったな将仁さん」
「あぁこれでソープも辞めれるしな。お前さ仕事とはいえ俺が他の男とやるの嫌だったろ」
「うん、実はね。判ってるけど考えるとちょっとつらいこともあったよ」
「ごめんな」
「誤ることないっすよ。俺が好きになったのがソープのホストだっただけのことだからさ」
俺は前々から考えていたことがあった。篤斗と視線が交差する。俺は切り出した。
「なぁ篤斗。結婚しないか」
「えっ…俺男だよ」
「判ってる。養子縁組するんだよ」
「えっ……」
「アパート引き払ってここに越してこいよ」
篤斗の顔が一瞬輝いた。
「うん、ちょっとだけ考えてみるよ」
1週間後時刻は夜7時を回った。今日篤斗は返事を持ってくる。インターホンが鳴った。
「篤斗っす」
「おお今開けるからな」
ドアを開けた。神妙な面持ちをした篤斗が立っている。リビングに通した。
「冷たいお茶でいいか」
「あっハイ…いいです」
冷たいお茶を出すと篤斗の向かい側に座った。篤斗と視線が交差する。篤斗はお茶を一口飲んだ。真っ直ぐに俺を見てくる。瞳の奥から眩い光が見えた。
「将仁さん、俺…金川篤斗から氏家篤斗になるっす」
「そうか良く決心してくれたな」
「うん」
俺は立ち上がる。篤斗の隣に座った。
「愛してる」
「俺も愛してる」
唇を寄せていく。静かに触れ合った。薄く開いた所で舌を挿れていく。篤斗の舌が絡んでくる。背中に回した腕に力が入った。カラダが蕩けそうになる。また舌を絡めた。篤斗とソープで再会して1年が過ぎようとしている。俺は篤斗から勇気と至福そして快感を貰った。これから俺達は連れ合いであり親子になる。年齢差30歳の俺と篤斗。残りの人生全てをこいつの為に使いたい。俺が持ってる大工としての技術を少しでも伝授していければと思った。降るような夏の光線がビルを照らしている。俺達は入籍の手続きを今済ませた。
「緊張してたみたいだな」
「うん、ちょびっと……俺さ今日から氏家篤斗になったんだな」
「あぁそうだ」
「あのさ」
「何だ」
「父ちゃんって呼んでいっすか」
「あぁいいぜ」
「やった~」
篤斗に目を遣る。爽やかな笑顔を浮かべていた。
蒸し暑い夏の夜。外ははしとしとと雨が降っている。俺のソープ最終日がやってきた。篤斗と此処で再会した日を惟る。あの日も蒸し暑く雨が降っていた。最後の客を向かい入れる。メールを確認した。オイル+プレイコースでお客様がアナルプレイ、タチ。名前はAとだけ記されている。お茶とおしぼりトレーに乗せて控え室に入った。
「あっ篤斗……」
「父ちゃん、最後の客は俺がなろうと思ってたんだ」
「お前な。いつでも出来るだろ」
「今日此処でなきゃ駄目なんだ」
「えっ何訳の判らないこと言ってんだ」
「今日は俺が父ちゃんにサービスするんだからな。早くいこ」
「仕方ねぇ奴だな」
篤斗と視線がぶつかる。俺は苦笑した。プレイルームに入る。俺達は全裸になった。
「お客様いいガタイっすね。俺の好きな人に似てますよ」
「何バカなこと言ってるんだ」
篤斗が俺のカラダにシャワーを当てる。スケベ椅子に座らせられた。ソープが泡立てられる。胸、腹、下肢。素手で俺のカラダが洗われ始める。ちんぽに手が這ってきた。篤斗のちんぽがグイッグイッグイッと立ち上がる。一気に天を衝いた。
「勃ってるぞ」
「へへ」
篤斗はちょっとはにかむと俺の背後に回る。首筋、背中が洗われる。勃起ちんぽを擦り付けてきた。スケベ椅子に下から篤斗の腕が入ってくる。弄るようにちんぽを洗ってきた。
「へへ、勃ってきたぜ」
マットの上に仰向けになる。篤斗が覆いかぶさってきた。
「気持ちいい。父ちゃんのちんぽ」
篤斗がちんぽを擦り付けてきた。顔が近づいてくる。唇を奪われた。舌がこじ入ってくる。口の中をくまなく撫で回された。
「今度はローションプレイっすね」
にっこり微笑む篤斗。何気に俺の心が綻んだ。あぶくがシャワーで流される。ローションを手に取る篤斗。カラダに塗られ始める。ちんぽと金玉にもまぶされた。篤斗が俺の上に重なってくる。カラダが前後に動いた。篤斗の勃起ちんぽが俺のカラダを滑る。篤斗の目が火照ってきた。
「つ、次はベッドでサービスするっすね」
声が少し上ずっていた。シャワーでカラダを洗われる。俺達は隣の部屋に移動した。ベッドの上に並んで座る。俺は押し倒された。篤斗が俺の上に重なる。首筋に舌が這ってきた。乳首が指で撫でられる。
今度は指の甲で掻き上げられた。舌先が乳首の上で転がる。俺のカラダが微動した。篤斗のカラダが下にずれる。ちんぽに舌が這ってくる。亀頭の溝が舌先で擽られた。
「あぁぁあっ…んぁ」
金玉が握られる。篤斗の指先が煙草の灰を落とすように小突いてきた。亀頭が唇で挟まれる。ゆっくりと呑みこまれ始めた。喉壁がぎゅうっと締まってくる。舌がちんぽに絡んできた。
「はぁ…んぁ気持ちいい」
「もっと気持ち良くしてやるからな」
篤斗がローションを手に取った。自分のケツ穴に塗り込めている。俺の上に跨った。後手に俺のちんぽを掴む。自分のケツ穴に宛がった。篤斗と視線が交差する。カラダを沈めてきた。
「はぁ…いぃ」
ズボッズボッと俺のちんぽが入っていく。一気に根元まで呑み込まれた。篤斗の腰が上下に抽動する。俺の腰が突き上げた。
「あぁぁぁぁぁ気持ちいい…堪んねぇ」
両手を伸ばして篤斗の乳首に指を這わせる。篤斗のカラダがブルブル震えた。篤斗が仰向けになる。今度は俺が上になった。俺の腰が突動する。激しく篤斗の内壁を擦ってやった。
「あぁぁぁぁぁいぃ…気持ちいい」
「俺もいいぜ。おまんこもっと絡めてこいよ」
俺の腰が列動する。パンパンパン…パンパンパン…パンパンパン筋肉同士がぶつかりあった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁいいよぉ…おまんこ気持ちいい」
俺の腰が大胆に動く。篤斗のカラダが左右に捩れる。鍛えられた大胸筋がピクピク震えていた。
「あぁぁぁぁぁ当たるぅ…んぁぁやべぇ」
篤斗が自分のちんぽを扱いている。尖端からは我慢汁が溢れていた。
「父ちゃん、やべぇ射きそうだ」
「俺もやべぇぜ。一緒に射かすか」
篤斗が頷いた。ガシガシ腰を突動させる。ちんぽを引き抜いた。篤斗のちんぽをと重ねる。俺はゴシゴシ扱いた。クチュックチュックチュッと卑猥な音が流れる。篤斗の顔が恍惚としていた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ射く…んぁぁ射くうぅぅ射く」
「んぉぉぉぉぉ射ぐ、あぁぁぁぁぁ射く…はぅぅ射く」
ドビュッドビュッドビュッ…ビュビュッビュビュッビュビュッ…ビュッビュッビュッ
ドビュッドビュッドビュッ…ビュッビュッビュッ…ビュビュッビュビュッビュビュッ
2本のちんぽから乳白色の男の粘液が飛び出してくる。その汁は弧を描き篤斗のカラダの上に舞い降りた。篤斗の上に覆いかぶさる。自然に唇が触れ合った。
「バカやろ。変なサプライズしやがってよ。でも嬉しかったぜ」
「父ちゃん、お疲れ様でした」
またキスをした。篤斗が着衣を整える。俺も
褌を締め直した。今控え室でお茶を呑んでいる。篤斗の爽やかな笑顔を浮かべた。
「篤斗、もう終わりだから外で待ってろよ」
「うん、判った」
程なくして俺はソープを出た。篤斗が走り寄ってくる。雨が上がり満天の星空が広がっていた。俺は振り向く。ソープに向かって深々と頭を下げた。
「父ちゃんどうしたの」
「いや、此処で十分に稼がせて貰ったし、お前とも深い中になれたんだからな」
「そっかーじゃぁ俺も……」
篤斗がソープに向かって頭を下げた。
「帰るか」
「今日、俺んち泊まりに来いよ」
「えっいいけど」
「やったー早く帰ろう。2回戦やらなきゃな」
「ホント淫乱なんだな。そんなとこも好きだけどさ」
生ぬるい夏の夜風がやけに清々しく感じた。
今日は6回目の
褌・雄・姦。メンバーは変わっていない。同じ顔ぶれだ。お互い気心も知っている。前回の
褌・雄・姦の時俺のバイトの事とか篤斗との事も話した。少し驚いていたのを覚えている。バイトの事も何の偏見も持っていないみたいだ。みんな好い仲間には違いない。午後1時
褌・雄・姦が始まる。4時間の間10人の男達がウケの颯汰をし続けた。午後5時
褌・雄・姦の幕が下りる。居酒屋の個室で今懇親会が始まった。
「みんなビール注いだか」
主催者の浩志が声をあげた。
「おぉ……」
男達の野太い声が上がった。
「大疲れ様」
浩志の声をを合図にグラスが触れ合った。酒を飲む。料理を食べ始めた。あちこちで歓談が始まる。30分程時間が経過した。
「この場を借りてみんなに報告があるんだ」
俺達は立ち上がった。
「実は俺たち結婚した。もう入籍は済ませてある」
俺はみんなを見渡した。みんなが驚きの色を示している。言葉を続けた。
「バイトしていたソープもこの前辞めた。幸い倒産した元受会社が、ちっちゃいけど今度新会社を立ち上げる。仕事も回して貰うことが決まった。まぁ以前のようにはいかんとは思ってるけどな。これからは昔みたい大工1本でやっていくよ。仕事とはいえ俺が他の男とやるのは忍びないからな」
「そうか…おめでとう」
浩志が手を叩いた。今度は颯汰が手を叩く。いつの間にか拍手の輪ができていた。
「もう1回乾杯しようぜ」
「あっその前に見て貰いたいことあるんだ。篤斗あれ出せよ」
「うん」
篤斗が紙包みを取り出すと俺に渡した。
「これから指輪の交換をする。みんなに立会人になって欲しいんだ」
男達の首が縦に振られた。ケースに収められた2つの指輪。刻印は”blijvend 永久に”と入っている。そのひとつを取り出した。篤斗の左手を支える。薬指に指輪を嵌めてやった。今度は篤斗が俺の左薬指に嵌める。少し震えていた。俺は篤斗を抱き寄せる。そっと唇を合わせた。”おめでとう”男達の野太い声。途轍もなく優しく響いた。篤斗の目が涙で溢れている。一滴頬を伝った。今度は嗚咽する。涙がぼろぼろ零れてきた。
「篤斗…嬉しいんだな」
浩志がぽつりと声にする。
「うん、俺独りぼっちだったから……家族出来て嬉しいっす」
篤斗が涙声で答えた。篤斗と視線が交差する。目で訴えてきた。
「いいんだな」
「うん」
「こいつな。生まれた時父親居なかったんだよ。そして高校1年の時母親が他界した。遠い親戚はあったらしいけどな。引き取られるのを嫌だったみたいなんだ。こいつは高校を中退。大工になった。そうだよな」
「うん」
「篤斗…そうだったのか。これからは俺達をお前の兄貴とか親父と思っていいんだからな。依存があるやつ居るか」
部屋が静寂する。みんなが篤斗のことを優しい目で見ていた。
「ビール注げよ」
颯汰の踊るような声を上げる。みんながグラスにビールを注ぎ合った。
「マサ兄ぃ、篤斗おめでとう」
浩志が声を張り上げる。みんなのグラスがカチンカチンと触れ合った。
「篤斗、マサ兄ぃの何処が好きなんだ」
浩志が優しく篤斗に声を掛けた。
「全部っすよ。顔、刺青、カラダデッカイちんぽ。それに料理も上手だしHも旨いんだ。でも一番は優しいところっすよ」
「そう言えばマサ兄ぃも篤斗もタチだろ。ケツ使わねぇのか」
「使うっすよ。最近は俺が掘られること多いっすね。な、何回か
トコロテンしちまった」
篤斗の顔が紅潮っしている。耳は真っ赤に染まっていた。
「
トコロテンかよ。凄ぇな。マサ兄ぃが掘られることあんのか」
「あるっすよ。結構可愛い声出すんだよ。ねっ父ちゃん」
「ばっバカやろ。しゃべり過ぎだぞ」
「だってみんな俺の家族だろ」
「そりゃそうだけどな」
篤斗と視線がぶつかる。はにかんだ顔付きが無茶苦茶可愛く見えた。浩志が指折り数えている。にっと微笑んだ。
「なぁ…1回
褌・雄・姦お休みしてみんなで盛り合わねぇか。ウケ出来る奴5人いるしな」
篤斗と視線がぶつかる。俺が頷くとあつとも首を縦に振った。
「俺達はいいぜ」
「他の奴らはどうなんだ」
男達の首が縦に振られた。
「じゃぁ次は、タチウケごちゃ混ぜになって犯り捲るぞ。決めたぜ。今度のイベントは乱・褌・姦だ」
”おお”男達の野太い声が響いた。
みんなが席を移動し始めた。色んな所で談笑している。篤斗が嬉しそうに話していた。
「マサ兄ぃ…これ細やかな俺からの結婚祝いだよ」
浩志がスマホを取り出した。
「知り合いの工務店の連絡先だよ。先方にはもう話付けてあるからさ」
スマホを開いた。メールを起動する。そこには3箇所の工務店の電話番号と担当者の名前が記されていた。
「ありがとうな。恩に着るよ」
「篤斗を幸せにしてやってくれよ」
「うん、判った」
「それに次楽しみにしてるからな」
俺のケツがそっと撫でられた。
「ば、バカやろ」
浩志と視線が交わる。瞳の奥から優しい光を感じられた。時刻はもう直ぐ8時。和やかな中、褌・雄・姦の懇親会は終わった。清々しい夏の夜風がほろ酔い気分の肌に触れてくる。俺達は其々家路に付いた。
「ねぇ父ちゃん」
「なんだ」
「帰ってしよ」
「何だまだ足りんのか」
「うん足らん」
「ホント底なしだな」
そっと篤斗の手を握る。柔らかな熱が伝ってきた。
今まで俺達は特に連絡先交換はしていない。近日中に其々の連絡先が配信される。これからイベントだけでない繋がりを持とうと考えたからだ。淫乱な11人の野郎共。大切な俺達の仲間そして家族。これから新たな付き合いが始まる違いないと思った。